「スイッチングって何?」
「スイッチングのメリットとデメリットは?」
この記事は、そんな疑問がある方向けの内容です。
iDeCo(イデコ)は高い積み立て効果や複数の税制優遇制度を有する便利な制度です。しかし、60歳まで受け取れない特徴もあるため、好きなときに利益を確定できない不安を持っている方もいるのではないでしょうか。
じつは、iDeCoにも「スイッチング」という利益を確定して商品を切り替える方法が用意されています。
もちろん拠出をやめる必要もないですし、追加の費用も必要なし。iDeCoを運用している方なら誰でも使える制度です。
この記事では、スイッチングの概要とメリット・デメリットについて解説します。
iDeCoのスイッチング(預け替え)とは
「スイッチング(預け替え)」とは、保有している投資信託の一部またはすべてを売却し、投資信託を切り替える手続きのことです。
例えば、A・B・C、3つの商品を下記の額ずつ保有していたとします。
- A:30万円
- B:30万円
- C:60万円
ここで保有額のバランスを見直すため、Cをすべて売却し、新たにDとEという商品を30万円ずつ購入しました。
- A:30万円
- B:30万円
- D:30万円
- E:30万円
この、保有商品の売却と新規商品の購入を一体で行うことをスイッチングと言います。
今回のスイッチングでは、商品のバランスがCに偏っていた状況を、DとEに分散することで改善できました。
なお、この手続きはiDeCoの基本的な制度として用意されているもので、手続きを行うために特別な申請が必要なものではありません。金融機関の窓口やWEBサイトなどから簡単に手続き可能です。
スイッチングの目的は利益確定とリバランス
スイッチングの主な目的は主に2つ、積立期間中に利益を確定させる「利益確定」と、保有商品のバランスを整える「リバランス」です。
そもそもiDeCoは60歳以上になるまで受け取りができません。そのため、途中で売却ができないと商品価値の下落に対応ができなくなってしまいます。
スイッチングはこの点に対応した制度で、商品価値が上昇したときや暴落の危険性があるときなどに「利益確定」をしたり、運用中に崩れた商品バランスを「リバランス」で整えたりといったことができます。
長期運用が前提であるiDeCoならではの制度で、運用状況を健全化するために定期的にお世話になる制度です。
運用比率の変更を行う「配分変更」という手続きも
スイッチングと似た制度に「配分変更」があります。配分変更は商品の購入バランスを調整する手続きのことで、商品の切り替えは伴いません。
例えば、A・B・C・D、4つの商品を下記バランスで購入していたとします。
- A:30%
- B:30%
- C:10%
- D:30%
しかし、商品の運用成績と市場の状況を踏まえて、来月から下記のとおり変更することにしました。
- A:30%
- B:30%
- C:20%
- D:20%
このバランスを整える行為を配分変更と言います。金融商品の利率は購入時にある程度提示されていますが、必ず利率が保障されるわけではありませんし、自らの生活状況の変化によって投資の目標が変わることも考えられます。
そのため、状況に応じて配分変更を行い、購入バランスを最適化する必要があるのです。
スイッチングの手数料や回数制限は?
