はじめに:住宅ローンは「借りられる額」と「返せる額」が違う!

「マイホーム購入」は、子育て世帯にとって大きな夢であり、同時に人生最大の買い物です。
住宅ローンを組む際、多くの人が「いくら借りられるか」に注目しがちですが、本当に大切なのは「無理なく返せるのはいくらか」です。
金融機関が示す「最大借入可能額」は、あくまで審査上の上限であり、将来の教育費や老後資金までを考慮した「安全な借入額」ではありません。
特に子育て世帯は、教育費のピークや、共働きの場合のライフスタイルの変化を見据えた計画が必要です。
本記事では、世帯年収別の「無理のない借入額」の目安と、子育て世帯が後悔しないための具体的な計画の立て方を解説します。
世帯年収別「借りられる額」と「返せる額」の目安

住宅ローンの「借りられる額」と「返せる額」について、具体的に見ていきましょう。
世帯年収別「安全な借入額」早見表
まず、金融機関が審査で用いる基準は、年収に対する年間のローン返済額の割合である「返済負担率」で、一般的に30%〜35%程度です。
つまり、これが「借りられる額」の基準です。
しかしこの最大基準まで借りると、教育費や生活費を圧迫し、家計破綻のリスクが高まります。
住宅ローンの適正な借入額は、年収だけでなく、毎月の返済額が手取り収入に対して無理のない割合であるかが重要です。
借入額の目安として「年収の5倍~7倍」という指標がよく用いられますが、毎月の手取り月収に占める返済額の割合を20%~25%以内に抑えるのが安全です。
以下の表は、手取り月収の20%を返済に充てた場合の、世帯年収別の借入額の目安です。
| 世帯年収(額面) | 手取り月収目安 | 毎月の安全な返済額目安(20%) | 安全な借入額の目安 |
| 500万円 | 約28.7万円 | 約5.7万円 | 約2,000万円 |
| 600万円 | 約34.5万円 | 約6.9万円 | 約2,500万円 |
| 800万円 | 約47.0万円 | 約9.4万円 | 約3,400万円 |
| 1,000万円 | 約58.0万円 | 約11.6万円 | 約4,200万円 |
| 1,200万円 | 約69.0万円 | 約13.8万円 | 約5,000万円 |
住宅ローン借入額のシミュレーション方法
シミュレーションツールとして、住宅金融支援機構の住宅ローンシミュレーションがあります。
こういったツールを利用して試算してみると、イメージがわきやすくなるでしょう。
試算が難しいと感じるときには、不動産会社や銀行の担当者に聞くよりも、FPなどのお金のプロに相談するのがおすすめです。
お金についての専門的な知識をもとに、家計全体を総合的に見た安心感のある試算が可能です。
住宅ローンで失敗しない大原則:年収で決めるのは危険!

住宅ローンで失敗しないためには、年収以外のポイントを押さえることが大切です。
なぜ失敗?住宅ローンで「後悔」する人が見落とす2つの視点
住宅ローンで後悔する人の多くは、以下の2つの視点を見落としています。
・現在の年収ベースで判断してしまう: 将来の教育費のピーク、退職後の生活費など、「時間軸」を考慮に入れていない。
・キャッシュフローを把握していない: 住宅ローン以外の生活費、車の維持費、趣味や旅行費など、「毎月の支出」を正確に把握していない。
将来的に家計が圧迫されないよう、現状をしっかりと把握し、未来を見据えた計画を立てることが大切です。
金融機関の「最大借入可能額」は借入の目安額ではない
金融機関が審査で算出する「最大借入可能額」は、現在の年収と健康状態に基づき、「滞りなく返済できる」ことのみをチェックしたものです。
借りられるだけ借りてしまうと、数年後に教育費の急増や金利の上昇といった「現実の壁」にぶつかってしまう可能性が高まります。
借入可能額は「審査上の最大値」であり、あなたが「無理なく返済できる額」ではありません。
この最大額まで借りてしまうと、貯蓄が困難になるケースが多くなるため、注意しましょう。
共働き世帯の場合、妻の育休・時短勤務中の収入減や、将来的な働き方の変化を必ず考慮に入れましょう。
片働きの収入だけでも返済できる額に抑えるなどの、リスクヘッジが重要です。
住宅ローンを借りる前に決めるべき3つの数字
後悔しないための大原則は、「借りられる額」ではなく「返せる額」から逆算することです。
そのためには、以下の3つの数字を決めてみましょう。
①目標とする「毎月の貯蓄額」: 子どもの教育費や老後資金のため、毎月必ず確保したい金額。
②無理のない「毎月の返済額」: 手取り月収の20%~25%以内に抑えた金額。
③最終的な「物件予算」: 頭金と借入額の合計。
これらを曖昧なまま進めてしまうと、返済が重くなったり、教育費との両立が難しくなったりと、後になって後悔することも考えられます。
しかし、「貯蓄額・返済額・物件予算」を正確に割り出すのは、家計ごとの事情や将来のライフプランを踏まえないと難しいのも事実です。
迷ったときは、住宅ローンだけでなく教育費・老後資金まで含めて家計全体を設計できるFPに相談すると安心です。
第三者の専門家に見てもらうことで、あなたの家庭にとっての“無理のない予算”が明確になるでしょう。
住宅ローンを有利に進めるための頭金について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
住宅ローンを有利に進めるための頭金|貯め方と審査のポイントを解説|FPオフィス「あしたば」
【子育て世帯】後悔しない「教育費両立計画」

