確定拠出年金(iDeCo/イデコ、企業型DC/401k)

【2024年12月から】iDeCo上限額改正の対象者と手続き

2024年12月からiDeCo(イデコ)の限度額が引き上げになると聞いたけど、公務員だけ?会社員は?

拠出額変更の手続きはどうすればいい?

この記事は、そんな疑問にお答えする内容です。

2021年9月1日に公布された「確定拠出年金法施行令」に基づき、2024年12月1日から一部の人のiDeCo/イデコ(個人型確定拠出年金)の拠出限度額が改正されました。

具体的にだれが対象となり、拠出額を変更する場合にどんな手続きが必要となるのか、iDeCoに詳しいファイナンシャルプランナーが解説します。

iDeCo上限額改正の対象者

今回のiDeCo拠出限度額の改正で影響を受ける人・受けない人をまとめましたので、確認しておきましょう。

対象となる人

  • 公務員・私学教職員等の共済制度に加入している人
  • 会社員でDB(確定給付年金制度、厚生年金基金等)に加入している人

※公務員・私学教職員等の共済制度およびDBを総称して、今回の法改正では「他制度」と呼んでいます。

対象とならない人

  • 個人事業主・フリーランス等の国民年金第1号被保険者
  • 会社員でDC(企業型確定拠出年金制度)のみに加入している人
  • 会社員でDCにもDBにも加入していない人
  • 専業主婦・専業主夫等の国民年金第3号被保険者

※会社員でDBに加入せずDCのみに加入している人は法改正の対象であるものの、上限額の変更はないので「対象とならない人」にカウントしています。

対象者のiDeCo上限額はいくらになる?

では具体的にいくらに変わるのか、解説していきます。

ほとんどの人が月額2万円にアップ

一部で誤解もされているようですが、一律ではなく対象者の勤務先の企業年金・共済年金制度等によって異なります。

対象者のiDeCoの拠出限度額=「月額5.5万円-(DB等の他制度掛金相当額+各月の企業型DCの事業主掛金額)」かつ「月額2万円を上限」

というルールになり、「他制度掛金相当額」と「企業型DCの事業主掛金額」は勤務先の状況をあてはめて算出します。

ですが、結論としては対象者のうちほとんどの人が月額1.2万円から月額2万円にアップすることになりました。

※前述の通り「会社員でDCにもDBにも加入していない人」は改正の対象ではありませんので、iDeCoの上限額は現状の月額2.3万円のままです。ダウンしませんのでご安心ください。

「月額2万円未満」「これまでよりダウン」「拠出不可」となるケースも

ごくまれにですが、上限額が月額2万円未満になったり、これまでより減額または拠出ができなくなる人もいます。

具体的に検証してみましょう。

繰り返しますが、今回の改正で対象者のiDeCoの拠出限度額は「月額5.5万円-(DB等の他制度掛金相当額+各月の企業型DCの事業主掛金額)」かつ「月額2万円を上限」となりました。

注目すべきは“DB等の他制度掛金相当額+企業型DCの事業主掛金額”の部分で、この合計額が月額3.5万円を超えると、月額5.5万円から差し引いた時に2万円を下回ってしまいます。

そうなると、iDeCoの拠出限度額が月額2万円に満たないかこれまでの月額1.2万円から減額される、もしくは拠出不可となる可能性があるのです。

①上限額はアップするが月額2万円に満たないケース

DB等の他制度掛金相当額が月額2万円で企業型DCの事業主掛金額が月額2万円の場合は、合計額が4.5万円のため月額5.5万円-4万円=月額1.5万円となり、元々のiDeCo上限額の月額1.2万円よりはアップするものの、多くの人の月額2万円には届きません。

②上限額がダウンするケース

DB等の他制度掛金相当額が月額2.8万円で企業型DCの事業主掛金額が月額2万円の場合は、合計額が4.5万円のため月額5.5万円-4.8万円=月額0.7万円となり、元々のiDeCo上限額の月額1.2万円よりもダウンすることになります。の掛金を拠出していた加入者は減額されることになります。

拠出不可となるケース

DB等の他制度掛金相当額が月額3.5万円で企業型DCの事業主掛金額が月額2万円の場合は、合計額が5.5万円のため月額5.5万円-5.5万円=0円となり、iDeCoでの拠出はできなくなってしまいます。

なお、注意していただきたいのは、DB等の他制度掛金相当額+各月の企業型DCの事業主掛金額=月額5.5万円を超える場合ではなく「月額5万円を超える場合」です。

iDeCoの掛金には「最低金額」のルールがあって月額5,000円となっているため、前述の計算式に当てはめて「月額5.5万円-5万円超」となれば最低金額を下回ってしまうからです。

例えば、DB等の他制度掛金相当額が月額3.2万円で企業型DCの事業主掛金額が月額2万円の場合、合計額が5.2万円のため月額5.5万円-5.2万円=3,000円となり、iDeCoの拠出は不可となります。

勤務先の「他制度掛金相当額」をチェックしたほうが良い?

