住宅

サブリースが危ないと言われる7つの理由|大手でも安心できない注意点

悩めるくん
悩めるくん
相続した土地があるんだけど、何か有効な活用方法ってないかな?
迷いさん
迷いさん
サブリースって聞いたことあるけど、正直よく分からないから調べてみるのはどうかしら?

「サブリース契約が30年家賃保証してくれるって本当に安全なのかな?」「周りは反対するけど何が危ないの?」「正しい客観的な判断材料が欲しい」こんな悩みを抱えていませんか?

実は、管理業者・サブリース業者等について、消費生活センターに寄せられた相談件数は、令和5年度において年間1万件以上もあります。

家賃が一方的に減額されたり、契約解除ができなかったりと、深刻なトラブルが後を絶ちません。

この記事では、サブリースが危ないと言われる7つの理由を徹底解説します。

家賃減額、解約困難、免責期間、修繕費水増し、礼金搾取、資産価値低下、倒産リスクという具体的なリスクと、契約前に確認すべきチェックポイントをお伝えします。

この記事を読めば、営業マンから「30年保証」という一見すると良さそうに聞こえる言葉の裏側にあるリスクを理解でき、サブリースと管理委託のどちらを選ぶべきか判断できるようになるでしょう。

自身の資産を守るためにも、30年という長期契約で後悔しないよう、ぜひ最後までお読みください。

引用|国土交通省 賃貸住宅管理業法の施行状況について

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サブリースが危ないと言われる仕組みと管理委託との違い

サブリース契約を検討する前に、まず基本的な仕組みを理解する必要があります。

家賃保証があるから安心と思っていても、実際の契約内容を理解していないと後から「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねないからです。

特に管理委託との違いを知らずに契約すると、収益性で大きな損失を被る可能性があります。

このセクションで解説するのは、以下の2点です。

  • サブリースの基本構造とは
  • 管理委託との決定的な違い

それでは、詳しく見ていきましょう。

サブリースの基本構造とは

サブリースとは、サブリース会社が物件を一括で借り上げ、入居者に転貸する仕組みです。

具体的には、オーナー(あなた)がサブリース会社に物件全体を貸し出し、サブリース会社がそれを入居者に又貸しします。

サブリース会社は、入居者から実際の家賃を受け取り、オーナーには「保証賃料」を支払う仕組みです。

この保証賃料は、満室時の家賃相場の80~90%が一般的な相場となります。

例えば、満室時の家賃収入が月100万円の物件なら、オーナーが受け取る保証賃料は月80~90万円。残りの10~20万円は、サブリース会社の収益です。

入居者の募集、契約手続き、家賃回収、クレーム対応など、すべての管理業務をサブリース会社が行うため、オーナーは何もしなくて済みます。

一方、オーナーは本来得られるはずの10~20%の収益を手放すことになるだけでなく、家賃減額や契約解除の自由度が著しく制限されるのが懸念点です。

管理委託との決定的な違い

管理委託とサブリースの最大の違いは「誰が入居者と契約するか」です。

管理委託は、オーナーが入居者と直接契約し、管理会社は業務を代行するだけですが、サブリースではサブリース会社が入居者と契約し、オーナーは入居者と直接の関係を持ちません。

表で比較すると、違いがより明確になります。

項目サブリース管理委託
契約形態一括借上げ(転貸)管理業務委託
空室リスクサブリース会社が負担オーナーが負担
オーナーの収入保証賃料(80~90%)満室時家賃-管理手数料(約5%)=95%
管理負担ゼロ小(書類確認程度)
入居者選定サブリース会社が決定オーナーが承認
契約解除困難(正当事由必要)容易(3~6ヶ月予告)

