会社員でも「資産運用がしたい」
会社員に関するiDeCoの決まりや手続きが知りたい
この記事は、そんな悩みがある方向けの内容です。
会社員が使える資産運用制度の一つにiDeCo(個人型確定拠出年金)がありますが、決まりや手続きがよく分からない方もいると思います。会社員は「企業型DC(企業型確定拠出年金)」にも加入できるため、iDeCoとどちらに加入するか悩んでいるケースもあるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、会社員に関するiDeCoの決まりや手続き、iDeCoと企業型DCの違いなどについて解説します。また、2022年には会社員を取り巻くiDeCo制度の大きな変更が予定されているため、こちらも合わせて紹介していきます。
会社員に関するiDeCoの決まりと手続き
まず会社員に関するiDeCo制度の基本、決まりと手続きについて見ていきましょう。
iDeCo制度をチェックするときに覚えておきたいポイントは主に3つ。「加入者区分」「掛金上限」「加入手続き」です。
この3点はiDeCo加入の際にマストで覚えるべき項目ですが、逆にこの3点を覚えておけば、概ね問題無いとも言えます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
会社員の加入者区分と掛金上限
iDeCoには手続きや掛金上限を働き方で分類した「加入者区分」という区分があります。区分には公的年金の被保険者区分が用いられており、第1号被保険者(フリーランス・自営業者・学生など)、第2号被保険者(会社員)、第2号被保険者(公務員・私学教員)、第3号被保険者(2号被保険者の被扶養者)に分かれています。
被保険者区分 | 掛金限度額 |
第1号被保険者(自営業・フリーランス・学生など) | 年額:816,000円 月額:68,000円 |
第2号被保険者(会社員) | 企業型DC・DBに加入していない場合 年額:276,000円 月額:23,000円企業型DCに加入している場合 年額:240,000円 月額:20,000円企業型DCとDBに加入している場合 年額:144,000円 月額:12,000円 |
第2号被保険者(公務員・私学教職員) | 年額:144,000円 月額:12,000円 |
第3号被保険者 | 年額:276,000円 月額:23,000円 |
会社員は第2号被保険者に該当し、掛金上限は月額12,000~23,000円、年額144,000~276,000円となっています。
ここで注目して欲しいのが、会社員の掛金は企業型DC(企業型確定拠出年金)とDB(確定給付企業年金)の加入状況によって変動する点です。会社員の年金は国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建てのため、企業型DC・DBの加入状況に応じてバランスを取っているのです。
また、制度上、iDeCoと企業型DC・DBの同時加入は可能ですが、iDeCoに加入できるのは企業型DCの規約でiDeCo加入が認められている場合に限られます。
会社員のiDeCo加入手続き
会社員がiDeCoに加入する際の手続きは下記のとおりです。
- 加入資格・掛金上限の確認(企業型DC・DB加入状況の確認)
- 月額掛金の決定
- 運用商品・金融機関の決定
- 事業主の証明書を取得
- 各種書類の準備
- iDeCo加入申し込み
会社員のiDeCo加入手続きには2つポイントがあります。1つは企業型DCとDBの加入状況を確認して掛金上限を知ること、もう1つは会社から事業主の証明書を取得することです。
じつは、会社員のiDeCo加入には事業主の証明書が実質的な壁になっています。会社員は事業主の証明書が無いとiDeCoに加入できないのですが、会社内で珍しがられたり、証明書発行手続きを面倒くさがられたりといったことが起こるケースがあるのです。「気にしなければいいじゃん」と思うかもしれませんが、当事者になると意外とやっかいな問題だったりします。
しかし、事業主の証明書は2022年の制度改正で廃止が検討されています。2022年の改正内容については後ほど詳しく解説します。
会社員が所得控除を受けるには年末調整で申請しよう
iDeCoには下記3つの節税効果があります。
- 掛金が全額所得控除になる(小規模企業共済等掛金控除)
- 運用益が非課税
- 受取時に税制優遇を受けられる
中でも掛金の所得控除は働きながら受けられるメリットとして注目されており、所得税・住民税節税のためにiDeCoを始める方は珍しくありません。
会社員がiDeCoの所得控除を受ける場合は、会社の年末調整で申請する必要があります。記入書類は毎年11月頃に総務から記入する書類が来ると思います。年末調整の時期は総務担当も忙しくなると思いますので、事前に相談しておくのがおすすめです。
iDeCoと企業型DCの違いは?
