住宅

個人事業主の住宅ローンが通らないのはなぜ?審査の突破法を完全攻略

悩めるくん
悩めるくん
個人事業主の住宅ローンが通らないって聞いたけど本当かな?
迷いさん
迷いさん
確かにそんなウワサ聞いたことあるわ。それだと個人事業主になると損よね…

「年収800万円もあるのに住宅ローンの審査に通らないのはなぜ?」「個人事業主はどうやったら審査に通る?」このような悩みや不安を抱えていませんか?

会社員なら問題なく通るような年収でも、個人事業主というだけで審査のハードルは格段に上がります。

個人事業主がやりがちな「節税対策」や事業拡大のための「借入」が、思わぬところで夢のマイホームを遠ざけてしまっているかもしれません。

この記事では、住宅ローン審査が厳しくなる3つの本質的理由や審査通過率を劇的に上げる5つの対策、そして審査に落ちた場合の具体的な打開策まで詳しく解説します。

最後まで読むと、なぜ審査に通らないのかが明確になり、次回の申し込みで審査の通過率を大幅に高められるコツが分かるため、ぜひ確認しておきましょう。

FP相談のお申込みはこちら

個人事業主の審査が厳しくなる本当の理由とは

個人事業主の住宅ローン審査が厳しい理由は、銀行が重視する「安定性」と「継続性」の観点で、会社員と根本的に異なるからです。

会社員の場合は「勤務先の安定性」と「毎月の給与額」が審査の判断材料となります。

一方、個人事業主は「事業の将来性」「収入の変動リスク」「借入状況」など、複数の不確定要素も踏まえて判断される点を理解しておかなければなりません。

そのため、同じ年収でも審査通過の難易度が大幅に異なります。

ここでは、金融機関の審査基準を理解するうえで、特に重要な3つの理由を解説していきましょう。

理由①:収入の「安定性」が重視される

銀行が個人事業主の住宅ローン審査をする上で最も重視しているのは「売上」や「所得」がいかに安定しているかという点です。

会社員は毎月安定した給与が保証されているのに対し、個人事業主は業績によって収入が大きく変動する可能性があります。

仮に、事業歴が5年、10年と継続している点は一定の評価材料にはなりますが、銀行が求めるのは直近3期の収入が安定しているかどうかです。

なお、住宅ローンを申し込む場合には確定申告書に記載されている「所得」によって審査されるため、収入よりも所得の高さや安定性を意識しておきましょう。

理由②:過度の節税対策が不利に働く

個人事業主が陥りがちな落とし穴は、節税を意識しすぎるあまりに確定申告書の所得金額を下げすぎてしまうケースです。

年収が800万円でも、経費が300万円の場合は、確定申告書の「所得金額」500万円が返済能力の基準として審査されます。

審査では、年間の返済額から返済比率を計算するため、所得が高ければ高いほど審査は通りやすく、バランスを見て節税することが大切です。

理由③:事業用の借入が多いと返済比率に影響する

個人事業主が事業のために行う事業用の借入やリース料は、住宅ローンの審査に直接影響します。

運転資金や設備資金の借入、車両のリースは全て個人の負債となるため、すべて負債とみなされてしまう点に注意が必要です。

たとえば、月額10万円の事業用ローンがある場合、住宅ローンの返済可能額は単純に月10万円減ります。

仮に、返済比率を計算した上で月額約14.5万円が返済の上限とした場合、実質4.5万円程度しか住宅ローンに回せません。

審査を通すためにやるべき5つのポイント

個人事業主が住宅ローンの審査が厳しい理由を理解できたとしても、具体的な対策を立てなければ審査を通過率が上がることはありません。

ここでは審査を通すための具体的なアクションプランをご紹介します。

特に、銀行に提出する確定申告書の所得をどのように見せるのか、自己資金はどれくらい用意すれば有利になるのかが理解できるようになります。

各ポイントを着実に実行することで、審査通過率を可能な限り高められるでしょう。

ポイント①【最重要】:3期分の所得を安定させる

住宅ローンの審査では、確定申告書の記載された所得の高さ、安定性がポイントとなります。

特に、3期の平均値が住宅ローンの審査で重視されるため、直近3期の所得が重要です。

3年間の所得がほぼ横ばいか、緩やかな右肩上がりになっている状態が理想といえるでしょう。

(審査で有利になる所得推移の特徴)

申告時期所得
3期前480万円
2期前490万円
直近500万円

3期が安定している場合、平均値または直近の所得で評価されやすくなります。

一方、安定性の面で不利になる可能性がある特徴は以下の通りです。

 

(審査で不利になる所得推移の特徴)