空室リスクは、管理委託ではオーナーが負担し、サブリースでは会社が負担します。

収益性は、管理委託では家賃の95%を受け取れますが、サブリースでは80~90%のみであるため、月100万円の家賃なら年間60~180万円の差です。

契約解除の場合、管理委託なら3~6ヶ月前の予告で可能ですが、サブリースでは正当事由が必要で実質困難です。

管理委託なら、収益性が高く、契約の自由度も保たれますが、サブリースは収益性が低く、契約に縛られる点に注意しておかなければなりません。

サブリースが危ない7つの理由やリスク

サブリース契約には、家賃減額、解約困難、免責期間、修繕費水増し、礼金搾取、資産価値低下、倒産リスクという7つの深刻なリスクがあります。

国民生活センターへの相談事例も多いため、取り組む場合は慎重に検討すべきです。

特に、老後資金の確保を考えている、他の収入がない場合、30年後まで安定した収入を得られるかどうかが、生活に直結します。

このセクションでは、以下の7つのリスクを解説します。

  • 【理由①】家賃保証額が一方的に減額される
  • 【理由②】オーナー側からの解約が困難
  • 【理由③】免責期間中は賃料が入らない
  • 【理由④】修繕費用の水増し請求
  • 【理由⑤】礼金・更新料が搾取される
  • 【理由⑥】売却時の資産価値が低下する
  • 【理由⑦】サブリース会社の倒産リスク

それでは、詳しく見ていきましょう。

【理由①】家賃保証額が一方的に減額される

「30年家賃保証」と言われても、実際には2~3年ごとに家賃が減額されるケースが多く、30年間家賃が一定ではありません。

場合によっては当初10年間家賃が変わらない契約もありますが、10年以降は2~3年ごとの見直しになるケースが大半です。

さらに、法律上はサブリース会社が「家賃が周辺相場より高い」と主張すれば、いつでも保証賃料の減額を請求できます。

周辺の家賃相場が10%下落したり、物件が老朽化したりすると減額を要求されてしまいます。

例えば、月90万円が5年後には月75万円に減額される場合、年間180万円も収入が減ることになりかねません。

契約書で減額条件を明確にすることは可能ですが、法律上はサブリース会社の減額請求権が保護されるため、完全な回避は困難です。

契約前には、賃料見直し条項、減額の上限、通知期間を必ず確認してください。

根拠法令|借地借家法32条

【理由②】オーナー側からの解約が困難

サブリース契約は、オーナー側から解約することがほぼ不可能と言えるでしょう。

解約には「正当事由」が必要であり、サブリース会社は「借主」のため法律上保護されてしまうからです。

「建物の取り壊し」「オーナー自身が住む必要」など、正当事由と考えられるケースは極めて限定的で、収益が悪いという理由では認められません。

一方、サブリース会社は借地借家法により借主として保護されているため、オーナーよりも契約解除が容易です。

契約前には、中途解約条項と違約金条項を必ず確認しておきましょう。

根拠法令|借地借家法28条

参考|公益財団法人 全国賃貸住宅経営者協会連合会「サブリース契約「賃料減額」と「解約拒否」への対応」

【理由③】免責期間中は賃料が入らない

新築時や退去後には、一般的に1〜3ヶ月程度の「免責期間」が設定され、その間は保証賃料が支払われません。

免責期間とは、サブリース会社が入居者を募集する期間で、オーナーへの賃料支払い義務が無いからです。

契約書に小さく記載され、見落としがちであるため、契約書は隅々まで説明を受けるようにしておきましょう。

例えば、退去後の免責期間が2ヶ月で、年間3回入居者が入れ替わった場合、年間6ヶ月分の賃料が支払われないことになります。

保証賃料が月90万円なら、年間540万円の機会損失となる計算です。

契約前には、新築時と退去後それぞれの免責期間の長さ、広告費、リフォーム費用などオーナー負担となる免責期間中の条件に注意しておく必要があります。

【理由④】修繕費用の水増し請求

サブリース契約では、修繕業者をサブリース会社が指定する条項が含まれているケースがあります。

この場合、オーナーは自分で業者を選べず、相見積もりを取ることもできません。

発生する3つの問題点

1.相見積もりが取れない

業者が指定されているため、他社と価格を比較できず、たとえ提示された金額が高額でも、それが適正価格なのか判断する手段がありません。

2.修繕の必要性が不透明

サブリース会社から「修繕が必要」と言われても、本当に必要な工事なのか、オーナー自身で確認することが困難です。

3.費用負担はオーナー

修繕費用はオーナーが負担しますが、業者選定権がないため、費用をコントロールできません。

 

