こんにちは。あしたばの安藤です。
この2週間ほどで日本の株価が大きく下落しています。
ピークから10%下落ということで節目を超えましたので、弊社では会員の皆さんにお送りしている「株価大幅下落時アラート」を約2年ぶりに配信しました。(2024年7月27日)
この記事は、その内容の一部を会員以外の方にもご参考いただけるように、今回の下落の要因や今後の展望についてポイントを絞って記事にまとめたものです。
ぜひご一読ください。
株価下落の内容確認
日経平均が、史上最高値をつけた7月11日から僅か9営業日で10%超という大幅な下落となりました。
日本の株価について実際のデータを確認しておきましょう。
<日本の代表的株式指数の、ここ2週間での下落状況>
日経平均:2024/7/11 42,224.02円 → 7/26 37,667.41円(▲10.79%)
TOPIX:2024/7/11 2,929.17ポイント → 7/26 2699.54ポイント(▲7.84%)
一般的に直近の高値から10%下落すると「調整局面入り」、20%下落すると「弱気相場入り」したと言われます。
上記を見る限り、日本の株式市場は「調整局面」に入りつつあると考えることもできるでしょう。
※上記の株価指数については、基本的に金額・ポイントよりも、「%を重視」してくださいね。
また、米国の株価も日本と少なからず相関性があり、好調が続いていたもののこの1週間は下落貴重なので列挙しておきます。
<米国の代表的株式指数の、最高値からの下落状況>
NYダウ:2024/7/17 41,198.08ドル → 7/26 40,589.34ドル(▲1.48%)
S&P500:2024/7/16 5667.2ポイント → 7/26 5,459.1ポイント(▲3.67%)
株価大幅下落の要因と特徴
では次に、今回の大幅下落の要因と特徴について、ザっと確認しておきましょう。
一番のポイント:急激な円高
ご存知の通り、ここ数年で大幅に円安が進行しました。
今年6月下旬には1米ドル=160円を突破して37年ぶりの円安水準となり、「どこまで円安になるんだろう」と不安にかられた人も多いはずです。
ところが、今月に入って転機を迎えました。
7月10日には1米ドル=161円台をつけていたのですが、11日に158円台に急騰。
その後も円高が進み、25日には1米ドル=151円台をつけました。(27日現在は153円台)
ここまで急激に円高が進むと、輸出関連企業にとっては打撃になりますので株安に繋がりやすくなります。
実際に同期間でトヨタは8%超の下落を記録するなど、自動車や電子機器といった業種を中心に株安となりました。
では、株安の主要因の1つである「円高の要因」を探ってみましょう。
円高の要因① 為替介入
7月11日には、米ドル円相場が一気に4円動く場面があり、政府・日銀による為替介入があったと見られています。
為替介入とは、為替相場の急激な変動を抑えるために財務省が決定した上で日銀が実施するもので、今回のように大幅に円安となっている時には日銀が「米ドルを売り・円を買う」ことで、円高に誘導します。
必ずしも効果が出るとは限らず、今年4~5月にも為替介入が実施されていて、その時はすぐにまた円安が進行しました。
が、今回は上記の通りその後も円高が進んでいるのが特徴です。
他の要因も影響しているのは明らかですので、見ていきましょう。
円高の要因② 米国の利下げの可能性が高まった
日本時間の7月11日に発表された米国の6月の消費者物価指数(CPI)は、全品目を含む総合CPIで前月比▲0.1%、価格変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIで前月比+0.1%となり、いずれも前回より鈍化しました。
この数年、景気に過熱感があってインフレと利上げを続けてきた米国ですが、ようやく景気もインフレも鈍化傾向が見えてきたことになります。
これを受けて、米国の中央銀行にあたるFRBが近い将来に「利下げ」を実施する可能性が高いという予想が市場の中で広がりました。
利下げをすると市場金利が下がることになりますが、これは為替にも影響します。
一般的に、二国間の金利差がある場合、金利が高い国の通貨のほうが高く、金利が低い国の通貨のほうが安くなる傾向があります。
日米間では、金利が安い円を売って、金利が高い米ドルを持つメリットが際立っていたわけですね。
日本は超低金利政策を続け、米国は前述の通り利上げしてきたので。
しかし、日本は事実上のマイナス金利を解除して利上げに向かい始めました。そこに加えて、今回の米国の利下げ観測です。
これにより日米間の金利差が縮まるので、米ドルを持つメリットが減るため、米ドルを売って円を買う投資家が増え、円高に振れやすくなるのです。
円高の要因③ 日銀の利上げ期待
日銀が年内にも利上げを実施するという憶測が出ています。
自民党総裁選を前に、閣僚や自民党幹部が利上げを求める主旨の発言があり、市場にも利上げを予想する声が広がりました。
利上げが実施されれば、要因②で金利差が要因となると説明した通り、日米間の金利差が縮まるので更に円高要因になります。
今回の急激な円高はそれを市場が織り込んだと考えることもできそうです。
円高の要因④(おまけ) トランプ前大統領の暗殺未遂事件
これはおまけ的な内容ですので、話半分で読み流してください。
7月13日に米国でトランプ前大統領の暗殺未遂という衝撃的な事件が発生しましたが、
これにより、同氏の支持率上昇と共に大統領選で勝利の可能性が高まったという見方も出てきています。
それがなぜ円高の要因になるのか?
