食品や電気代などさまざまな物の値段が上がり、レシートを見て思わずため息ついていませんか?
物価が上がると支出が増え、家計も苦しくなることもあるでしょう。
今回は、なぜ物価が上がっているのか、どういった影響を与えるのか、できることは何かを解説していきます。
その場しのぎではなく、根本的な対策ができるよう、家計を守る方法を身につけましょう。
なぜ物価が上昇している?
「物価が上がった」とよくニュースでも耳にしますが、なぜ上昇しているのでしょうか。大きく4つの原因があります。
原因1:エネルギーや原材料の価格が上がっている
物価が上がっている原因の一つに、エネルギーや原材料価格が上がっていることが挙げられます。
もともとコロナの影響もあり、巣ごもり需要で2021年以降上がり始めていました。それが、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに高騰し、エネルギーや原材料の価格をさらに押し上げたのです。
なぜウクライナ侵攻によって上がったのでしょうか?
それは、ロシアが原油や天然ガスなどのエネルギーにおいて世界有数の輸出国だからです。
侵攻する際にもエネルギーを使うため、「他国に対し供給量を減らすのではないか」という懸念から、ロシア依存度が高かった欧米各国でエネルギー価格の高騰が起きたのです。
また、食品をはじめ、製品を作るためにエネルギーは欠かせません。エネルギー価格が上がれば、製品をつくるためのコストが増えるため、利益を出すために値上げをする必要が出てきたのです。
原因2:労働力が不足している
労働力が不足している点も、物価上昇の一因です。
労働力の不足は特に米国で深刻化していますが、日本での人材不足も深刻になってきています。
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2023年7月)」によると、「正社員が不足している」と回答した企業の割合は全体で51.4%となり、業種別では1位がIT企業などが含まれる「情報サービス」の74.0%、2位が「旅館・ホテル」の72.6%となりました。
また、アルバイトなど「非正社員が不足している」と回答した企業の割合は全体で30.5%でしたが、業種別では1位の「飲食店」が83.5%、2位が正社員と同様に「旅館・ホテル」で68.1%でした。
このような状況で人材を採用するには賃金などの待遇面をアップせざるを得ず、企業からすると人件費が上昇します。
昨今、飲食店やホテルの値上げが顕著なように、そうした人件費の上昇が商品価格に転嫁されているわけです。
人件費の高騰はじわじわと物価を押し上げる要因になることは知っておきましょう。
原因3:円安によって輸入コストが増えている
まず、円安とは何かを理解しておきましょう。円安とは、海外の通貨と比べて円の価値が低くなることです。
例えば、1ドル=100円から1ドル=120円になったときに「円安」と呼ばれます。
100円払えば1ドルのものが買えたのに、120円払わないと買えなくなってしまった、つまり、円の購買力が下がったということですね。
円安になると、海外から商品を輸入する際のコストが増えることになります。日本は輸入依存度が高く、エネルギーに関しては90%以上輸入に頼っています。※1
また、食料に関しても食料自給率は38%※2で単純計算でも60%以上輸入に頼っていることになります。
もともと輸入に頼っていたうえに、円安でさらに輸入コストが増えてしまったことから、輸入品の価格が上がってしまったのです。
※1 出典:資源エネルギー庁 日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」
※2 出典:農林水産省 日本の食料自給率
原因4:(コロナが原因で縮んでいた)需要が回復している
物価が上昇する原因の4つ目に、需要の回復が挙げられます。
コロナが原因でさまざまな側面で需要がしぼんでいましたが、徐々にもとの生活を取り戻すにつれて、旅行や買い物ニーズも急速に回復(増加)しています。
特に「インバウンド消費」がけん引していて、日本政府観光局(JNTO)が2023年8月16日に発表した「訪日客数」によると、7月は前月比11.9%増、前年同月比は約16倍となり、コロナ禍前の8割程度まで回復。4~6月期の一人当たり消費額(旅行支出)は20.5万円となり、コロナ禍前の2019年の15.8万円を大幅に上回りました。
こうした需要の急回復に伴って、ホテル・レジャー・飲食店・嗜好品・ブランド品など様々な物やサービスの購入者・利用者が増え、結果として値段が上がっているのです。
中でも、物だけでなく「サービス」にも物価高の影響が波及し、これまでと同じサービスを受けるにはより多くのお金を払う必要があるなど、物価高の影響は決して小さくないことはこの機会に理解しておきたいものです。
物価が上がると生活にどういった影響がある?
