2022年12月の消費者物価指数は前年同月比4.0%上昇と、41年ぶりの水準となりました。
物価上昇の対策として投資による資産形成が不可欠で、あしたばではこれまでも長期・分散投資の重要性をお伝えしてきました。
今回は分散投資の投資先になる金融商品について、その商品性や主なリスクを解説していきます。
(文中に取り上げている数値は、注釈がないものは2023年2月時点のものです)
投資先の商品ごとに想定される主なリスク
金融商品は様々な要因で価値が変動するなど、投資におけるリスクはさまざまです。
ここではまず主なリスクを解説します。
価格変動リスク
金融商品の価格は様々な要因で上下に変動し、結果として投資元本を割ることがあります。
信用リスク
有価証券の発行体の財務状況などが悪化することによって利払いや元本の支払いが行われない可能性があります。
為替変動リスク
外貨で取引を行う金融商品の場合、買付時と比べて円安が進むと外貨ベースの利益が発生し、円高が進むと外貨ベースで損失が発生することがある点を知っておくことは非常に大切です。
流動性リスク
流通量が少なかったり、買いたい(売りたい)数量が極端に多かったりすると、価格や数量、タイミングなどで思った通りの売買ができないことがあります。
カントリーリスク
政治や災害、国際情勢などで、投資対象の国や地域で混乱が起こり、金融商品に影響する場合も想定しておかなければなりません。
【分散投資の投資先】円建て資産
次に、投資先候補の資産として、円建ての資産について解説します。
なお、円建て資産とは円で価値が表示される金融資産のことをいいます。
①円建て預金・貯金
商品性
銀行・信用金庫が扱う預金、ゆうちょ銀行・JAなどが扱う貯金があり、一番身近な金融商品ともいえるでしょう。
普通預金や定期預金が一般的ですが、実際には預ける期間や金額、金利などによっていろいろな種類の預金商品が存在します。
普通預金の金利は0.001%が多いですが、最近はネット銀行などでより高い金利が付くものもあるので、預金利率の高さで観点で金融機関を選ぶのも一案です。
リスク
預貯金は基本的に元本割れリスクはありませんが、あえてリスクを挙げると、預けている金融機関の破綻リスクがあります。
ただしその場合もペイオフの対象になることが多く、基本的に一定金額までは保護されます。
一部商品は対象外のものもあるので、確認した上で選ぶといいでしょう。
ペイオフとは、預金保険制度に加盟している金融機関が破綻した場合の、預金者保護の方法のひとつで、「預金者への保険金の直接支払い(ペイオフ方式)」を言います。
金融機関が破綻した上でペイオフ方式が適用されると、一定額まで払い戻されます。
②円建て債券
商品性
債券は国、自治体、企業など(発行体)が発行する金融商品です。
投資家は債券を買うと、決められた期間、決められた利息を受け取ることができ、償還(満期)時には投資元本が返ってきます。
例えば個人向け国債の5年償還の条件は、0.15%の利率(金利)に決まりました。(令和5年3月15日発行)
それならもっと利率が高い債券に投資したい!と考えますよね。
債券の条件は償還までの期間や発行体の信用力などで決まるので、一般的に高い利率がつくということは、償還までの期間が長い債券や、発行体の信用力が低い債券ということになります。
リスク
債券投資の主なリスクは、価格変動リスク・信用リスク・流動性リスクです。
債券の価格は市場の金利に影響され、市場の金利が上がると債券の価格(価値)は下がり、市場の金利が下がると債券の価格(価値)は上がり、債券価格と金利は逆の動きをします。
また、発行体の信用力が下がると、債券の価格下落の要因になるので、債券投資を考える場合は、償還まで持ちきることを前提に、銘柄をしっかり選んで投資してください。
③国内株式
商品性
企業(株式会社)が発行する金融商品で、証券取引所(市場)で売買を行います。
投資家(株主)は議決権を持ち、株主総会への出席ができたり、銘柄によって配当金や株主優待を受けたりできるのがメリットです。
日経平均の配当利回りはおよそ2.2%あり、預金や個人向け国債の金利と比べても魅力的です。
しかし配当や株主優待は約束されたものではないことや、投資資金を回収するには市場での売却の必要があるので注意しなければなりません。
リスク
株式投資の主なリスクは、価格変動リスク・信用リスク・流動性リスクです。
