お金の基礎知識

親を扶養に入れる条件とは?メリット・デメリットについても解説

一緒に住んでいない親も扶養に入れられるのかな?

年金をもらっている親でも扶養にできる?

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

親を扶養に入れるためにはさまざまな条件があり、メリットだけでなく注意点も把握しておかなければいけません。

この記事では、親を扶養に入れるための条件やメリット・デメリット、実際の手続きまでFPが最新の情報をお伝えします。

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そもそも扶養とは?

「扶養」とは、家族などの生計を維持するために経済的支援をすることを意味します。
制度としては「税法上の扶養」「健康保険の扶養」の2種類があり、それぞれ目的や条件が異なります。

【税法上の扶養】
所得税や住民税を計算する際に、扶養している家族がいることで控除が受けられる制度です。これにより、課税所得が減り、納める税金が軽減されます。

【健康保険の扶養】
健康保険に加入している家族の扶養に入ることで、保険料を負担することなく保険サービスを利用できる制度です。

つまり、「扶養に入れる」とは、ただ単に生活費を出しているというだけでなく、制度上の要件を満たして申請し、認められることで各種のメリットが得られる仕組みといえます。

親を扶養に入れるための条件

税法上の扶養条件

親を税法上の扶養に入れるには、以下の条件を満たすことが必要です。

  1. 親の年間所得が一定額以下であること
    親を扶養に入れるには、親の年間合計所得が48万円以下(年収103万円以下)という条件があります。

    この所得要件は令和7年度の基礎控除の改正にともない、従来の48万円から58万円(年収123万円以下)に10万円引き上げられました。
    (※改正が施行されるのは令和7年12月1日で、令和7年分以後の所得税について適用される)

    年金収入のみの場合は、65歳未満の場合は年収108万円以下、65歳以上で年収158万円以下となります。

  2. 生計を一にしていること
    生活費の仕送りなどで経済的に援助している場合は、同居をしていなくても対象になります。
    ただし毎月定期的に振込するなど、継続性のある支援が必要です。

  3. 個人事業主の事業専従者ではない
    例えば子が個人事業主で親に事業の手伝いをしてもらっているなど、親が青色申告・白色申告の事業専従者として給与を受け取っている場合は扶養対象として認められません。

これらの条件を満たすことで、親は税法上の「扶養親族」として認められ、所得税や住民税の控除対象になります。

健康保険上の扶養条件

親を健康保険の「被扶養者」として扶養に入れるには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 年間収入が一定額以下であること
    親の年間収入は130万円未満でなければいけません。ただし60歳以上、または一定の障害がある場合は年収180万円未満とされています。

    また、同居の場合は親の年収が扶養者の半分未満、別居の場合でも親の年収は扶養者からの仕送り金額未満であることが条件です。

  2. 生計を一にしている
    税法上の扶養条件と同様に、健康保険の扶養に入れる場合も扶養者と親が生計を一にしている必要があります。

  3. 親の年齢が75歳未満であること
    親が75歳以上になると後期高齢者医療制度に加入し、扶養者とは異なる保険制度の被保険者になるため扶養に入れることはできません。

親を扶養に入れるメリット

親を扶養に入れる場合、税金面と健康保険上でそれぞれメリットがあります。

扶養する人の税負担が軽減される

税法上の扶養に親を入れると、「扶養控除」を受けられるため、所得税や住民税が軽減されます。

親の年齢所得税の控除額住民税の控除額
70歳未満38万円33万円
70歳以上(同居)58万円45万円
70歳以上(別居)48万円38万円

こちらの控除額を元に、親を扶養に入れた場合どれくらい扶養者の税負担が減るのか見てみましょう。

【例:扶養者の所得税率20%、70歳以上の親と同居の場合の軽減額の目安】
所得税:58万円×20%=11万6千円
住民税:45万円×10%=4万5千円

自分の場合はどれくらいの減税効果があるのか事前に確認しておくと良いでしょう

出典:国税庁「扶養控除」

親の健康保険料の負担が減る

扶養される人は健康保険料の負担が発生しないため、親は健康保険料を支払わずに保険の利用が可能になります。とくに国民健康保険に加入している場合は、保険料の負担が大きくなる傾向があるため、扶養に入るメリットは大きいです。

