国からもらう年金にも、税金がかかるのかな?
お給料から天引きで税金を納めている方も、公的年金については課税されるのかされないのか、ご存知でない方が多いようです。
結論から言うと、老後にもらう公的年金は原則税金がかかります。
いざ年金を受け取り始めた段階で「年金には税金がかかる」ことを知ると、将来設計にも影響が出かねませんので、今回は年金受給者の所得税についてザックリと解説したいと思います。
年金の受け取りが始まる前に、所得税への理解を深めておきましょう!
とにかく、“簡単に・分かりやすく”いきたいと思いますので、細かいルール・用語の説明は一部省きながら進めていきます。
公的年金の課税ルール
老齢年金には原則税金がかかる
老後に受給する公的年金=「老齢年金」は、言うまでもなく豊かなセカンドライフを送るための貴重な資金になりますが、受給したお金は「収入」としてカウントされます。
国民は収入の一部を納税する義務を負っているため、原則として所得税・住民税が課せられるというルールになっているのです。
今回は、所得税にしぼってその概要を見ていきましょう。
老齢年金による収入は「雑所得」に分類される
所得税は、その名の通り、個人の所得に対して課税される税金です。
一口に所得税と言っても、税金がかかる対象となる所得として「10種類」に分かれています。
おそらく多くの方にとって一番馴染みのある所得は給与所得ではないでしょうか。お給料やボーナスは給与所得と呼ばれます。
他にも不動産経営や駐車場を貸すことで収益が出た場合、この所得は不動産所得です。
では老齢年金はどうかというと、「公的年金等による収入」として雑所得に分類され、その金額に応じて税金がかかります。
公的年金に係る雑所得の計算式
通常、雑所得は以下の式で算出されます。
「収入金額ー経費経費=雑所得」
ところが、老齢年金は次のように例外的なルールとなっています。
「収入金額ー公的年金等控除額=公的年金に係る雑所得」
公的年金等控除額*は年齢と収入に応じて金額が変わるようになっており、それを差し引いた上で以下の通り「公的年金に係る雑所得」が算出されますので、確認しておきましょう。
※公的年金等控除額の速算表はこちら
65歳未満の人
公的年金等の収入金額 | 公的年金等に係る雑所得の金額 |
60万円以下 | 0円 |
60万円超130万円未満 | 収入金額-60万円 |
130万円以上410万円未満 | 収入金額×0.75-27万5千円 |
410万円以上770万円未満 | 収入金額×0.85-68万5千円 |
770万円以上1,000万円未満 | 収入金額×0.95-145万5千円 |
1,000万円以上 | 収入金額-195万5千円 |
65歳以上の人
公的年金等の収入金額 | 公的年金等に係る雑所得の金額 |
110万円以下 | 0円 |
110万円超330万円未満 | 収入金額-110万円 |
330万円以上410万円未満 | 収入金額×0.75-27万5千円 |
410万円以上770万円未満 | 収入金額×0.85-68万5千円 |
770万円以上1,000万円未満 | 収入金額×0.95-145万5千円 |
1,000万円以上 | 収入金額-195万5千円 |
年金額が108万円or158万円までの人は、課税されない
上記の通り、65歳未満の人は60万円まで、65歳以上の人は110万円まで、公的年金等に係る雑所得の金額が「0円」とカウントされます。
よって、老齢年金が60万円or110万円以下の人は、所得税が全くかからないことになります。
更に、所得税を計算する上でのそもそものルールとして「基礎控除48万円を差し引くことができる」ことになっています。
基礎控除を合わせれば、65歳未満の人は108万円まで、65歳以上の人は158万円まで、所得が0円になりますね。
このように、決して全ての年金受給者が課税対象になるわけではないということです。
ただし、上記はあくまでも老齢年金の部分についてのお話。
それ以外の収入次第では課税される可能性は十分ありますので、ご注意ください。
実際、どれくらい税金がかかるのか?
所得税は、次のステップで計算していくルールになっています。
- 公的年金等に係る収入から公的年金等控除額を差し引き、雑所得を算出
- それ以外の雑所得や給与所得を合算
- 上記所得から、各種所得控除を差し引き課税所得を算出
- 課税所得の金額に応じた所定の税率を乗じて、仮の税額を算出
- 仮の税額から税額控除を差し引き、税額が確定
ご覧の通り税金の計算式はやや複雑で、個々人の「年金収入」「年金以外の収入」「扶養している親族の人数」「他に利用している所得控除」など、様々な要因で納税額は大きく変わります。
一概に「年金はこれくらい税金がかかる」とは言えないものなので、実際に年金を受給する前に税理士や税務署に確認してみると良いかもしれませんね。(ファイナンシャルプランナーもご相談をお受けできますが、法令上、個別具体的な税額計算をすることはできかねます。)
所得税の計算ルールについては、こちらの記事(↓)もご参考もご参考ください。
遺族年金や障害年金は課税されない
国民年金や厚生年金に加入していた人が亡くなり、その人に生計を維持してもらっていた遺族は「遺族年金」を受け取ることができます。
また、もう1つの公的年金として、病気やケガが原因で障害状態になった場合に支給される年金として「障害年金」があります。
これら2つの年金は非課税というルールになっており、仮に受け取ったとしても税金がかかりません。
公的年金のうち、課税対象となるのは、老後に受け取る「老齢年金」だけと覚えておきましょう。
終わりに
いかがでしたでしょうか?
誰もが「将来、どれくらいの金額の年金を受け取ることができるんだろう?」と考えている一方、
受け取った年金に税金がかかる点まで理解されている人はあまり多くありません。
今回ご紹介したように、年齢と年金の受給額によっては所得税がかかる可能性があります。年金の受け取りが始まる前に確認しておくと安心ですね。
今後も公的制度や税金、年金について、次回以降の記事で解説します。
お楽しみに!
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