今年の冬は「暖冬」だとニュースで耳にした方も多いのではないでしょうか。
暖冬は経済面にも影響を与えることをご存知ですか?
今回は、暖冬が経済面で与える影響や業績を伸ばしそうな意外な業界について解説します。
普段目にしているものでも、見方を変えると違った一面が見えてくるものです。「そういった見方もあるのだな」と新たな視点に加えていただければ幸いです。
暖冬とは?
気象庁によると、暖冬とは、冬(12〜2月)の平均気温が高いことを指します。
平年と比べてどうなのかを表現する方法としては3つあり、「低い(少ない)」「平年並み」「高い(多い)」となっています。
記録的な暖冬となった年は?
ここ数年で暖冬は増えています。暖冬になった年と、具体的にどういう天候だったのかをまとめてみました。
年 | 北日本 | 東日本 | 西日本 | 南西諸島 | 天候の特徴 |
2021 | -0.1℃ | +1.0℃ | +0.8℃ | +0.4℃ | 東・西日本と沖縄で暖冬、記録的な大雪となったところもあり、西日本日本海側では特に多くなった |
2020 | +1.2℃ | +2.2℃ | +2.0℃ | +1.3℃ | 記録的暖冬:降雪量は全体的に少なく、日本海側は記録的な少雪となった |
2019 | +0.4℃ | +1.1℃ | +1.3℃ | +1.8℃ | 暖冬 :東日本以西は高温、沖縄・奄美は記録的暖冬、西日本日本海側は少雪となった |
2017 | +0.5℃ | +0.8℃ | +0.8℃ | +1.1℃ | 全国的に暖冬:一時的寒気南下で気温変動が大きかった、西日本日本海側は大雪となり、交通障害や農業施設被害が発生した |
2016 | +1.0℃ | +1.4℃ | +1.0℃ | +0.6℃ | 全国的に暖冬:冬型気圧配置続かず、気温が高く暖冬となった |
参考:国土交通省 気象庁
直近では、2020年の冬が統計開始以降、記録的な暖冬となりました。雪が少なくなったり、反対に多くなったりと地域によって大きな差があるのがわかります。
暖冬になる原因
それでは暖冬になる原因は何なのでしょうか?
原因として考えられるのがエルニーニョ現象です。聞いたことがある方は多いでしょう。
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道地域の日付変更線付近から、南米沿岸にかけて、海面水温が平年より高くなる現象です。
エルニーニョ現象が発生すると、西太平洋熱帯域の海面水温が低下し、積乱雲の活動が不活発となります。これによって、日本付近では西高東低の気圧配置が弱まり、気温が高くなる傾向があります。
世界気象機関(WMO)によると、去年から続くエルニーニョ現象が過去5番以内に入るほど強いとされています。
世界の海の大部分で、海面水温が平年を上回り、3〜5月の気温はほぼすべての陸で気温が平年を超える見込みだそうです。
(参考:ウェザーニュース「過去5本の指に入る強いエルニーニョ現象 3〜5月も世界的に高温 WMO発表」)
暖冬が経済に及ぼす影響
暖冬は経済にどのような影響を与えるのでしょうか。「個人消費」「企業業績」の2つの観点から見ていきましょう。
個人消費への影響
さまざまな調査結果を見ると、暖冬になると個人消費にマイナスの影響が見られることがわかっています。
暖かくなることから、アウターや暖房器具などの季節商品を買わなくなるためです。
また、スキーやスケートなどの冬レジャーにも行かなくなることは想像に難くないでしょう。
事実、エルニーニョ現象と景気には関係があるとされており、1990年代以降のエルニーニョ発生時の景気後退確率は通常の1.6倍となっています。
例えば、総務省の「家計調査報告[家計収支編]平成28年(2016年)平均速報結果の概要」によると、2016年1〜3月期における、婦人用洋服の支出金額の実質増減率は前年同期に比べ実質14.1%の減少となっています。
企業業績への影響
暖冬は企業業績にも影響を与えます。
暖冬の影響を受けやすい業界は、エネルギー業界や衣料品関連などが挙げられます。
また個人消費でも挙げたレジャー業界も影響を受けやすくなります。
過去、暖冬により悪影響を受けた業界と恩恵を受けた業界は下記の通りです。
【悪影響を受けた業界】
業界 | 詳細 |
エネルギー | ガス、電力、石油など |
食品・飲料 | 水産加工品、野菜、即席麺、ホット飲料など |
衣料品 | 下着、レインウェア、長靴など |
スポーツ | スキーなど |
家電 | ストーブ、など |
自動車 | スタッドレスタイヤ、チェーンなど |
【恩恵を受けた業界】
業界 | 詳細 |
レジャー | ゴルフ、テーマパークなど |
食品・飲料 | アイスクリーム、ビールなど |
暖かくなることから、冬にしか使わない季節商品の需要が下がることがわかります。
また、同じ食品・飲料業界でも、取り扱うものによって、悪影響を受けたところとそうでないところがあることがわかります。
暖冬で業績を伸ばしそうな意外な業界
先述したように、暖冬はよくも悪くも企業業績に影響を与えます。
普段何気なく接しているものでも、暖冬が株価にも影響を与えているかもしれません。
銘柄を選定する際、暖冬によって業績を伸ばしそうな銘柄にポイントを絞るのも一つでしょう。
殺虫剤メーカー
暖冬によって恩恵を受ける意外な業界に、殺虫剤メーカーが挙げられます。
暖かくなると、虫が動き出すのも早くなるためです。
例えば、アース製薬株式会社の「2020年12月期第3四半期決算短信」によると、記録的な暖冬と、出荷最盛期に差し掛かる5〜6月にかけて気象条件が良かった虫ケア用品部門が好調だったと報告されています。
農薬メーカー
虫が出て困るところは家だけではありません。田んぼや畑などでも同じことです。
実際に東北化学薬品株式会社の「平成28年9月期第2四半期決算短信」を見ると、暖冬の影響で農薬の需要が高まり、売上高が前年同四半期を上回ったと報告されています。
まとめ
今回は、暖冬が経済に与える影響を中心に見てきました。
個人でみると消費は落ち込みますが、業界によっては恩恵を受けるところもあります。
また、最後には暖冬によって業績が伸びそうな意外な業界もご紹介しました。
普段はなかなか気付きませんが、視点を変えると新たな一面が見えてくるでしょう。
暖冬によって業績が伸びそうな業界は他にもあるでしょう。ぜひ探してみてください。
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