申告時期所得
パターンAパターンB
3期前300万円150万円
2期前700万円400万円
直近500万円700万円

パターンAのような大幅な変動がある場合、平均の500万円ではなく、最も低い300万円を基準に審査される可能性があります。

パターンBの急激な上昇のケースも「一時的に好調」「来年も維持できるか分からない」と判断され、最も低い金額での審査になるケースも少なくないでしょう。

事業歴が長くても、直近3年の所得が不安定であれば、審査通過のハードルは高まります。

ポイント②:自己資金(頭金)を物件価格の1〜2割用意する

自己資金が多ければ多いほど、銀行の審査は通りやすくなります。

特に、審査が厳しい個人事業主は借入の負担を減らすことが効果的です。

ただし、頭金が多いほど審査は有利といえるものの、多すぎると事業に必要な資金や今後の生活資金に支障を来す可能性も否定できません。

頭金は、物件価格の2割が1つの目安です

自己資金が多いと審査が有利になるだけでなく、月々の返済額が下がるため、事前に準備しておきましょう。

ポイント③:既存の借入を整理し、信用情報をクリーンにする

住宅ローンの審査を受けるまでに、事業用・個人用を含めて可能な限り借入残高を減らすことが重要です。

特に、金利の高いカードローンやリボ払いを利用している場合は、最優先で完済しておかなければなりません。

また、返済が遅れる「延滞」などがないかどうかは、事前に確認しましょう。

CIC、JICCなどの信用情報機関でご自身の信用情報を確認し、延滞の記録などがないか必ずチェックできます。

信用情報機関とは、ローンやクレジットなどの契約や返済状況に関する「信用情報」を収集・管理し、金融機関やクレジット会社などの加盟企業に対して情報を提供する専門機関です。

信用情報機関
  • CIC(株式会社シー・アイ・シー):主にクレジットカード会社や信販会社などが加盟
  • JICC(株式会社日本信用情報機構):消費者金融や貸金業者などが加盟
  • 全国銀行個人信用情報センター:銀行などが加盟

過去に延滞がある場合でも、借り入れを完済してから5年程度経過していれば記録は削除されているため、事前に把握しておきましょう。

ポイント④:税金・社会保険料を遅延なく納付する

住宅ローン審査では「納税証明書」の提出が必須となるため、税金や社会保険料の未納・滞納は即座に審査落ちの原因となります。

国民健康保険、国民年金、所得税、住民税、個人事業税など、すべての税金を期限内に納付することが絶対条件です。

もし滞納がある場合は、住宅ローン申込み前に必ず完納し、納税証明書で未納がないことを確認しましょう。

分割納付中の場合でも、金融機関によっては審査対象外となる可能性があるため注意が必要です。

ポイント⑤:まずはメインバンクや取引実績のある金融機関に相談

住宅ローンの申込をする場合、自身で申込するケースと、住宅の斡旋をする仲介会社や販売会社が主体で行うケースに分かれます。

その場合は自身で申込するケースを選択し、既に取引がある銀行を選ぶことで審査の通過率を上げることが可能です。

既に取引のある銀行は事業内容や資金繰りをある程度理解しているため、柔軟な審査が期待できます。

逆に、仲介会社や販売会社に任せて複数の銀行で同時申込をすると、信用情報に記録が残ることでかえって不利になる場合も否定できません。

まずは取引実績のある1〜2行に絞って相談することをおすすめめします。

FP相談のお申込みはこちら

申込みから実行まで|必要書類と手続きの基本ステップ

住宅ローンの申込みには、会社員とは異なる書類が必要になります。

個人事業主の場合、収入証明だけでなく、事業の実態や安定性を証明する書類の提出が求められるため、準備に時間がかかることも多いでしょう。

また、書類の不備や不足があると審査が長期化したり、最悪の場合は審査落ちの原因となる場合もあります。

特に確定申告書は3年分必要となるため、過去の書類を紛失している場合は早めに税務署での再発行手続きを行うなど、事前に準備しておくことが重要です。

必要書類チェックリスト

個人事業主が住宅ローン申込みで必要となる書類は以下の通りです。

1.基本書類

  • 3年分の確定申告書(控え・収受印付き)
  • 納税証明書(その1・その2)
  • 住民税課税証明書
  • 事業内容説明書

 

2.取引関係書類

  • 銀行との取引明細
  • 主要取引先との契約書
  • 売上台帳や帳簿

 

3.物件関係書類

  • 売買契約書
  • 重要事項説明書
  • 物件概要書

準備する書類は金融機関によって若干異なるため、事前に確認しておきましょう。

住宅ローン申込の基本的な流れ

住宅ローンの手続きは、一般的に事前審査(3〜7日)、本審査(1〜2週間)、契約手続き、融資実行の流れです。

個人事業主の審査において、特に注意すべき以下の重要なポイントを押さえておきましょう。

 

ポイント①:事前審査

事前審査段階では、年収や借入希望額などの基本情報で仮審査を行います。

この段階で落ちた場合は、所得不足や返済比率オーバーが原因のことも多いため、借入額の見直しが必要です。

 