もし2期目のトランプ大統領が誕生した場合、実は為替は「円高になりやすい」と言われているのです。
トランプ前大統領は「ドル高は問題」という思想を持っていて、これまでも円安状態を強く批判してきました。
もし大統領に返り咲けばドル安=円高に誘導する政策を実行に移す可能性が高くなるため、
それを為替市場が織り込んだ可能性もあるというわけです。
ただ、バイデン氏の選挙戦撤退でカマラ・ハリス氏が後継の民主党候補となるのが確実視され、支持率も拮抗して情勢は混沌としています。
本件の影響はほんの僅かと思っておいてくださいね。
今後の見通し
と会員のみなさんへのメッセージ
さて、今後の見通しの解説とみなさんの投資行動についてのアドバイスもさせていただきます。
いつも繰り返しお伝えしますが、「いつ」「どうなるか」をピンポイントで当てることは誰にもできませんし、予想する意味もありません。
あくまでも安藤個人の意見として、参考程度にとどめておいてくださいね。
市場は乱高下が続く可能性が高い(日本株以外も)
解説した通り、今回の株安は円高つまり為替の変動と、その要因である日米の金利政策による影響が大きいと考えれます。
7月30~31日に日銀の金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるため、そこで決まる内容によっては為替も株式も大荒れになるかもしれません。
また、ご存知の米大統領選も11月の実施まで刻々と迫っており、こちらも波乱要因です。
この1年半ほど大きな下落のない上昇相場が続いてきましたが、今回の日本株の下落に続いて米国株を中心とする世界株がいつ大幅下落してもおかしくないと考えています。
追加投資のチャンスなのか?
私たちは「短期間で20%超の暴落があれば、会員の皆様に追加投資の積極提案を検討する」という明確なルールを設けています。
(もちろん下落率だけでなく総合的に判断しますので、結果としてこれまでに会員の皆様に追加投資を強く推奨したのは、2020年3月頃のコロナショックの時だけです)
冒頭にデータを掲載しましたが、今回は10%超ということで「今こそ追加投資すべき」と積極的にお勧めするつもりはありません。
しかしながら、個人的には「プチチャンスかもしれない」と見ています。
なぜなら、日本株は中長期的な上昇の期待度が非常に高い!=今の水準ならまだまだ割安と考えているからです。
以前の会員限定メルマガでもお伝えした以下のような理由から、海外投資家の日本企業に対する評価は高まっており、今回の大幅下落後もそれは継続されています。
- 東京証券取引所の改革→企業の株主還元姿勢の変化
- 物価上昇&賃上げ+業績拡大の持続に対する期待
- 円安のため「ドル建て」で見ると日本の株価は相対的に割安(1米ドル=160円が150円になったとしても)
実際に、ある米国の資産運用会社が先週公表したアウトルックで、今後1年で「日本株のオーバーウエート(基準よりも投資配分を多くすること)は最も確信度の高い見通しのひとつ」と紹介しました。
ということで、今すぐの追加投資を強くお勧めするつもりはありませんが、日本株に対しては期待感を持って見守っていただけたらよろしいかと!
おわりに
いかがでしたか?
会員の皆様へのアラートメールでは、最後に「今とるべき投資行動」についてアドバイスもしていますが、この記事では控えさせていただきます。
いつも私たちがお客様にお伝えしている「大切なこと」は、投資は長い目で見ること。
その大前提を念頭に置きつつ、今回の株価大幅下落がなぜ起きたのか、今後どうなっていくのか、「自分の考え」をまとめていただき、投資経験値アップに繋げていただきたいと思います。
間違えっても、短期的に儲けようとは思わないことです!
とはいえ、つい欲が出てしまう時もあれば不安でいっぱいになる時があるのも人の性。
もしそうなってしまったら、すぐにアクションを起こす前に、信頼のおける金融アドバイザーや私たちのようなFPに相談してみてくださいね。ぜひ担当FPにご相談を!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
あしたばFP・安藤
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からiDeCo/イデコや企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なiDeCo活用法と注意点」から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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