お金の基礎知識

住宅ローンの金利は今後どうなる?固定・変動金利の決まり方から解説

日銀が利上げしたと聞いたけど、住宅ローンの金利も上がってしまうの?

そもそも、住宅ローンの金利ってどのように決まるの?固定と変動で違いはあるの?

この記事は、そんな疑問にお答えする内容です。

2022年12月20日に発表された日本銀行(日銀)の「実質的な利上げ」により、上記のような住宅ローン等の金利への影響が気になる方も多いかと思います。

そこで今回は、ザックリと住宅ローンの「固定金利」「変動金利」それぞれの決まり方を解説した上で、今後の見通しを見ていきます。

住宅ローンの「固定金利」と「変動金利」の違い

住宅ローンとは

一生のうち「最大の買い物」とも言われるマイホームを購入する際に、自己資金(預貯金など)ではまかなえない分を金融機関から借金すること。これが住宅ローンです。

当然タダで借りることはできないので「利息」を払うわけですが、借りた金額に対して1年あたりのとられる利息の割合を「金利」と言います。

例えば、住宅ローンが3000万円に対して金利が2%なら、年間の利息は60万円ということですね。

この金利ですが、大きく分けて「固定金利」「変動金利」という2つのタイプから選ぶことができるようになっています。

厳密には、固定金利と変動金利の中間的な位置づけで「固定金利期間選択型」もありますが、今回は割愛します。

固定金利とは

住宅ローンの契約をした時点で金利(適用金利)が決まってから、その後返済が完了するまで、「ずっと同じ金利が適用される」というタイプです。

金利が変わらないので、返済額もずっと一定となります。

変動金利とは

住宅ローンの契約をしてから返済が完了するまで、「一定期間*ごとに金利(適用金利)を見直していく」というタイプです。(大体の金融機関は半年に1回)

詳細は後述しますが、政策金利等の影響で金利が変動する可能性があり、その都度「毎月の返済額」も変動します。

※急激な変動による家計への影響を抑える「5年ルール」と「125%ルール」があります。詳細はこちらの記事をご覧ください。

住宅ローン変動金利の仕組みや上昇するタイミングは?住宅ローンは返済額が大きいため、少しでも安く抑えたいもの。そこで選択肢に上ってくるのが金利の低い「変動金利」ですが、本当に得なのでしょうか?変動金利には金利が上がるリスクがあるため心配な方もいると思います。そこでこの記事では変動金利の仕組みや金利が上昇するタイミングを解説します。今後の見通しが気になる方や、固定金利と悩んでいる方はチェックしてみてください。...

固定金利と変動金利のメリット・デメリット

固定金利と変動金利はそれぞれに善し悪しがあり、「どちらを選ぶべき」と断言できるものではありません。

一般論ですが、下記のポイントをおさえておきましょう。

固定金利のメリデメ

ずっと同じ金利なので返済計画を立てやすく、安心感がある。その反面、変動金利よりも適用金利が高めになってる。返済途中に金利上昇がないか少なければ、変動金利よりも「不利だった」という結果に。

変動金利のメリデメ

金利が上昇すると返済額も増えるため、返済計画上のリスクを抱える。急上昇した際などは家計に大きな負担が発生する可能性も。その反面、固定金利よりも適用金利が低く、返済途中に金利上昇がないか少なければ、固定よりも「有利だった」という結果に。