他制度掛金相当額は個人単位ではなく、企業によって異なるため、ご自身のiDeCoの上限額を正確に把握するには、勤務先に確認していただくしかありません。

※1人当たりの平均掛金月額を基にDBの基金単位で算出され、加入者全員に一律で適用されます。

ただ、上限額が月額2万円とならないケースを列挙しましたが、前述の通り非常にまれ。

「給与とDC・DBならびに退職一時金の水準が平均を大きく上回るごく一部の企業」の会社員のみが、当てはまる可能性がある程度です。

基本的には月額2万円にアップするという理解でOKで、勤務先の給与等が高水準の場合のみチェックすれば問題ないでしょう。

※公務員・私学教職員等の人は「他制度掛金相当額」が7,000~8,000円と告示されたため、iDeCoの拠出限度額は一律で月額2万円となります。

改正に伴うiDeCo拠出額(掛金額)の変更手続き

現時点でiDeCoに加入している対象者が掛金を増額したいとき、もしくは前述のようなまれなケースで減額or拠出不可となってしまう場合の、手続きについてザックリ解説します。

増額したい場合

加入しているiDeCoの運営管理機関=金融機関より、今回の改正に関する案内がメールまたは郵便で送付されているはずです。

その案内に沿って、手続きを進めてください。

なお、その案内メール・ハガキ等が見つからなくても、各金融機関のHP等で必ず告知されています。「iDeCo 上限額変更 ●●(金融機関名)」などと検索してみましょう。

なお、改正される12月になる前に「事前受付」を実施している金融機関がほとんどで、12月以降と手続きが異なる場合もありますのでご注意ください。

減額・拠出不可となる場合

法改正時に、前述の計算式で個々人のiDeCo掛金の上限額が算出されます。

iDeCoに加入している対象者の拠出額がそれを超過していれば自動的に減額、拠出不可と判定されれば強制停止(一時停止)に。

そうなった場合の、加入者による「減額または停止の手続き」は不要です。

※国民年金基金連合会から加入者に「掛金額が上限を超過したor拠出不可となった」旨が通知されます。

ただし、拠出不可となった場合は「それまでに積み上げてきた保有資産をどのように運用するか」の手続きは必須になります。

勤務先のDC(企業型確定拠出年金)に加入していない場合は「運用指図者」という掛金の拠出をせずに運用だけする立場へ変更し、DCに加入している場合はDCに資産を移換します。

※勤務先のDCに加入している場合でもiDeCoの運用指図者になることができますが、DCに移換するほうが手数料等でメリットがありますので、そちらをお勧めします。

運用指図者になる場合には、iDeCoの運営管理機関=金融機関に申し出て「加入者資格喪失届」を提出してください。

後者の企業型DCへの資産移換をする場合には、同じく「加入者資格喪失届」の提出に加え、勤務先の企業型DC担当者に「iDeCoの資産を企業型DCに移換したい」と申し出て手続きを進めましょう。

おわりに

これまで、特に公務員・私学教職員等のiDeCo上限額が月額1.2万円となっていたことに対して、拡大を求める声がありました。

今回の改正で月額8,000円の上限アップですが、たかが8,000円と思うなかれ!

年額では+9万6,000円ですので、節税効果はそれなりのインパクトです。(年収700万円で所得税率20%・住民税率10%とすれば28,800円の節税効果アップ!!)

前述の通り対象者のうちほとんどは月額2万円の上限になりますから、ぜひ積極的に金額変更して積立投資効果と節税効果を高めていきましょう。

とはいえ、ご自身の年齢や家族構成、収入・保有資産等の状況次第では必ず増額すべきとは言えませんので、判断に迷った場合には私たちFPを頼ってくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

あしたばFP・安藤

弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からiDeCo/イデコや企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています

収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なiDeCo活用法と注意点から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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