育休中も手取り10割ってどういうこと?
2024年現在、育休開始から180日の間にもらえる育休手当は、休業前の手取り賃金の8割ほどです。
それが、2025年4月からは「出生後休業支援給付」の導入により、一定期間中の育休手当が手取り10割相当にアップすることが決まっています。
今回は、過去に育休を2度経験したあしたばライター司馬が、出生後休業支援給付について詳しく解説します。
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育児休業(育休)の現状
育児休業とは、雇用保険に入っている人が、原則として1歳未満の子どもを養育するために使える休業制度です。
2024年現在の育児休業(育休)の現状について、育休手当の支給額と育休取得率に焦点をあてて解説します。
育児休業給付金(育休手当)の支給額
育児休業中は、一定の要件を満たした場合に、育児休業給付金(育休手当)が受け取れます。
育休手当の支給額は以下のとおりです。
支給額=休業開始時賃金日額×支給日数×67%(※)
(※181日以降は50%)
<休業開始時の賃金日額>
育休開始前6ヶ月間の賃金を180日で割った額
だいたい、1ヶ月の給料額面の67%が支給されることになります。
収入が67%に減ると思うと、家計には痛手だと思う方が多いのではないでしょうか。
それは、以下の2つの理由からです。
- 育休中は社会保険料(健康保険料・ 厚生年金保険料)の支払いが免除になる
- 育休手当は非課税のため、所得税がかからない
(住民税は前年の所得に応じて決まるため、育休中でも支払わなければなりませんが、翌年度の住民税の計算には含まれません。)
いつも給料から天引きされている社会保険料や税金の支払いがなくなるため、育休手当の金額は、手取りの8割程度になります。
手取りが20万円だった方は、約16万円の育休手当がもらえるイメージです。
このように、育休手当は会社を休んでいても一定の金額が支給されるため、お金の心配をせずに子育てに専念できるありがたい制度です。
育休の取得率
それでは、2024年現在、どれだけの人が育休を取得しているのでしょうか。
厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」による男女の育休取得率は以下のとおりです。
- 男性:30.1%
- 女性:84.1%
男性の取得率は、2022年度(令和4年度)の17.1%より大幅にアップしたとはいえ、女性に比べると、まだ男女の差が大きいといえるでしょう。
(※厚生労働省委託事業 令和4年度 仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 仕事と育児等の両立支援に関するアンケート調査報告書)
職場が育休を取りづらい雰囲気だったり、どうしても仕事を休めなかったりという理由もありますが、やはり収入減を懸念して、育休取得を諦めている方が多いことがわかります。
育休手当は、支給されるといっても手取りの8割。
子どもが生まれ、これからお金がかかる時期に「給料が少しでも減るのは困る⋯」と育休の取得をためらうのも無理はありません。
育休中の手取りが10割!出生後休業支援給付とは?
政府は、民間企業における男性の育休取得率を2025年までに50%、2030年までに85%にすることを目標としています。
夫婦ともに働き、子育てする「共働き・共育て」を推進する施策のひとつとして、男性の育休取得を当たり前にするために、新たに創設されたのが「出生後休業支援給付」です。
これが「育休中の手取りが10割になる!」と言われている制度です。
ここでは、出生後休業支援給付について、詳しく解説します。
出生後休業支援給付の概要
現行の育休手当の給付率は、休業前賃金の67%で、手取りの8割相当です。
これにより、育休手当とあわせると給付率は80%(67%+13%)、手取りで10割相当となります。
なお、出生後休業支援給付の支給期間は最大で28日間です。
手取りの10割、つまり休業前と変わらない金額が支給されるため、育休中の収入減を心配する必要がありません。
出生後休業支援給付は2025年4月からスタートします。
出生後休業支援給付の支給要件
以下の条件で、父母の両方とも育休を取得した場合に、出生後休業支援給付が受けられます。
取得時期 | 父親:出産後8週間以内 母親:産後休業後8週間以内 |
取得日数 | 父母の両方とも14日以上 |
出産後8週間以内とは、産後パパ育休(出生時育児休業)の期間です。
出産後8週間以内に、最大4週間(28日間)の休業を2回に分けてとれる制度。
出産直後の母親は身体の負担が大きく、サポートが必要な時期。
赤ちゃんが生まれた直後の大変な時期に、父親が育休をとりやすいようにつくられた制度です。
産後パパ育休中は「出生時育児休業給付金」が受け取れます。
産後パパ育休については、こちらの記事で詳しく解説しています。
出生後休業支援給付は、父親が産後パパ育休を、母親が産休後8週間以内に14日以上の育休を取得することでもらえます。
育休の取得時期と給付率のイメージは以下のようになります。
出生後休業支援給付で育休手当はどれぐらい増える?
では、出生後休業支援給付により育休手当がいくら増えるか計算してみましょう。
例)
- 父親の月収:40万円
- 母親の月収:30万円
- 出産後8週間以内に父親が25日間の育休を取得
- 母親は産休後に続き、子どもが1歳になるまで育休を取得
この場合、25日間の育休手当は以下のとおりです。
夫婦合計で7.6万円も増えることがわかりました。
産後の8週間という大変な時期にパパのサポートでママの負担が減り、さらに支給額もアップするのですから、ぜひ利用したい制度ですね。
出生後休業支援給付についてよくある質問
最後に、出生後休業支援給付についてよくある質問について回答します。
配偶者が専業主婦(夫)や自営業のときは?
出生後休業支援給付は、夫婦ともに育休を取得することを前提としています。
ひとり親の場合や、配偶者が専業主婦(夫)や自営業でそもそも育休がない場合は、支給されないとなると、不公平に感じますよね。
ですが、以下の場合は、配偶者の育休がなくても支給されるのでご安心ください。
- 配偶者がいない場合
- 配偶者が自営業の場合
- 配偶者が専業主婦(夫)の場合
この場合は、雇用保険に入っている夫婦のどちらかが育休を取得すれば、出生後休業支援給付は受けられます。
上限はある?
育休手当はもらえる金額に上限があります。
出生後休業支援給付の最大支給期間は最大で28日間のため、もらえる育休手当の上限額は294,344円(15,690円×28日×67%)となります。
上限額に達する月収は約44万円です。
手取り10割と言っても、このように一定額以上の給料をもらっている方は、手取りと同じ金額はもらえません。
まとめ:2025年4月からの出生後休業支援給付でぜひパパも育休取得を!
今回は、2025年4月から新たに導入される「出生後休業支援給付金」について解説しました。
この制度では、父母が特定の条件下で育休を取得すれば、育休手当(手取り8割相当)に加えて13%が上乗せされることで、手取り10割相当に増額されます。
出生後休業支援給付金をもらうには、夫婦とも以下の条件で育休を取得することです。
取得時期 | 父親:出産後8週間以内 母親:産後休業後8週間以内 |
取得日数 | 父母の両方とも14日以上 |
男性の育休取得率の向上を目的としたこの取り組みは、育休中の家計負担を軽減し、共働き・共育てを後押しする新しい仕組みとなるでしょう。
あしたばには、子育て世代の相談者さまも多くいらっしゃいます。
子どもを授かったことで、新たな家計の問題にも直面するでしょう。
少しでもご不安がある方は、ぜひ私たちあしたばにお気軽にご相談くださいね。
【執筆者:あしたばライター 司馬みつき】
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からiDeCo/イデコや企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
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