「老後資金が心配で、自宅を活用できないか考えている」
「リバースモーゲージという仕組みを知ったが、リースバックとの違いがわからない」
「金利上昇や不動産価格の下落で、将来的に自宅を失うリスクがあると聞いて不安だ」
こんな不安を抱えていませんか?
実は、リバースモーゲージもリースバックも「自宅に住み続けながら資金を得られる」という点では共通しています。
しかし、所有権・毎月の支払額・リスクなど、内容が大きく異なる点を理解しておかなければなりません。
この記事では、リバースモーゲージの仕組みや、リースバックとの5つの違いを解説しました。
さらにネット上で「やばい」と言われるリスクとその対処法まで、あなたに合った選択ができる判断基準を紹介しています。
この記事を読めば、営業マンの言葉を鵜呑みにせず、自分で冷静に判断できるようになるでしょう。
それだけでなく、配偶者や子どもにもわかりやすく説明できる知識が身につくため、ぜひ最後までご覧ください。
リバースモーゲージとは?仕組みをわかりやすく解説

リバースモーゲージは、自宅を担保に融資を受け、生きている間は利息のみ、元本は死亡時に自宅を売却して一括返済する仕組みです。
住宅ローンの「逆」の流れになるため「リバース(逆)モーゲージ(担保)」と呼ばれています。
ここでは、リバースモーゲージの基本的な3つの仕組みを理解しましょう。
- 返済の仕組み:毎月は利息のみ支払い、元本は死後に清算
- 融資の仕組み:極度額の範囲内で必要な時に資金を引き出す
- 公的制度と民間金融機関の2種類から選べる
1つずつ解説していきます。
返済の仕組み:毎月は利息のみ支払い、元本は死後に清算
リバースモーゲージは、生きている間は利息のみを支払いであるため、毎月の支払負担が少ないのが特徴です。
住宅ローンでは元本と利息を合わせて毎月返済しますが、リバースモーゲージは元本の返済が発生しません。
1,000万円を借りた場合、住宅ローンなら毎月8-10万円程度の返済が必要ですが、リバースモーゲージなら利息の2-3万円のみで済みます。
死亡時には、自宅を売却した代金で元本と未払い利息を一括返済し、売却代金が借入額を上回れば差額は相続人に支払われます。
ただし、売却代金が借入額を下回った場合は、相続人が不足分を負担する「リコース型」か、不足が生じても支払い義務が生じない「ノンリコース型」を選ぶかで対応が異なります。
なお、ノンリコース型を選んだ場合は、リコース型に比べて金利負担が高くなる点に注意しましょう。
融資の仕組み:極度額の範囲内で必要な時に資金を引き出す
リバースモーゲージは、自宅評価額の50-60%を融資限度額として設定し、その範囲内で必要な時に資金を引き出せます。
一括で借りるだけでなく、年金の補填や医療費など、必要な時に必要な分だけ借りられます。
住宅金融支援機構のリ・バース60では、自宅評価額の50%が融資限度額であるため、3,000万円の自宅なら1,500万円まで一括で借りても、分割で毎月10万円ずつ借りても構いません。
利息は実際に借りた金額に対してしか発生しないため、1,500万円の枠があっても500万円しか借りていなければ、利息は500万円分だけです。
固定資産税や医療費など、必要な時に必要な分だけ借りることで、利息負担を抑えられます。
公的制度と民間金融機関の2種類から選べる
リバースモーゲージには、社会福祉協議会が提供する公的制度と、民間銀行が提供する商品の2種類あります。
公的制度の特徴
「不動産担保型生活資金」は、低所得の高齢者世帯が対象で、生活費の補填に限定されます。
金利は年3%程度と低めですが、所得制限が厳しく、住民税非課税世帯が条件であるため利用は限定的です。
民間金融機関の特徴
資金使途が比較的自由で、リフォーム費用や医療費、旅行資金などにも利用可能です。
三菱UFJ銀行やみずほ銀行などが提供しており、年収制限は比較的緩やかです。
以下に、2種類の違いをまとめました。
| 項目 | 公的制度 | 民間金融機関 |
| 提供機関 | 社会福祉協議会 | 銀行・信託銀行 |
| 対象者 | 低所得高齢者 | 年収制限が緩やか |
| 資金使途 | 生活費のみ | 比較的自由 |
| 金利 | 年3%程度 | 年2-4%程度 |
| 利用件数 | 年間約1,000件 | 年間数千件 |
検討する際は、両者の内容を検討してから決めましょう。
リバースモーゲージとリースバックの違いとは?5項目で比較

リバースモーゲージとリースバックは、どちらも自宅に住み続けながら資金を得られる仕組みです。