「固定金利」と「変動金利」の決まり方

ここまで住宅ローンの金利について基礎知識を確認しましたが、いよいよ金利の決まり方についてみていきます。

固定金利・変動金利ともに、一言で言うと「日銀の政策や市場の金利と連動する」ことになりますが、厳密に言うと固定or変動で金利の決まり方(決定要素)は異なります。

それぞれザっと確認しておきましょう。

固定金利の決まり方

「10年物国債の利回り」に代表される、市場の長期金利に連動します。

10年国債利回りとは、償還期間が10年の国債(国が発行する債券。金融機関等から一定期間お金を借りて、返済までの間に利息を払う)の流通利回りを言います。

また、銀行が定める「長期プライムレート*」は上記の長期金利を基に設定されるため、長期プライムレートを固定金利の決定要素の一つとして考えておくのも良いでしょう。

※銀行が企業に対して1年以上の融資をする際の最優遇貸出金利

変動金利の決まり方

一言で言うと、日銀の政策金利によって決まります。

日銀が金融政策として定期的に決める政策金利とは「短期金利」のことで、取引期間が1年未満の金利です。

この短期金利を基に銀行が「短期プライムレート*」を定め、短期プライムレートに変動金利が連動するようになっています。

※銀行が企業に対して1年未満の融資をする際の最優遇貸出金利

【注意点】実際の金融機関の「適用金利」はバラバラ

最終的に金融機関(銀行等)が住宅ローン契約者との間で交わす「適用金利」は、前述の指標をベースに「店頭金利」という基準を定めた後、「金利優遇幅」という割引をしたものになります。

前述の長期金利(長期プライムレート)や短期金利(短期プライムレート)と実際の適用金利は連動せず、各金融機関がどこまで割引をするか、経営戦略・方針の差も影響しますので理解しておきましょう。

今後の住宅ローン金利の見通し

上昇・アップ・2023

2022年12月の「実質的な利上げ」による影響

今回の実質的な利上げは、「政策金利=短期金利を下げる」ことにしたわけではありません。

2016年から導入していた「イールドカーブコントロール」という長期・短期金利の誘導する施策のうち、「長期金利の変動許容幅を0.25%程度→0.5%程度に広げる」という決定です。

決定後すぐに、長期金利は0.5%付近まで上昇しました。

長期金利が上がったということは、住宅ローンで影響するのは固定金利のほうですね。

もちろんですが、既に住宅ローンを固定金利タイプで組んだ人に影響するのではなく、「これから住宅ローンを組む人が固定金利タイプを検討する時」に影響するということです。

なお、短期金利は変わっていないため、現時点ではほとんど変動金利に影響は出ていません。

2023年以降の「利上げ」があるかどうか

2013年3月の黒田総裁就任以降に実施された大規模な金融緩和政策は、2022年12月の決定で転換点を迎えました。

日銀の黒田総裁は、「金融緩和の効果をより円滑にするためのもので、利上げではない。金融引き締めではない」と強調したものの、市場は「実質的な利上げ」と受け止めたようで、長期金利は変動許容幅付近まで上昇しています。

今回の実質的な利上げに至る背景はいろんな角度から見ることができますが、最大の要因は「日本と米欧などの金利差が拡大し過ぎていること」があります。

世界各国で新型コロナウイルスによる急激な景気の停滞を防ぐために、金融緩和政策の一環で大きな「利下げ」を実施しました。

そうした大規模な金融緩和政策の副作用として急激な物価上昇(インフレ)が発生してしまったため、2022年序盤から米欧を中心に金融引き締めと「利上げ」を急いでいます。

そんな中でも日銀は「ゼロ金利」政策を貫いたため、急激な円安や「逆イールドカーブ」など「異変」が起きてしまい、転換を迫られた格好です。

そもそも「金利を0%程度で据え置く」というのは異常事態ですから、未来永劫続くことはないでしょう。

米欧との金利差や日本国内の物価・賃金などの動向次第では、2023年中の「正式な利上げ」=短期金利の上昇も十分に考えられます。

そうなれば、前述の通り変動金利にも影響が出てきますので、日銀の政策には注視しておくべきですね。

終わりに

いかがでしたか?

今回の記事はできるだけザックリと平易な内容にするよう努めましたが、それでも一部難しい内容があったかと思います。

終盤で記した通り、今後もずっと超低金利でいくとは考えづらいので、2022年末の決定は固定金利への影響だけでしたが、今後は変動金利も上昇する可能性が高いでしょう。

むしろ、今後は「長期金利・短期金利ともに上昇していく可能性が高い」と考えておいたほうが無難です。

(住宅ローンの返済計画はやや厳しめに見積もっておくほうが、急激な経済情勢の変化にも耐え得るからですよ)

ご自身のマネープランや収入・貯蓄状況によっては、変動→固定に借り換えしておくなど、対策を実行に移したほうが良いケースもあると思われますので、気になる方・ご不安のある方はぜひ一度FP等の専門家に相談しておきましょう!

あしたばFP・安藤

弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からiDeCo/イデコや企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています

収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なiDeCo活用法と注意点から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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