年金収入が少ないケースでは、毎月の保険料が免除されることは親にとって大きな負担軽減になるでしょう。

親を扶養に入れるデメリット

親を扶養に入れる場合はメリットだけでなくデメリットも存在します。確認しておきましょう。

医療費や介護保険料の負担が増える可能性がある

高齢になると一般的に病院に行く機会が多くなることもあり、医療費の負担が増える可能性があります。

また、高額療養費制度(※)の自己負担限度額は所得金額に応じて決まる仕組みなので、負担が増える恐れがあります。

さらに親が65歳以上になると親の所得と世帯の住民税課税状況によって介護保険料が決まるため、親の介護保険料が高くなってしまうケースも考慮しておかなければいけません。

※高額療養費制度とは、同一月に病院などで支払った窓口負担額が自己負担限度額を超えた場合、その超えた分があとから払い戻される制度のことです。

介護サービス費用が高くなる可能性がある

親を扶養に入れていると、介護サービス費用の自己負担割合が増える可能性があります。

介護サービス費用の自己負担上限額は、世帯所得によって変動します。
親を扶養に入れたことで、親の属する「世帯」の所得が高く判定され、上限額が上がる可能性があるのです。

このように、親を扶養に入れるときは税金が軽減されるなどのメリットを得られる一方で、医療費や介護費が高くなってしまうデメリットもあります。全体のバランスを見ながら慎重に判断しましょう。
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親を扶養に入れる際の注意点

税法上と健康保険の扶養手続きは別

税法上と健康保険上では別の制度なので、親を扶養にいれる場合には別々で手続きをおこなわなければいけません。また、どちらか一方のみ扶養に入れることも可能です。

「税法上で扶養に入れたから、健康保険でも自動的に扶養になる」というわけではないのでその点は注意しましょう。

このあとの章でさらに詳しく解説します。

親が75歳以上の場合健康保険の扶養には入れない

社会保険上の扶養条件でも触れましたが、75歳以上の親は「後期高齢者医療制度」に自動的に加入するため、健康保険の被扶養者になることはできません。

そのため、会社員などが親を扶養に入れたい場合でも、健康保険料の免除は受けられず、親自身が後期高齢者保険料を支払う必要があります。

ただし、税法上の扶養控除については75歳以上でも適用可能なので、税法上のみ扶養に入れて税金面で負担を軽減することは可能です。

親を扶養に入れる際の手続き

税法上の扶養手続き

親を税法上の扶養に入れるためには、扶養者(子)の勤務先でおこなう年末調整、または確定申告での申請が必要です。

会社員で本人に確定申告する必要がない場合は年末調整で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出します。

確定申告が必要な会社員や自営業の方などは確定申告書の「扶養控除欄」「配偶者や親族に関する事項」に必要事項を記入します。

健康保険上の扶養手続き

親を健康保険の扶養に入れるには、勤務先を通じて年金事務所、または保険組合(協会けんぽや健康保険組合など)に申請します。

必要書類は保険組合によって多少異なりますが、主に以下のような書類が必要です。

必要書類の例

  • 被扶養者(異動)届

  • 親の収入状況が確認できるもの(課税証明書、確定申告書の写しなど)

  • 続柄を確認できるもの(戸籍謄本、住民票の写しなど)

  • 仕送り金額が確認できるもの(預金通帳の写し、振込証明書など)

まとめ

親を扶養に入れることは、税金の軽減や保険料の負担減など、家計にとって大きなメリットになることがあります。

しかし、扶養に入れることで医療や介護の負担が増える可能性もあるため、制度を正しく理解し、適切に手続きを進めることが大切です。家族で話し合いながら慎重に判断しましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。
【あしたばライター:藤元綾子】

弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からiDeCo/イデコや企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています

収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なiDeCo活用法と注意点から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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