ただし、所有権の有無によって将来の選択肢が変わるだけでなく、毎月の支払額も10倍以上違うケースもあります。
そこで、このセクションでは以下の5つの項目について説明していきます。
- 【比較1】所有権の有無
- 【比較2】融資と自己資金の違い
- 【比較3】毎月の支払い:少額の利息か相場並みの家賃か
- 【比較4】配偶者の扱い:契約継承の条件が異なる
- 【比較5】年齢制限:リバースモーゲージは50-60歳以上、リースバックは不問
詳しく見ていきましょう。
【比較1】所有権の有無
リバースモーゲージは自宅を所有したままですが、リースバックは自宅を不動産会社に売却する点が大きく異なります。
リバースモーゲージを活用する最大のメリットは、自宅を「自分の財産」として守れることです。
将来的に不動産価格が上昇した場合、自宅を引き継ぐ相続人も恩恵を受けられます。
一方、リースバックは所有権がなくなるため、手元に自分の不動産は残りません。
自身のライフプランによって選択肢が異なるため、まずは自宅をどうしたいかを決めることからスタートしましょう。
【比較2】融資と自己資金の違い
リバースモーゲージは金融機関からの融資、つまり「借金」です。
リースバックは、自宅を売却した代金から賃料を払う仕組みなので「自己資金」となります。
商品性の違いによって、相続時の扱いと税金に影響が出てしまう点に注意しておきましょう。
融資の場合、死亡時に相続人が自宅を売却して返済するか、現金で一括返済する必要があります。
一方、売却代金の場合、すでに所有権は不動産会社に移っているため、不動産に関する相続人への影響はありません。
相続人に家を残す可能性があるならリバースモーゲージ、家は不要で今すぐまとまった資金が必要ならリースバックが向いています。
【比較3】毎月の支払い:少額の利息か相場並みの家賃か
リバースモーゲージは毎月の利息のみを支払い、リースバックは相場並みの家賃を支払います。
この違いによって毎月の家計負担に直結するため、慎重に比較する必要があるでしょう。
リバースモーゲージの場合、金利は年2-4%程度が相場です。
1,000万円の借入で3%の利率なら、年間の利息は約30万円、月2.5万円程度の負担となります。
リースバックの場合、2,000万円で売却できたと仮定すると、月12-15万円程度となる計算です。
月12万円であれば、年間144万円の固定費となり、年金280万円で生活している場合、家賃だけで年金の半分以上が消えてしまいます。
以下に、具体的な試算例をまとめました。
| 項目 | リバースモーゲージ | リースバック |
| 必要資金 | 1,000万円 | 2,000万円(売却) |
| 毎月の支払い | 約3万円(利息) | 約12万円(家賃) |
| 年間負担 | 約30万円 | 約144万円 |
| 支払後の手元資金 | 約250万円 | 約136万円 |
リバースモーゲージとリースバックでは、年間負担が約120万円も違うため、将来設計も大きなポイントとなります。
【比較4】配偶者の扱い:契約継承の条件が異なる
契約者が死亡した場合、配偶者が住み続けられるかどうかは、リバースモーゲージとリースバックで条件が異なります。
リバースモーゲージの場合
配偶者が連帯債務者として契約に加わっていれば、そのまま契約を引き継げます。
ただし、配偶者も年齢制限や収入要件を満たす必要があり、金融機関によっては再審査が必要です。
リースバックの場合
不動産会社が承諾すれば、賃貸借契約を配偶者が引き継げます。
家賃支払い能力の審査が入る場合があり、配偶者の年金収入が少ないと保証人を求められることもあります。
万が一、配偶者が一人残された後も安心して住み続けるためには、リバースモーゲージでは配偶者を連帯債務者、リースバックでは賃貸借契約書に明記しておきましょう。
【比較5】年齢制限:リバースモーゲージは50-60歳以上、リースバックは不問
リースバックには基本的に年齢制限がありませんが、リバースモーゲージでは、多くの金融機関で50-60歳以上という年齢制限を設けています。
リースバックに制限がない理由としては、売却したお金を元に賃料を支払う仕組みであるため、年齢制限がないということです。
40代でも利用できますが、若い世代が利用すると、売却代金以上に家賃支払いの負担が増えてしまうため、おすすめはできません。
リバースモーゲージが「やばい」と言われる3大リスクと対処法

リバースモーゲージには、金利上昇・不動産価格下落・長生きという3つの大きなリスクがあります。
金利が1%上昇すると毎月の支払いが年間10万円増える、不動産価格が下落すると融資限度額を減らされ一括返済を求められることも懸念点です。