株式の価格は株式市場全体の調整や為替・金利の変動など様々な要因が合わさって変動していくので、プロでも市況を読むのは難しいものです。
株式投資をするときは、目先の損益に惑わされず、投資する企業の事業やその成長性を信じて応援する気持ちで長期保有するようにしましょう。
④J-REIT(Jリート)
商品性
REITは不動産投資信託といい、その日本版をJ-REITと呼びます。
商品の概要としては、会社(投資法人)が投資家から資金を集め不動産投資を行い、賃料収入や不動産売買収益を得て、投資家へ分配するものです。
投資信託という名前がついていながら、証券取引所に上場していて株式と同じように売買できるのが大きな特徴といえます。
REITは利益の90%以上を分配することで法人税が免除され、全体平均でも4%程度の分配金利回りがあるので、投資先として魅力的な水準ともいえます。
REITへ投資するメリットは魅力的な分配金の他に、少額でも不動産投資ができることです。
投資法人によって組み入れる不動産の区分は様々あり、住居、ホテル、商業施設、オフィス、物流施設などを単一の区分で運用するところもあれば、これらを組み合わせるところもあります。
銘柄を選ぶときは分配金だけでなく、REITの運用先などの特徴も含めて選択してくださいね。
リスク
J-REIT投資の主なリスクは、信用リスク・価格変動リスク・流動性リスクです。
J-REITの場合、有価証券のリスクに加えて、災害などで投資不動産に被害が出ることにより、価格が下落することも想定されます。
多くの不動産には保険が掛けられているので、損失はカバーできる場合が多く、時間の経過とともに元の水準まで戻ることもあるので冷静に判断しましょう。
⑤コモディティ
商品性
コモディティとは金などの貴金属、トウモロコシなどの農産物、原油などのエネルギーなどの商品を指します。
このような商品も市場で売買され、特に金は『有事の金』と言われるほど金融市場や国際情勢の変化に強く、コロナショック(2020年2月~3月頃の株価が大きく下落したことをいいます。)で他の資産が低迷する中、いち早く価格が上がっていました。
リスク
コモディティ投資の主なリスクは、価格変動リスク・流動性リスクです。
株式では企業の成長という価格が上がる要素がありますが、商品にはそういった要素はなく、為替や国際情勢・実需といった様々な要因によって大きく価格が変動します。
商品そのものなので、インフレには強いというメリットもありますが、ハイリスク商品でもあるので、あくまで分散投資の投資先候補の1つとして考えるのがいいでしょう。
【分散投資の投資先】外貨建て資産
一方、資産運用に外貨を取り入れ、円安が進行して為替の利益が出た場合は、日本円だけで運用するよりも有利です。
円高になれば損失がでるので、外貨での運用はリスクが増えると考えて慎重に検討していきましょう。
また、外貨建て資産で共通している注意点は、円と外貨を交換する際の手数料です。
手数料は金融機関によってかなりばらつきがあるので、コストが安い金融機関を使うのもポイントです。
新興国通貨を取引する場合は手数料率が大きくなることが多いので、特に注意が必要です。
では、外貨建て資産について解説していきます。
①外貨預金
商品性
外貨で買付・満期がくる預金で、普通預金と定期預金があります。
投資対象の通貨は、先進国通貨の米ドル、ユーロなどだけでなく、新興国通貨のタイバーツ、中国元、南アフリカランドなど様々ありますが、金融機関によって取り扱い通貨が違います。
金利は、一般的に新興国通貨などがより高くなる傾向があり、先進国通貨でも日本の預金金利よりは高いことが多いので、投資の際は国の成長性などを吟味して検討してください。
リスク
外貨預金の主なリスクは、為替変動リスクです。
円建ての預金と同じように、外貨預金でも外貨ベースでは元本割れのリスクはほぼないのですが、その分為替の動きで損益が決まるので、買付時や円転(外貨を円に交換すること)時はしっかり確認してください。
また、預金であってもペイオフの対象にはならないので、注意しましょう。
②外貨建て債券
商品性
外貨建ての債券とは、外貨で買付、償還が来る債券で、預金と同じようにいろいろな通貨で発行されています。
国内の個人投資家が買える外貨建て債券の発行体は海外の国や企業であることが多く、その信用力と発行通貨によって利率が決まります。