国土交通省の調査でも、修繕費用に関するトラブルはサブリース契約における頻出問題として報告されているため、注意が必要です。

【理由⑤】礼金・更新料が搾取される

入居者から受け取る礼金や更新料は、すべてサブリース会社の収入です。

サブリース契約では、入居者と契約するのはサブリース会社となるため、入居時の礼金や2年ごとの更新料は、サブリース会社が受け取ります。

そのため、オーナーが受け取るのは毎月の保証賃料のみです。

例えば、家賃10万円の物件で入居者が4年住んだ場合、礼金10万円+更新料10万円=20万円がサブリース会社の収入になります。

10戸の物件で全戸が4年間入居を続けた場合、合計200万円の礼金・更新料がサブリース会社の収入となり、オーナーには入りません。

多くの場合、サブリース会社は「保証賃料に含まれている」と説明しますが、実際に保証賃料は満室時の80~90%で設定されており、礼金・更新料分は考慮されていないのが現状です。

【理由⑥】売却時の資産価値が低下する

サブリース契約が付いた物件は、売却時の評価額が低くなる傾向があります。

サブリースでは保証賃料が満室時の80~90%のため収益性が低く、買主から見ると「契約の引き継ぎ」「契約内容が不透明」といった理由によって敬遠される可能性があるからです。