リバースモーゲージに注意しておきたい3つのリスクは以下の通りです。
- リスク1:金利上昇で毎月の利息支払いが増え続ける|対処法:固定金利を検討する
- リスク2:不動産価格下落で融資限度額を減らされる際はノンリコース型を選択
- リスク3:長生きして融資限度額に到達してしまうリスクは終身型が賢明
対処法も踏まえて確認していきましょう。
リスク1:金利上昇で毎月の利息支払いが増加する場合は固定金利を検討
変動金利型のリバースモーゲージは、金利上昇により毎月の利息支払いが増え続けるリスクがあります。
2024年以降、日本銀行がマイナス金利政策を解除したことで、金利上昇のリスクが現実化しました。
住宅ローンの変動金利は年0.5-1%程度上昇しており、リバースモーゲージも同様です。
金利が2%から3%に上昇すると、1,000万円の借入で月約8,000円の負担増となります。
年金280万円で生活している場合、年間10万円の支出増は家計を直撃するでしょう。
住宅金融支援機構のリ・バース60では、金利タイプを選択できるため、将来の金利上昇リスクを回避できる固定金利なら安心です。
リスク2:不動産価格下落で融資限度額を減らされる際はノンリコース型を選択
リバースモーゲージは、定期的に自宅の評価額を見直し、不動産価格が下落すると融資限度額を減額されるリスクがあります。
仮に、評価額が当初の3,000万円から2,400万円に下落した場合、融資限度額は1,500万円から1,200万円に減額されるため、すでに1,300万円を借りていると、100万円の一括返済を求められます。
特に、人口減少が進む地域では、地価下落により融資限度額が減額されるリスクが高いと考えておくべきです。
また、金融機関によって見直しのタイミングは異なりますが、基本的には見直し頻度が高いほど融資限度額の減額リスクが高まります。
対処法としては、見直し頻度が低い金融機関またはノンリコース型を選んでおくと良いでしょう。
ノンリコース型なら、自宅の売却代金が借入額を下回っても、相続人に追加負担が発生しないため、多少の金利差を許容できるのであればおすすめの方法です。
リスク3:長生きして融資限度額に到達してしまうリスクは終身型が賢明
リバースモーゲージは、想定より長生きすると融資限度額に到達し、追加の資金を借りられなくなるリスクがあります。
例えば、1,500万円の融資枠を毎月10万円ずつ借りると、12年半で枠を使い切る計算です。
90歳まで生きる場合、80歳で枠を使い切ると、残りの10年間は年金のみで生活しなければなりません。
厚生労働省の簡易生命表によると、65歳男性の平均余命は約20年、女性は約25年です。
想定より長生きすることは珍しくなく、融資枠を使い切るリスクがあることを理解しておきましょう。
ただし、終身型なら、何歳まで生きても融資枠を使い続けられます。
年金で生活費の大部分を賄い、リバースモーゲージは固定資産税や医療費など特定の支出に限定することで、融資枠を使い切ることなく、上手く活用できるでしょう。
リバースモーゲージを利用するための3つの条件

リバースモーゲージを利用するには、年齢・物件・相続人の同意という3つの条件を満たす必要があります。
条件を満たさなければ、どれだけ資金が必要でも利用できません。
ここではそれぞれの条件を確認していきます。
- 年齢制限:一般的に50歳〜60歳以上から利用可能
- 物件条件:都市部の戸建てが有利(マンションは厳しい)
- 相続人の同意:子供全員の承諾書が原則必須
契約前に必ず確認しておきましょう。
年齢制限:一般的に50歳〜60歳以上から利用可能
リバースモーゲージは、多くの金融機関で50-60歳以上という年齢制限を設けています。
具体的には、住宅金融支援機構のリ・バース60は原則60歳以上、三菱UFJ銀行は60歳以上、みずほ銀行は55歳以上が対象です。
年齢制限がある理由は、若い世代が利用すると返済までの期間が長くなり、金利負担が膨らむためです。
長期間にわたる金利変動リスクや不動産価格変動リスクも大きくなります。
物件条件:都市部の戸建てが有利(マンションは厳しい)
リバースモーゲージは、自宅の評価額をもとに融資限度額が決まるため、担保となる不動産の価値が重要です。
戸建ての場合
土地と建物がセットで担保となります。
特に東京23区や政令指定都市など、土地の評価額が高い都市部では、融資限度額も大きくなりやすい傾向です。
建物が古くなっても土地の価値は残るため、評価が高くなります。
マンションの場合
