2023年も終わりが近づいてきました。
この時期になると、お勤めの会社で年末調整を済ます方も多いのではないでしょうか。
iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している場合、年末調整で所得控除を受けることができます。
今回は、手続きの方法や書類の書き方などを解説します。
また、もし忘れてしまったときの対処法もご紹介するので、ぜひご参考にしてください。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は年末調整で申告できる?
先ほど説明したように、iDeCo(個人型確定拠出年金)は年末調整で申告すると、所得控除を受けられます。
まずはどういった所得控除を受けられるのかを見ていきましょう。
掛け金が「小規模企業共済等掛金控除」の対象になる
iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象です。
「小規模企業共済等掛金控除」とは、小規模企業共済法に規定された共済契約に基づいて掛金を支払った場合に、掛金について所得控除が受けられるというものです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の他にも、企業型確定拠出年金の従業員拠出(マッチング拠出)部分や地方公共団体が実施する心身障害者扶養共済制度などが、この控除を受けられます。
※企業型DCの事業主拠出(選択制で従業員が選択した掛け金を含む)は、収入としてカウントされません。
所得税と住民税を抑えられる
iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は全額「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。
つまり、「掛金全額を所得から差し引く」ということです。
所得税は累進課税制度が採用されており、所得が高いほど税率が上がり、負担が大きくなります。
そのため、掛金が多く、所得から差し引かれるほど所得税が抑えられます。
一方、住民税は「均等割」と「所得割」の2つで構成されています。
「均等割」とは所得に関わらず一定額が課税される部分のことで、「所得割」とは所得に比例して課税される部分です。
所得割の計算式は次のようになっています。
所得割=所得金額ー所得控除額×10%
なお、この10%は道府県民税4%+市町村民税6%を合わせたものです。
10%は標準税率であり、都道府県や市区町村によって異なります。
ご自身の税率がどうなっているかはお住まいの自治体のホームページで確認しましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の所得控除を受ける方法
これまでiDeCo(個人型確定拠出年金)が所得控除を受けられることを見てきました。
では、その所得控除を受けるためにはどのような手続きが必要なのでしょうか。
ここでは会社員・公務員の方と自営業の方に分けて、手続きの方法を見ていきましょう。
会社員・公務員の場合
会社員・公務員は、年末調整でiDeCo(個人型確定拠出年金)の所得控除を申請することができます。
年末調整とは、毎年1年間の所得や税額を会社でまとめて計算するものです。自分で掛金を払い込んでいる場合は年末調整で申請しましょう。
事業主払込をしている方は、年末調整で手続きする必要がありません。
給与から天引きされており、事業主が税額を計算する際にiDeCoの掛け金を控除する手続きがおこなわれています。
自営業の場合
自営業の方は、確定申告でiDeCo(個人型確定拠出年金)の所得控除を申請できます。
確定申告とは、毎年1月1日〜12月31日までの所得に応じた所得税額を計算して申告し、納付するものです。
自営業の方は年末調整がないため、自分で申告する必要があります。詳しい申告方法はのちほど説明するため、確認しておきましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の年末調整の書き方と手順
それでは具体的な手続きの方法を見ていきましょう。まずは会社員や公務員の方が年末調整で申告する場合です。
1.「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届く
iDeCo(個人型確定拠出年金)の運営主体である国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が送られてきます。
これは1年間に掛金をいくら払ったのかを証明する書類ですので大切に保管しましょう。
2.「給与所得者の保険料控除申告書」に記入する
転載:国民年金基金連合会「iDeCo加入者掛金に係る令和5年分の 小規模企業共済等掛金払込証明書(控除証明書)の発行時期と対象となる方」