発行体の情報が限られるので、格付けなどで投資判断することが多くなってしまうのが難点ですが、リスクを比較的抑えながら資産運用の効率をあげられるので、必要に応じてうまく取り入れてみましょう。
例えば、2年償還の日本国債の金利(利回り)はいまだにマイナス金利ですが、2年償還の米国債の金利(利回り)は4.6%ほどです。
リスク
外貨建て債券の主なリスクは、為替変動リスク・信用リスク・価格変動リスクです。
外貨預金と同じように為替が損益の大きな要素ですが、それに加えて債券の価格変動リスクもあるので、途中売却する場合は外貨の損益と債券の価格も合わせて確認して判断しましょう。
償還まで持ち切ることと、円に交換するタイミングがポイントです。
③海外株式
商品性
米国、中国、シンガポールなど、海外の株式も日本の株式と同じように証券会社を通じて売買できます。
特に米国株式にはAmazonやMicrosoftなど、日本人にもなじみの深いグローバル企業も多く、国や企業の成長性や市場規模の大きさなどを考えると、魅力的な投資先の1つではないでしょうか。
しかし、税制などの制度や注文の出し方などの違いや時差もあるので、取引する際は概要をきちんと理解した上で行うようにしましょう。
リスク
海外株式の主なリスクは、為替変動リスク・信用リスク・価格変動リスク・流動性リスク・カントリーリスクです。
株式としてのリスクに加えて、外貨を使うことになるので為替の影響が大きい取引になります。
また、日本株式と比べて価格変動が大きかったり、発行体の情報が入手しづらいというデメリットがあるので、海外株式も銘柄を慎重に選び長期保有するといいでしょう。
④海外REIT
商品性
REITはもともと米国から始まった制度で、世界全体で189.7兆円規模、そのうち米国REITが132.8兆円と世界の約7割を占めています。(引用:大和アセットマネジメント 【基礎から学ぶ】USリートとは?)
J-REITと違って海外REITは不動産開発することも可能なので、より高い利回りを期待できます。
しかし、日本から海外REITへの直接投資は制度上できなくなっているため、投資する場合は上場投資信託(ETF)や投資信託を利用しましょう。
リスク
海外REITの主なリスクは、為替変動リスク・信用リスク・価格変動リスク・流動性リスク・カントリーリスクです。
不動産開発も可能な海外のREITは、より高い利回りを期待できる反面、値動きが大きくなる傾向があるので注意が必要です。
また、政治や紛争、災害など、不動産があるエリア特有のリスク(カントリーリスク)もあるので、投資対象国を分散するのもいいですね。
分散投資の実践
ここまで投資先の候補になる金融商品を紹介してきましたが、実際投資を行う時には組み入れる商品やその割合を決めなくてはなりません。
これをアセットアロケーションと言いますが、長期・分散投資の肝といっても過言ではありません。
アセットアロケーションを考える際は、組み入れ資産の相関関係なども考慮する必要があるため、自分で考えることが難しい場合は、投資信託の活用がおすすめです。
なお、最近は資産運用をコンピュータに任せる、いわゆるロボアドバイザー(ロボアド)も徐々に認知度が上がっています。
さまざまな情報から適切なアドバイスを導き出せることがメリットである反面、やはり対面での相談など、人によるサポートの重要性は今後も変わりません。
ファイナンシャルプランナーに相談することで、単に投資という観点だけでなく、家計・資産といった総合的な視点から長期の資産運用をアドバイスしてくれる場合があります。
独立系のファイナンシャルプランナーを選ぶなど、相談先の実績なども加味しながら、自分に合うものを検討してください。
まとめ
今回は分散投資をする上で必要な投資先の金融商品を解説しました。
複数の資産を組み合わせてリスク分散し、安心して長期投資するため、投資先の金融商品を理解することは欠かせません。
分散投資の第一歩は、アセットアロケーションを決めることです。
弊社あしたばでは、創業当初から一般生活者向けに長期分散投資のサポートをしています。
その中で、NISA・iDeCoの活用や確定拠出年金の導入など、国の制度の積極的な活用を促進し、資産形成のパートナーとして今後も寄り添っていきます。
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