マンションの場合、融資を受けにくい傾向にありますが、主な理由は以下の2つです。
1つ目は、土地の持ち分が戸建てに比べて少ないからです。
例えば、100戸のマンションなら、あなたの土地の持ち分は1/100しかありません。
2つ目は、建物の評価が築年数とともに下がることです。
築30年のマンションでは、建物の評価はほぼゼロになります。
結果として、マンションの担保価値は「わずかな土地の持ち分のみ」となり、融資限度額は戸建ての半分以下になることもあるでしょう。
なお、マンションの場合、取り扱いのない金融機関もあるため、事前の確認が必須です。
相続人の同意:子供全員の承諾書が原則必須
リバースモーゲージを利用するには、相続人全員の同意を必要としています。
死亡時に自宅を売却して返済するため、相続人が自宅を相続できなくなるからです。
売却代金が借入額を下回った場合、相続人が不足分を負担する可能性もあります。
金融機関は、契約前に相続人全員から承諾書を取得し、子どもが複数いる場合は全員の同意を求めます。
一人でも反対すれば、契約できない点に注意しましょう。
仮に、親族に反対された場合は、リバースモーゲージの仕組みとメリット・リスクを丁寧に説明することが大切です。
特に、ノンリコース型を選べば相続人に追加負担が発生しないことを伝えれば、親族が抱える不安は解消されやすくなるでしょう。
リバースモーゲージに関するよくある質問

リバースモーゲージについて、利用者からよく寄せられる質問をまとめました。契約前の不安を解消するために確認してください。
Q1: 生活保護受給中でもリバースモーゲージは使えますか?
公的制度の「不動産担保型生活資金」なら利用できますが、民間金融機関のリバースモーゲージは原則利用できません。
生活保護受給者は、自宅以外の資産を持つことが制限されているからです。
ただし、社会福祉協議会が提供する「不動産担保型生活資金」は、低所得高齢者を対象としており、生活費の補填に利用できます。
利用を検討する場合は、市区町村の社会福祉協議会に相談しましょう。
Q2: リバースモーゲージで失敗した事例はありますか?
金利上昇で利息支払いが困難になった事例や、不動産価格下落で一括返済を迫られたケースもあります。
リバースモーゲージに関するトラブルの中には「金利上昇で利息が払えない」「評価額見直しで融資限度額を減らされた」といった場合です。
失敗を避けるためには、固定金利型を選ぶ、見直し頻度が低い金融機関を選ぶ、またはノンリコース型を選びましょう。
Q3: 認知症になったらどうなりますか?
契約時に判断能力が必要です。
すでに認知症を発症している場合、本人が契約することはできません。
その場合、成年後見制度を利用し、成年後見人が本人に代わって契約する必要があります。
また、契約後に認知症になった場合、成年後見人が利息の支払いや契約管理、金融機関との連絡などを行います。
Q4: 途中で売却したくなったらどうすればいいですか?
自宅を売却することで元金と未払い利息を一括返済すれば、契約を終了させられます。
なお、売却代金が借入額を上回れば、差額の受け取りも可能です。
ただし、金融機関によっては早期解約手数料が設定されている場合があるため、契約前に解約条件と手数料を確認しておきましょう。
まとめ|リバースモーゲージとリースバックを正しく理解した上で後悔しない選択を
リバースモーゲージとリースバックは老後の生活を安定させる選択肢と言えますが、両者の仕組みは根本的に異なります。
リバースモーゲージは、所有権を保持したまま利息のみを支払う仕組みですが、金利上昇・不動産価格下落・長生きという3つのリスクを考慮しておかなければなりません。
一方、リースバックは所有権を失う代わりに、まとまった資金を今すぐ受け取れますが、毎月の家賃負担が大きくなる点が異なります。
所有権を保持したい、毎月の負担を減らしたい、配偶者が住み続けたいという人は、リバースモーゲージが適しているでしょう。
逆に、まとまった資金が今すぐ必要、所有権にこだわらない、高額ローンを早く返済したいという人は、リースバックが適しています。
契約前に必ず複数の金融機関や不動産会社から提案を受け、長期的な収支シミュレーションを比較することが重要です。
これらの仕組みにおいて重要なのは、家族へ相談した上で取り組みを検討しなければならないことです。
少しでも不安があればファイナンシャルプランナーや法テラスに相談し、関係者全員が納得した上で取り組みを検討しましょう。
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