不動産の売却価格は「収益還元法」で算出されるため、収益性が低く評価されます。

例えば、満室時の年間家賃収入が1,200万円の物件で、利回り6%なら評価額は2億円です。

サブリースで保証賃料が年間960万円(80%)なら、評価額は1億6,000万円となり、計算上は4,000万円の差が生まれます。

契約前には、契約期間と更新、契約承継の可否を必ず確認してください。

【理由⑦】サブリース会社の倒産リスク

サブリース会社が倒産すると、入居者への敷金返還義務がオーナーに回ってきます。

例えば、20世帯の物件で1世帯あたり敷金10万円なら、合計200万円の返還義務が発生する計算です。

2018年の「かぼちゃの馬車事件」ではスマートデイズの届出債権は1,053億円にも上りました。

2020年12月施行のサブリース新法では、誇大広告の禁止や重要事項説明の義務化が定められましたが、倒産リスク自体は回避できません。

契約前には、会社の財務状況、上場の有無、実績を確認した上で取り組むべきですが、そもそもサブリース契約を選ばない選択肢も検討しましょう。

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サブリースが危なくても選ぶべき人・避けるべき人

初めて賃貸経営をする場合、分からないことが多くできれば運営を管理会社に任せておきたいと考える方も少なくないでしょう。

サブリースは、すべての人に適さないわけではなく、状況によっては最適な選択肢になることもありえます。

このセクションでのポイントは以下の2点です。

  • サブリースが向いている人の3つの条件
  • 絶対にサブリースを避けるべき人の特徴

それでは、詳しく見ていきましょう。

サブリースが向いている人の3つの条件

サブリースが向いているのは、以下の3つの条件をすべて満たす人です。

管理に一切関与したくない、または関与できないケース

遠方に住んでいて物件の管理が物理的に困難高齢で管理業務が負担本業が忙しくて時間が取れない、といった理由で管理に関われない場合、サブリースが選択肢になります。

管理委託でも管理業務の大部分は委託できますが、入居者の承認や重要な判断はオーナーが行わなければなりません。

サブリースならこれらの判断もすべてサブリース会社に任せられる点が大きく異なります。

具体的には、入居者審査、家賃設定、修繕の判断、退去時の立会いなど、すべての業務を委託できる点がメリットと言えるでしょう。

収益性より安定性を最優先したい

サブリースは、収益性が10~20%低下しますが、空室リスクを完全に回避し、毎月安定した収入を得られます。

老後資金の一部として確実な収入を確保したい場合や、ローン返済を確実に行いたい場合、安定性を優先する選択肢としてサブリースが有効です。

サブリース契約を選択するオーナーの多くは、収益性よりも「安定収入」を最優先理由に挙げるケースもあります。

契約内容を完全に理解し、リスクを許容できる

サブリースの家賃減額、解約困難などリスクを理解し、それでも「安定収入のメリットが上回る」と判断できる場合、サブリースを選ぶ価値があります。

ただし、将来の家賃減額を前提とした収支計画を立て、減額後もローン返済が可能かを確認することが重要です。

これら3つの条件をすべて満たす場合、サブリースは選択肢の一つになりますが、管理委託の方が適しているケースが多いため、慎重に選定することをおすすめします。

絶対にサブリースを避けるべき人の特徴

以下の特徴に1つでも当てはまる場合、サブリースは避けるべきです。

高額なローンを組んでいる場合

保証賃料が満室時の80~90%のため、ローン返済比率が高い場合、キャッシュフローが悪化します。

さらに、将来の家賃減額でマイナスに転落する可能性も否定できません。

例えば、満室時の家賃収入が月100万円で、ローン返済が月80万円の場合、保証賃料が月85万円なら手取りは月5万円のみです。

仮に、5年後に保証賃料が月75万円に減額されれば、月5万円の赤字に転落してしまいます。

ある程度自己資金を入れるか、シミュレーションをした上で十分に収支が回る場合でなければ、将来的なことを考えると取り組みが難しいと言えるでしょう。

収益性を重視する場合

不動産投資の目的が「資産形成」「老後資金の積み増し」なら、収益性を最大化するに重点を置きましょう。

サブリースでは、保証賃料の10~20%減、礼金・更新料の喪失により、管理委託と比べて年間数十万円~数百万円の収入差が生まれます。

収益性を重視するなら、空室リスクを負っても管理委託を選ぶことをおすすめします。

不動産投資の未経験者

サブリース契約は、契約内容が複雑で、リスクを正確に理解するには専門知識が必要です。

初心者がサブリース会社の営業トークを鵜呑みにすると、後から「こんなはずじゃなかった」と後悔することになります。

まず管理委託で不動産経営の基礎を学び、物件の運営実態を把握することが重要です。

賃貸不動産経営管理士やファイナンシャルプランナーなど、専門家への相談も検討しましょう。

物件売却の可能性があるケース

将来的に物件を売却する可能性がある場合、サブリース契約が足かせになりかねません。

買主が見つかりにくく、売却価格が低くなる傾向があるため、よほど資金に余裕がない限り、売却時に借入残高を完済できない可能性があります。

売却の可能性がある場合、サブリース契約は避けておくべきでしょう。

まとめ|安易な「家賃保証」より堅実な経営計画を

サブリース契約には、家賃減額、解約困難、免責期間、修繕費水増し、礼金搾取、資産価値低下、倒産リスクという7つの深刻なリスクがあります。

「30年家賃保証」という言葉は魅力的ですが、実際には2~3年ごとに家賃が減額されオーナー側から契約を解除することもほぼ不可能です。

収益性も10~20%低下し、本来受け取るべき収益が得られないことで、長期的には数千万円の損失につながります。

サブリースが適しているのは、管理に一切関与したくない、収益性より安定性を優先する、リスクを完全に理解している、という3つの条件をすべて満たす人と言えるでしょう。

特に高額ローンを組んでいる、収益性を重視する、不動産投資初心者、物件売却の可能性がある人はサブリースを避け、管理委託を検討すべきです。

30年という長期契約で後悔しないために、安易な「家賃保証」に飛びつかず、リスクを正確に理解し、堅実な経営計画を立てましょう。

なお、いきなり不動産会社へ相談するのではなく、まずは専門家への相談も検討し、正しい知識を得た上で検討するようにしてください。

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