ポイント②:本審査

本審査では、3年分の確定申告書を詳細にチェックされます。

所得の変動が大きい場合や、前年比で大幅に減少している場合は、この段階で厳しく評価されることが一般的です。

審査が長期化しやすく、本審査で2〜3週間かかるケースも珍しくないため、物件の契約日から融資実行まで1ヶ月以上の余裕を見ておきましょう。

なお、審査中には事業に関する追加書類(契約書、売上台帳など)の提出を求められることも多く、事前に整理することが重要です。

 

ポイント③:契約から実行

金銭消費貸借契約の締結と団信加入、火災保険契約が必要になります。

印鑑証明書などの必要書類に不備がないように事前確認が大切です。

なお、以前の契約は紙の契約書に押印を行う取り扱いが基本とされていましたが、最近では電子契約が主流になり始めています。

電子契約では印紙代が不要となるため、ぜひ積極的に活用しましょう。

 

ポイント④:融資実行

契約が完了すると融資の実行となりますが、同時に司法書士による抵当権設定登記が必要です。

自己資金の入金確認と諸費用の最終精算を行い、物件引き渡しと同日に手続きが完了します。

審査に落ちても諦めない!ぜひ知っておきたい3つの対策

住宅ローン審査に落ちたからといって、まだ諦める必要はありません。

実は、民間銀行の審査に落ちた個人事業主の多くが、適切な対策を講じることで審査の通過率を上げることが可能だからです。

重要なのは、なぜ審査に落ちたのかを冷静に分析し、根本的な原因に対処することといえます。

単純に別の銀行に申し込むだけでは同じ結果になる可能性が高いため、戦略的に対応することが求められるでしょう。

対策①個人事業主に有利な「フラット35」を検討

「フラット35」では、民間の銀行とは根本的に異なる審査基準を採用しており、個人事業主にとって圧倒的に有利な条件が揃っています。

フラット35が個人事業主に有利な理由

  • 事業年数の制限なし
  • 返済負担率の基準が明確
  • 審査は直近1年分の所得を重視
  • 事業計画書の提出が不要
  • 固定金利で返済計画が立てやすい

民間銀行では3年分の確定申告書や安定した事業実績が求められますが、フラット35は直近1年分の所得が返済負担率の基準を満たしていれば審査通過の可能性が高まります。

ただし、フラット35でも確定申告書は2年分の提出が必要なので、事前に準備しておきましょう。

対策②:借入額を減らす

住宅ローンの審査に通らないケースでは、借入の金額が過大というケースが多くを占めます。

基本的には返済比率が審査の基準をオーバーしている場合、物件価格を見直すか、頭金を増額することで借入額を調整しましょう。

例えば、4000万円の物件で頭金200万円と、頭金500万円の場合では、月々の返済額で約1万円の差が生まれます。

頭金を出す余裕があればよいのですが、そうでない場合には物件の変更を含む「資金計画の見直し」も必要です。

対策③ペアローン・収入合算を活用

配偶者に安定した収入がある場合、ペアローンや収入合算の活用を検討してみましょう。

ペアローンは夫婦それぞれが主債務者となるため、借り入れを2本に分けて審査できます。

一方、収入合算の債務者は単独ながら、配偶者の収入を合算して審査することが可能です。

なお、収入合算では配偶者の収入の半分程度までとする金融機関もあるため注意しておかなければなりません。

どちらの方法が有利かは個別の事情によって異なるため、金融機関でシミュレーションを行うなどして決めましょう。

FP相談のお申込みはこちら

まとめ

個人事業主の住宅ローン審査が厳しいのは事実ですが、適切な事前準備と戦略があれば、住宅ローンの審査を通すことは不可能ではありません。

特に、所得の安定性や適切な頭金の準備、借入状況の整理は、審査通過率が大きく変わるポイントといえます。

仮に、審査落ちしたとしても、決して諦めずにフラット35や収入合算なども含めて総合的に検討しましょう。

とはいえ、個人事業主の住宅ローンはすぐに対応できるものもあれば、基本的には時間をかけて対策するケースが多いのも事実です。

より確実な審査通過を目指すなら、住宅ローンに精通した専門家への相談を検討することをおすすめします。

まずは、事業内容や財務状況に応じた最適な戦略を立てた上で、夢のマイホームを手に入れましょう。

この記事が気に入ったら
いいね ! をお願いします

Twitter で
} =<<<_EOD_
×
あてはまるものにチェックしてください。
問1 : NISAを活用している
問2 : 確定拠出年金(iDeCoまたは企業型DC)に加入している
問3 : キャッシュレス決済(クレカや●●Payなど)を積極的に利用している
問4 : ポイント投資をしている
問5 : ふるさと納税を活用している
問6 : 毎月の収入と支出を把握している
問7 : 5年以内に保険を見直した
問8 : ねんきん定期便を毎年チェックしている
問9 : 入院・通院費などの医療費が多くかかった年は、確定申告をしている
問10 : 金銭面で不安なこと・モヤモヤすること(複数選択可)