スイッチング手続きは基本的に手数料は無しで行うことができ、回数制限についても特段の決まりはありません。ただし。金融機関によっては回数制限が定められている場合があります。
具体的な手続き方法は金融機関ごとに異なり、窓口で対応するケースもあればWEB上で手続きが完結するケースもあります。
また、スイッチングを行う間隔ですが、これはDC法(確定拠出年金法)により、3カ月に1回以上指図できるように定められています。最小スパンについては特段の定めはありません。
実際にスイッチングを行うスパンは運用状況を見ながら都度決定することとなります。必ずしも定期的にスイッチングを行う必要はありませんが、状況把握は定期的に行うと良いでしょう。
iDeCoのスイッチングをするメリット
スイッチングの影響を想定するためにもメリット・デメリットは必ず把握しておきたいところです。
特にメリットはスイッチングの目的と強く関連してきます。制度の強みを把握して、スイッチングを効果的に活用しましょう。ここでは、スイッチングの主なメリット2つを解説します。
積立目標の変更ができる
iDeCo自体の目標は老後資金を作ることですが、積立目標や利用目的などは運用途中で変わる可能性があります。
特に金融商品選びは目標に合わせて行うため、積立目標が変われば選ぶべき金融商品も変わってきます。中でもリスクと利率のバランスは検討すべきポイントで、積立目標をクリアするための重要な指標となってきます。
積立目標を変更すべきタイミングですが、生活状況に大きな変化があったら見直しを検討しましょう。生活状況に大きな変化があるとライフプランニングも変わる可能性があるため、必然的に積立目標も見直す必要性が生じてきます。
成績の良い商品に切り換えられる
スイッチングは、自らの資産を守る目的や、より多くの積立資金を獲得するためにも利用できます。
iDeCoで金融商品を運用していると、ときには成績の良い「買い」な商品を見つけたり、商品価値が暴落する危機に遭遇したりといった可能性があります。
「買い」の商品を見つけた際にスイッチングを行えば運用成績を向上できますし、暴落の危険性があるときにスイッチングを行えば、資産の減少を回避できる可能性があります。これは、一般的な投資における買い・売りを行うべき考え方と同様です。
ただ、これらの目的でのスイッチングにはリスクも伴うため、金融機関の担当者やFPのような専門家に相談してから行いましょう。投資経験や知識があれば話は別ですが、これらが不十分な方が個人判断で行うのはリスクの高い行為と言えます。
iDeCoのスイッチングをするデメリット
スイッチングはiDeCoを運営するうえで必要不可欠な制度ですが、いくつかデメリットもあるため、むやみに行うのはおすすめしません。とはいえ、運用成績を左右するような大きなデメリットは無く、いずれも運用するうえで覚えておきたい注意点程度です。
ここではスイッチングの主なデメリットを2つ紹介します。
手続き完了に1週間程度かかる
スイッチングの申込内容は手続き後すぐに反映されるわけではありません。スイッチング手続きには一般的に1週間前後必要になり、特に4~6営業日かかるケースが多い傾向にあります。
手続きにこれだけの日数がかかる理由は、保有している金融商品を売却する手続きと、新たな金融商品を購入する手続きがセットになっているため。また、金融商品の売却資金を元手に新たな金融商品を購入する特性上、売却と購入を同時に行えない点も要因の一つになっています。
手数料がかかるケースがある
スイッチング手続きは基本的に無料で行えますが、一部手数料がかかるケースがあります。それは「信託財産留保額」が設定されている投資信託を売却する場合です。
信託財産留保額とは投資信託を途中解約する際に支払う費用のこと。解約にかかる費用は投資信託を売却した日の基準価額に一定の率をかけて算出され、算定率は0.3%前後に設定されているケースが一般的です。
ちなみに、信託財産留保額の有無は投資信託の商品ごとに設定されているため、商品購入時に確認するようにしましょう。
スイッチングはiDeCoの長期運用に欠かせない制度
スイッチングは利益確定やリバランスを目的とした、iDeCoの基本的制度の一つ。長期運用が前提になるiDeCoだからこそ、状況に応じたスイッチングで運用成績を健全に保ちたいですね。
特に、生活状況が変わった場合はスイッチングを検討するタイミング。当初設定した積立目標を変更する必要は無いか、今一度見直してみましょう。
また、見直しはライフプランニングの見直しとのセットがおすすめ。ライフプランニングとiDeCo両方の知識を持つFP(ファイナンシャルプランナー)に相談するとより具体的な見直しが可能になります。
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からNISA・ジュニアNISAやiDeCo/イデコ・企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なNISAやiDeCoの活用法と注意点」から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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