物価が上がると、家計にさまざまな影響があります。ここでは具体的にどういった影響があるのかを解説します。
影響1:生活費が増える
物価が上がると何もしていなくても生活費が増えていきます。
先ほども説明したように、日本は輸入依存度が高いため、輸入品の値段が上がっています。株式会社ニッセイ基礎研究所「第12回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」によると、物価上昇を感じたものは次のようになっています。(複数回答・調査時期は2023年3月29〜31日)
「食料」 89.4%
「電気代・ガス代」 84.8%
「ガソリン代」 52.2%
食料と電気代・ガス代にいたっては80%を超えており、大多数の方が物価上昇を感じています。
また、この二つはどちらも生活に直結するものです。生活に必要な支出は、節約するにも限度があるため対応が難しく、家計が圧迫され苦しいと感じるようになります。
影響2:現預金の価値が落ちる
普段の買い物などでも、物価の上昇を感じる場面は多いでしょう。
しかし、実は物価の上昇の裏側で現預金の価値が相対的に下がっており、さらにその影響は非常に大きいです。
成長資産と呼ばれる株などを用いた投資・運用の手法を取り入れずに、単に銀行に預金という形で置いておくと、それだけでお金の価値が目減りするリスクを内包していると言わざるを得ません。
例えば、2%の物価上昇が継続すると、現在の100万円は30年後に55万円相当の価値になってしまいます。(額面は変わりませんが、お金の価値が相対的に下がる、という意味です)
影響3:賃金の上昇が(物価の上昇に)追いつかない
企業が値上げに積極的でない場合、賃金の上昇が物価高に追いつかない(負けてしまう)という影響も懸念されます。
エネルギーや原材料の価格が上がった分、消費者の価格を上げることができれば、コストを回収できます。
しかし、中小企業や小規模事業者は価格転嫁をすると、契約が打ち切られてしまったり、売上が減ったりする可能性があることから、なかなか値上げに踏み切れません。
価格が転嫁できない分、企業内でコストを負担するしかなくなり、値段はそのままで商品の量を減らしたり、賃金を減らしたりといったことが起きます。
株式会社の帝国データバンクの「価格転嫁に関する東京都企業の実態調査」によると「全く価格転嫁できない」とする企業は12.7%あり、結果的に経営破綻で倒産してしまった企業も2023年1月〜7月の間で23件となっています。
物価上昇に対する家計の防衛策は?
物価上昇に対して家計ではどのような対策が取れるのでしょうか。ここでは具体的な対策法を3つご紹介します。
対策1:家計を見直す
1つ目は家計の見直しです。見直しをする際は、一度見直すだけで節約効果が持続する固定費から見ていきましょう。
例えば、スマホの通信プランや保険など、定期的に新商品が提供されるものは、何年か経つと安くなっていることがあります。
また、漫画や動画配信アプリなどのサブスプリクションも無駄がないか確認してみましょう。無料で試していたはずがいつの間にか支払いが始まっていた…といったことがあります。
対策2:収入を増やす
2つ目の対策は収入を増やすことです。ニュースで大手企業を中心に副業が解禁されていると耳にしたことが一度はあるのではないでしょうか。
株式会社リクルートの「兼業・副業に関する動向調査データ2022」によると、従業員の兼業・副業を認める人事制度の導入状況は、制度あり(推進・容認)を合わせると50%を超えています。
また、雇用形態が正社員でありながら、兼業・副業をしている人の割合は9.9%と10人に1人が副業をしている状況です。
さらに、兼業や副業を始めたきっかけとして、新型コロナウイルスの感染拡大が関係していると回答した40%の方のうち、収束した後も継続すると回答した人は96%とほぼ100%に近くなっています。
副業を始めたきっかけとしては、「生計を維持する最低限の費用以外に、貯蓄や自由に使えるお金を確保するため」が47.6%と一番多くなっています。
本業と別の職種はハードルが高いでしょうが、同じものであれば無理することなく始められるでしょう。「簡単に稼げる!」と言った詐欺まがいのものには手を出さないよう、信頼できるところで探すようにしてくださいね。
対策3:資産運用をする
節約をして、収入が増えたら資産運用を始めましょう。一般的に、貯金は生活費約半年分と2〜3年以内に使う予定のあるお金があれば充分と言われています。
貯金だけしていても思うようには増えません。現在、貯金の年利は0.001%で、100万円を10年貯めていても、100円しか増えません。
そのため、対策として株式投資や投資信託などの資産を運用することで、物価の上昇にも耐えられる資産形成ができます。
初心者の方でも資産運用しやすいNISAが、来年からはさらに使い勝手がよくなりますので、せっかくのチャンスを逃さないようにしてくださいね。
物価上昇にも耐えられる対策をしよう
今回は、物価上昇の原因や影響、家庭でできる対策について解説しました。どういった理由であっても、家計でできることは「支出を減らす」「収入を増やす」「資産運用をする」の3つしかありません。
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