年末調整の時期になると、勤務先から「給与所得者の保険料控除申告書」をもらいます。みたことある方も多いでしょう。
これは、iDeCo(個人型確定拠出年金)や生命保険料、地震保険料などの払込金額を記入し、いくら控除されるかを計算するための書類です。
赤枠②「小規模企業共済等掛金控除」の「確定拠出年金に規定する個人型年金加入者掛金」と「合計(控除額)」の欄に、iDeCo(個人型確定拠出年金)で支払った掛金の総額を記入しましょう。
3.「給与所得者の保険料控除申告書」と「小規模企業共済等掛金払込証明書」を勤務先に提出する
「給与所得者の保険料控除申告書」の裏面に「小規模企業共済等掛金払込証明書」を貼り、勤務先に提出しましょう。
他に、生命保険料などの払込証明書があれば一緒に貼り付けます。不明な点があれば、勤務先の担当部署に確認しましょう。
なお、年末調整に間に合わない・年末調整し忘れたという場合は確定申告が必要です。以下の過去記事を参考にしながら忘れず確定申告を済ませましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の確定申告の書き方と手順
自営業の方は確定申告で申告することになります。
また、会社員や公務員の方で年末調整で申告し忘れてしまった場合でも、確定申告をすれば所得控除を受けられます。
1.「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届く
年末調整と同様、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が送られてきます。
確定申告の時期まで大切に保管しておきましょう。
2.確定申告書を入手する
確定申告書を入手しましょう。国税庁のホームページでダウンロードが可能です。また、税務署でも入手できます。
3.確定申告書に記入する
確定申告書は第一表から第四表まであります。譲渡所得や損失などの申告をする際に、第三表、第四表が必要となるので、通常は第一表・第二表のみです。
転載:国民年金基金連合会「iDeCo加入者掛金に係る令和5年分の 小規模企業共済等掛金払込証明書(控除証明書)の発行時期と対象となる方」
第二表に「小規模企業共済等掛金控除」の記入欄があります。右上の赤枠①「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載されている金額を記入しましょう。
会社員や公務員の方で年末調整をしており、社会保険料が源泉徴収票の金額と同じである場合は、「保険料等の種類」の欄に「源泉徴収票のとおり」と記載し、「支払い保険料等の計」に金額を記入しましょう。
第一表に、第二表に記載したものを転記します。左下の赤枠①「小規模企業共済等掛金控除」の欄に記入しましょう。
4.確定申告書と必要書類を提出する
記入を終えたら、確定申告書と必要書類を税務署に提出しましょう。
確定申告の期間は2月16日〜3月15日までとなっています。終盤になると混雑するため、なるべく早く済ませましょう。
マイナンバーカードがあり、PC環境が整っている場合は、e-Taxを利用し、自宅から電子申告も可能です。
年末調整でiDeCo(個人型確定拠出年金)の所得控除を受けるときの注意点
年末調整でiDeCo(個人型確定拠出年金)の所得控除を受ける際、気をつけなければならない点があります。
忘れずに申告できるよう、注意点を押さえておきましょう。
証明書をなくさないようにする
年末調整でiDeCo(個人型確定拠出年金)の所得控除を受けるためには、「小規模企業共済等掛金払込証明書」が必要です。なくさないように注意しましょう。
もし紛失してしまった場合には、再発行を依頼しなければなりません。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の口座を開設している金融機関に依頼します。
再発行された証明書が届くまでに時間がかかるため、紛失に気づいたらすぐに手続きをしましょう。
年末調整の仕方や期限は勤務先によって異なる
年末調整の仕方や期限は、勤務先によって異なります。
担当部署に確認して、手続きを忘れないようにしましょう。
年末調整でiDeCo(個人型確定拠出年金)の申請を忘れないようにしよう
今回は、iDeCo(個人型確定拠出年金)の所得控除を受ける方法を解説しました。
年末調整の書類には「iDeCo」の文字がないため、戸惑ってしまうかもしれませんが、「個人型確定拠出年金」がそれにあたります。
1年間で支払った掛金を記入し、払込証明書と一緒に提出するだけのため、手続きは簡単です。
もし忘れてしまった場合でも、確定申告で申告が可能です。
「確定申告はやったことがないからわからない」という場合は、お近くの税務署に問い合わせてみましょう。
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