国の制度

農業者年金とiDeCo(イデコ)、どちらを選ぶ?

(投稿日:2020年10月15日)

「農業者年金に加入するとiDeCo(イデコ)に加入できないみたいだけど、どっちを選ぶべき?」

この記事は、上記のような疑問をお持ちの農家の方(&これから農家になる予定の方)に、読んでいただきたい内容です。

前回の記事(↓)で農業者年金の仕組みとメリットについて詳しく説明しましたが、

類似制度であるiDeCo/イデコ(個人型確定拠出年金)と比較してのウィークポイントがあるため、今回はそこをしっかりと解説します。

農業者年金とは(投稿日:2020年10月14日) 「農業者年金ってなに?」 「特に理由もなく農業者年金に加入していたけど、他の制度と比...

(とにかく、“簡単に・分かりやすく”いきたいと思いますので、細かいルール・用語の説明は一部省きながら進めていきます。ご容赦ください。)

農業者年金とiDeCoは併用「不可」

農業者年金のように「税制優遇を受けながら老後資金を積み立てていく制度」として、iDeCo/イデコ(個人型確定拠出年金)があります。

iDeCoも大変魅力のある制度なのですが、残念ながら農業者年金と併用(同時加入)はできないルールになっています。

そのため、「農業者年金とiDeCoのどちらに加入するか」は、ぜひしっかりと検討することをお勧めします。

※自営業者向けの「国民年金基金」も同じく併用できませんが、こちらは農業者年金の方が明らかにメリットが大きいため説明を省きます。

農業者年金とiDeCo、特徴の違い

前述の通り、両制度とも「税制優遇を受けながら老後資金を積み立てていく制度」である点に変わりはないのですが、

似てる点と全く違う点がありますので、まずはそれぞれの特徴を確認ましょう。

農業者年金の特徴

  1. 毎月自分で決めた金額を積み立てしていく「積立方式・確定拠出型」の年金制度
  2. 掛け金の運用は、法令に基づき安定運用をしていく(加入者は元本割れリスクを負わない)
  3. 積み立てる(拠出)期間は60歳まで、年金の受け取り(受給)開始は原則65歳から(繰上げは可能だが繰下げは不可)
  4. 年金の受給方法は「80歳までの保証期間付終身年金」のみ
  5. 掛け金(保険料)は、月額2万円~最大6万7千円まで自由に設定可能
  6. 「拠出時」「運用中」「受給時」の各段階で税制優遇が受けられる
  7. 月額2万円の保険料の支払いが難しい場合は、保険料の国庫補助の仕組みがある

iDeCoの特徴

  1. 毎月自分で決めた金額を積み立てしていく「積立方式・確定拠出型」の年金制度
  2. 掛け金の運用は、自分で金融商品を選び、その運用成果で最終的に受け取る金額が決まる
  3. 積み立てる(拠出)期間は60歳まで、年金の受け取り(受給)開始は60~70歳の間で選べる
  4. 年金の受給方法は「一時金・年金・併給(一時金と年金の併用)」から選べる(終身年金は一部の金融機関を除き選択不可)
  5. 掛け金(保険料)は、月額5千円~最大6万8千円まで自由に設定可能
  6. 「拠出時」「運用中」「受給時」の各段階で税制優遇が受けられる
  7. 加入には、所定のコスト(手数料)がかかる

※上記は、農業者年金の加入資格を満たす「国民年金の第1号被保険者」の場合を想定しています。

比較検討する上での「特に重要なポイント」

以上をふまえ、実際に比較検討する際の「大きな違い」といえる重要なポイントは、次の通りです。

①掛け金の運用方法と元本割れリスク

最大のポイントは「運用」に関する違いです。

農業者年金は法令に基づく安定運用をするので、大きな運用成果は期待できませんが、それでも平成14年~30年度で平均利回り+2.82%と、一定の成果を出しています。

その上で、もし運用がマイナスになってしまった場合は「危険準備金」から補填される仕組みなので、加入者が「元本割れリスクを負わない」ルールとなっています。

※詳細は農業者年金基金のホームページにて

それに対して、iDeCoは自分で運用方針を決める(金融商品を選ぶ)ので、安定運用の方針にもできますが積極運用の方針にすれば、大きな農業者年金を上回る運用成果も十分期待できます。

しかし、運用成果が悪くても補填等はありませんので、加入者が「元本割れリスクを負う」仕組みとなっています。

②受給開始時期と受給方法

受給開始時期は、農業者年金は原則65歳で、60~64歳の「繰上げ」はできますが「繰下げ」はできません。

iDeCoは原則60歳で、60~70歳まで自由にずらすことができます。

よって、受給開始時期の柔軟さはiDeCoに軍配が上がりそうです。

受給方法は、農業者年金は「80歳までの保証期間付終身年金」のみ。

iDeCoは「一時金・年金・併給(一時金と年金の併用)」から選べます。(終身年金は一部の金融機関を除き選択不可)

こちらも一時金を選べるなど柔軟さではiDeCoの方が勝りますが、「老後に安心して暮らすための資金」という意味では、農業者年金の「死ぬまでもらい続けることができる」という終身年金の機能は大変魅力的です。

③保険料の国庫補助があるかないか

単純に、農業者年金には「保険料の国庫補助」の仕組みがありますし、iDeCoにはそうした補助の仕組みがありません。

この点は、農業者年金ならではのメリットと言えますね。

ただし、国庫補助は月額2万円に満たない掛け金の場合に国の援助を受けられる仕組みですから、

そもそも「2万円以上の金額で積極的に老後資金を積み立てたい」という方にとっては、関係のない点とも言えるので注意してください。

その他

上記以外にも細かな違いはありますが、そこまで気にするレベルではないと考えています。

iDeCoのコスト(手数料)を気にされる方もいますが、長期投資による運用益を見込んで加入するのであれば、問題ないのではないでしょうか。

結局、どっちがオススメ?

結論から言いますと、どちらが絶対に良いということはありません。

それぞれのニーズ・考え方によって自分に合う方を選ぶと良いでしょう。

上記ポイント①は、

「それなりの運用成果+元本割れリスクなし」を望むのか

「より高い運用成果も期待できるが、元本割れリスクあり」を望むのか

上記ポイント②は、

「80歳までの保証期間付終身年金」で、安心感をもって少しずつ受給する方が良いのか

一時金でもらったり、一時金と年金の併給など、柔軟に受給方法を選べた方がいいのか

特にこれらをしっかりと検討した上で、加入(または見直し)を判断していただければと思います。

とはいえ、自分で判断するのはなかなか難しいという方も多いでしょうから、その場合はお近くのFP(ファイナンシャルプランナー)等の専門家に相談することをお勧めします。

私たちもiDeCoなどを活用して「長い時間をかけて老後資金を増やしていく」ためのサポートを得意としていますので、ぜひお気軽にご相談くださいね。

弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、つみたてNISAやiDeCo/イデコ・企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています

収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なつみたてNISAやiDeCoの活用法と注意点から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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問5 : ふるさと納税を活用している
問6 : 毎月の収入と支出を把握している
問7 : 5年以内に保険を見直した
問8 : ねんきん定期便を毎年チェックしている
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