2022年に入って、日米を中心に世界の株価が下落基調にあります。
2020年後半から2021年はずっと上昇基調でしたので、やや動揺している一般投資家の方もいらっしゃることでしょう。
そこで、今回の株価下落について、FP安藤からザックリと解説しておきたいと思います。
<1> 株価下落の内容確認
まずは年初~直近(1月21日)の株価騰落状況を、日米の代表的な株価指数で確認しておきましょう。
日経平均:29,301.79円→27,522.26円 ▲1,779.53円(▲6.07%)
東証マザーズ:976.74ポイント→812.76ポイント ▲163.98ポイント(▲16.79%)
米NYダウ:36,585.06ドル→34,265.37ドル ▲2,319.69ドル(▲6.34%)
米ナスダック総合:15,832.8ポイント→13,768.92ポイント ▲2,063.88ポイント(▲13.04%)
大型株で幅広い業種の企業の株価から算出している日経平均とNYダウの下落率はそこまでではないのですが、
新興企業やIT企業が多く含まれている東証マザーズやナスダック総合の下落率は、かなり大きくなっていることが分かります。
※下落の大きさを見る上では、金額・ポイントよりも率(%)を重視してくださいね。
<2> 株価大幅下落の要因
さてここからは、簡単に今回の下落要因を分析してみましょう。
①最大の要因は米国の利上げ観測
年明け1月5日に、米国の実質的な中央銀行である連邦準備理事会(FRB)が前月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公開し、早期利上げを示唆しました。
元々昨年からFRBは利上げ方針を掲げていて、株式市場では2022年3月以降に3回程度の利上げを予想する声が多かったのですが、今回の公開された議事要旨で「早急に」「早期に」金融緩和政策を是正する意向を示す内容が多く、もっとハイスピートで利上げが進むとの観測が出てきました。
少々ややこしいので詳細説明は省きますが、政策金利を上げる「利上げ」は、金融緩和と反対の「金融引き締め」政策ですので、企業の業績にマイナス影響となり株価は下落しやすくなります。
ここにきて市場の予測よりも「金融引き締め」が強化される可能性が高まったことで、この年初の株価下落に繋がっている面が大きいのです。
②急激な原油高も影響
これはそもそも米国の利上げ推進の理由にもなっているところですが、昨年後半から原油価格が高騰していて、世界的な物価上昇(インフレ)要因になっています。
2021年10月に1バレル=84ドルという直近最高値をつけた後は、少し戻して70ドル前後で小康状態だったのですが、年が明けてまた80ドル台に突入。
17日にアラブ首長国連邦(UAE)の石油施設で何者かの攻撃による爆発が起きた事件も加わって、今後ますますの原油高も懸念されています。
原油高が起きると、輸送コストの上昇などからあらゆる製品の価格上昇が起きやすくなると同時に、ガソリン価格も上昇するため、全体的な物価上昇(インフレ)に繋がりやすくなります。
緩やかなインフレは経済にとってプラスですが、急激なインフレは一般生活者の家計を圧迫して消費意欲を大きく冷ましますし、企業のコスト高に繋がって収益を圧迫しますので、経済にとって大きなマイナスになります。
そうした今後の世界的な経済低迷リスクが不安視されて、今回の株価下落に繋がっている一面もありそうです。
③特に下落しているのはIT企業の株式
冒頭でIT企業が多く含まれている東証マザーズやナスダック総合の下げ幅が大きいとお伝えしましたが、今回の株価下落を牽引してしまっているのはIT企業の株式(銘柄)です。
ネットフリックスやメルカリ、ZOOM、エムスリーなど、コロナ禍による「巣ごもり消費の増大」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)」をプラス材料にして大きく伸ばしたIT関連企業は多数存在します。
しかし、「コロナ特需」が永遠に続くわけもなく、ネットフリックスが会員数の低迷を発表するなど、コロナ禍から2年経過して多くのIT企業は高成長を維持し続けるのが難しくなっています。
ただでさえIT企業は高い成長期待を織り込んで株価が上がる「グロース銘柄」が多く、前述の利上げの影響を受けやすくなるのに加え、投資家から見て上記のような「いよいよ成長が鈍る」というシグナルが出てくると、株価は下がりやすくなります。
実際、米ナスダック総合は2021年6月以来の水準まで下がり、同11月の最高値より10%近く下落しています。
IT企業だけというわけではありませんが、コロナ禍で業績を伸ばした企業がアフターコロナを見据えてどのように成長を持続させていくのか、今後の株式市場全体にも大きく影響ししそうです。
<3>投資家のみなさんに持っていただきたい、心構え
以上、年初に発生した株価下落について解説させていただいたのですが、今後どうなるかは分かりません!
もちろんまた上昇基調に戻るかもしれませんし、このまま低迷する可能性もあります。
むしろ、まだ下げ幅が大きくないGAFAMといわれる巨大IT企業まで急落すると、、、時価総額が大きい分、株式市場全体の「暴落」に繋がる可能性もあるでしょう。
いわゆる「金融・経済の専門家」のそうした記事やコメントを見て、不安になってしまう方もいらっしゃるはずですが、だれも未来を100%予測することなんてできないですから、あまり気にしなくてOK。
目先の株価の動きに一喜一憂せず、あくまでも「長期的に成長するかどうか」を判断軸にして投資を開始・継続するようにしてくださいね。
なので、私たちは多少株価が動いてもすぐにアクションを起こすことはお勧めしていません。(弊社の「あしたば会員」に入会されている方には、大きな株価変動があった場合のみアラートするサービスを提供しています)
ぜひ、長い目で投資を続けていきましょう!
「自分一人で正しい判断をするのは難しいな」と感じたら、ぜひ私たちFP(ファイナンシャルプランナー)に一度相談してみてくださいね。
※今回は用語を細かく説明するのはあえてカットした分、読者さんによっては理解しづらいところもあったかと思います。すみませんでした。金融・経済用語を解説する記事もちょくちょくアップしていますので、過去の記事をご覧いただいたり、今後の記事にもご注目いただければ幸いです。
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からiDeCo/イデコや企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
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