住宅ローンを組む際は、教育費との両立を考えることが重要です。
ここからは、子育て世帯が後悔しないための「教育費両立計画」についてお伝えします。
後悔の主な原因は「教育費」
子育て世帯が住宅ローンで後悔する原因として、「教育費のピーク」を考慮できていないことが挙げられます。
特に子どもが複数いる場合や、私立進学を検討している場合、教育費は「住宅ローン返済」と並ぶ、大きな支出となります。
大学入学時の「貯蓄残高」を逆算
教育費の最も大きな負担は、大学入学時にかかる費用です。
文部科学省の調査によると、高校入学から大学卒業までにかける子ども一人当たりの費用の累計額は以下の通りです。
高校3年間:261.8万円
大学4年間:680.7万円
合計:942.5万円
※進学先によっても費用は異なります。
大学にかかる費用は、進学先ごとに以下のとおりです。
私立文系大学:951.6万円
私立理系大学:1,083.4万円
国公立大学:743.0万円
このように、高校入学から大学卒業までで、1,000万円以上の費用が必要となるのが現実です。
住宅ローン計画を立てる際は、この時期の支出に耐えられるかを基準にしましょう。
住宅ローン・教育費・老後資金を両立させるポイント

住宅ローンを組むときには、教育費・老後資金との両立を考える必要があります。
住宅ローンと両立させるポイントとしては、以下が挙げられます。
ボーナス返済の見直し
ボーナスは家電の買い替えや旅行費、そして教育費の突発的な出費(塾代、予備校代など)に備えるための重要な貯蓄源です。
返済比率を高く設定している場合は、教育費のピーク期間だけでも月々返済に切り替えるなど、柔軟な対応を検討しましょう。
返済を後回しにしすぎない
教育費のピークを乗り越えるための対策は、将来の家計設計にも影響します。
特に注意したいのが「老後資金との両立」です。
教育費の負担を抑えるために住宅ローン返済を後ろに伸ばしすぎると、退職後の家計を圧迫してしまいます。
ローンの返済期間を定年退職時までに完済できる期間に設定し直すことで、老後資金の確保とローン返済の区切りを明確にしましょう。
月々返済額の調整
教育費のピークが来る前に余裕資金で繰り上げ返済を行い、月々の返済額を軽減しておくなど、家計の負担を調整する方法もあります。
ただし、住宅ローンの金利や、手元の現金を運用に回す選択肢、住宅ローン控除のメリットなどを総合的に考慮する必要があります。
計画的に進めるのが大事とはいえ、金利や税制の複雑な要素も含む対策を、すべて自分だけで完璧に考えようとするのは至難の業でしょう。
ライフステージや家計の状況に合わせたプロからのアドバイスを受けることで、「繰り上げ返済の最適なタイミング」や「現金の効果的な残し方」について、あなたにとってメリットの大きい道筋が明確になります。
大きな損をしないため、そして教育費と老後資金のバランスを最適化するためにも、一度プロに相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ:後悔しない住宅ローンは「返せる額」から逆算!

住宅ローンは、多くの家庭にとって人生最大の支出であり、同時に長期間続く“固定支出”です。
子育て世帯の場合、住宅ローンの返済が続いている最中に、教育費のピークが訪れます。
そのため、年収から逆算するのではなく、未来の家計を見据えて逆算することが重要です。
将来の家族の笑顔のために、現在の年収ではなく、「未来の生活」を支えられる住宅ローン計画を立てましょう。
計画を立てるのが難しい場合や、将来に漠然とした不安がある場合には、FPオフィス「あしたば」の相談をご活用ください。
現状やご希望をしっかりとヒアリングしたうえで、FPの視点から、将来を見据えたアドバイスをさせていただきます。
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