会社員が入れるiDeCoと企業型DC、実際どちらの方がお得なのでしょうか?どちらとも確定拠出年金である点は共通しており、税制優遇制度も用意されています。
しかし、iDeCoは主体が「個人」、企業型DCは主体が「企業」という点から異なる部分も出てきます。ここでは、このiDeCoと企業型DCの違いを解説します。
iDeCoと企業型DCの違いは掛金の拠出元
iDeCoと企業型DCの大きな違いは「拠出元が個人か企業か」という点です。iDeCoの掛金は全額個人が拠出しますが、企業DCは企業が掛金を拠出してくれます。なお、運用は個人で指定します。
また、税制優遇制度の面でも違いがあります。
iDeCoは掛金を支払った後に所得控除を申請しますが、企業型DCでは企業が払い込んだ掛金を個人の所得として見ないため、掛金自体が全額非課税となります。
もう一点、選べる運用商品にも違いがあります。iDeCoは商品選択に制限がありませんが、企業型DCで選べるのは会社で取り扱っている商品のみです。どうしても商品の選択幅が減るのは理解しておきましょう。
iDeCo | 企業型DC | |
出資元・運用者 | 出資元:個人 運用者:個人 | 出資元:企業 運用者:個人 |
税制優遇制度 | ・運用益の非課税 ・受取時の税制優遇 ・掛金を全額所得控除できる | ・運用益の非課税 ・受取時の税制優遇 ・企業から個人に払い込まれる掛金が非課税となる |
運用商品の選び方 | iDeCoを取り扱っている金融機関から自分で選ぶ | 企業の規約で決められた商品から選ぶ |
掛金上限 | 企業型DC・DBに加入していない場合 年額:276,000円 月額:23,000円企業型DCに加入している場合 年額:240,000円 月額:20,000円企業型DCとDBに加入している場合 年額:144,000円 月額:12,000円 | 企業DCのみ 月額:55,000円iDeCoの同時加入が認められている場合 月額:35,000円DBなどほかの企業年金制度がある場合 月額:27,500円DBなどほかの企業年金制度があり、iDeCoの加入が認められている場合 月額:1.55万円 |
会社員のiDeCo加入に関するよくある悩み
会社員のiDeCo加入に事業主の証明書が必要な点からも分かるように、会社員がiDeCoに加入する場合は会社とのやり取りが不可欠です。そのため、加入することを会社に知られたり、会社に頼むことがあったりと気の進まない部分も出てきます。
これらの問題をどう解決すればいいのか、ここでは代表的な2つの悩みについて見ていきましょう。
iDeCo加入を会社に知られたくない
会社内で話題にされるのがいやで、iDeCo加入を会社に知られたくない方は多いのではないでしょうか。しかし、残念ながら現状ではこの悩みを解決する方法はありません。
2021年10月現在の制度では会社員のiDeCo加入には事業主の証明書が不可欠で、証明を得るには担当部署への依頼がどうしても必要になってきます。
ただし、2022年になると話は変わってきます。2022年秋をメドに事業主の証明書が不要とする方針で、改正されれば会社に相談することなく加入できるようになります。改正までiDeCoを始められないデメリットはありますが、どうしても会社に知られたくない方は事業主証明の廃止まで待つ方法もあります。
会社が事業主証明の書類を書いてくれない
iDeCoは完全に個人で運用する制度のため、会社の福利厚生とは関係がありません。そのため、事業主の証明書発行を面倒くさがられるケースもあります。
この風潮は「イデハラ」とも呼ばれ、会社員のiDeCo加入を妨げる原因にもなっています。
しかし、会社側には「確定拠出年金法」に基づいて社員のiDeCo加入に協力することとされており、事業主の証明書発行においても協力するべき立場にあります。
(個人型年金についての事業主の協力等)
第78条
厚生年金適用事業所の事業主は、当該厚生年金適用事業所に使用される者が個人型年金加入者である場合には、当該個人型年金加入者に対し、必要な協力をするとともに、法令及び個人型年金規約が遵守されるよう指導等に努めなければならない。
2 前項の場合において、国は、厚生年金適用事業所の事業主に対し、必要な指導及び助言を行うことができる。
ただ、法令整備はされていても現場では守られていない現状があります。法令を引き合いに出して交渉するのもはばかられる部分があると思いますので、頼れる上司から交渉してもらうのが現実的な方法ではないでしょうか。
また、2022年秋をメドに事業主の証明書の廃止が検討されているため、言い出しにくい場合はそれまで待つ方法もあります。
2022年の改正でiDeCoと企業型DC両方加入可能に
最後に、2022年に予定されている会社員に関するiDeCo制度について見ていきましょう。主な変更点は下記の3点です。
- 受取可能年齢の引き上げ(2022年4月~)
現在:60歳以上70歳未満
改正後:60歳以上75歳未満 - 加入可能年齢の拡大(2022年5月~)
現在:60歳未満
改正後:65歳未満 - 企業型DCとiDeCoの同時加入要件の緩和(2022年10月~)
現在:企業型DCにiDeCo加入を認める規約がある場合のみ加入可能
改正後:企業型DCの規約に関係なくiDeCoに加入可能
iDeCoの各種条件は全体的に緩和される方向です。中でも企業型DCの規約に関わらずiDeCoに加入できるのは大きな変更点で、多くの会社員が加入できるようになる見込みです。
また、この変更に伴って加入時の事業主の証明が不要になる予定です。時期は2022年秋をメドとしており、会社員が自由にiDeCoに入れるようになる期待が寄せられています。
会社員を取り巻く環境は変化している2022年をメドに検討を
会社員には企業型DCの規約や事業主の証明といったiDeCo加入の壁が多く、これまで加入を断念してきた方も多いと思います。
しかし、2022年には企業型DCとiDeCoの同時加入が予定されており、会社員もiDeCoに加入しやすい環境が整備されつつあります。
まだ少し先の話ですが、今からiDeCoの知識を学んでおくのは損にはなりません。資産運用に興味があるなら、2022年をメドに加入を検討してみてはいかがでしょうか?
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からNISA・ジュニアNISAやiDeCo/イデコ・企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なNISAやiDeCoの活用法と注意点」から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
大好評の「無料オンラインセミナー」も随時開催中!
↓↓↓弊社推奨の「低コストiDeCo加入窓口」はこちら↓↓↓