節税をしたい税の1つに住民税があります。そのためには、毎年いつから変わるか、住民税の仕組みや計算方法などを知る必要がありますよね。
しかし、税のことは理解が難しいという方もいると思います。そこでこの記事では、住民税が変わるタイミングや対象期間、節税方法などを解説します。
住民税が変わるタイミングは毎年6月!いつから徴収される?
結論から解説すると、住民税が変わるタイミングは毎年6月です。
これは、所得や雇用形態などに関わらず共通で、また、天引きや納付書払いなど納付方法が違っても変わりません。
また、住民税を支払うスケジュールは給与所得者であれば毎月(源泉徴収により給与から天引き)、天引きされていない場合は年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に納付書を使って納付します。なお、どちらの場合も6月に支払う分から額が変更されます。
いつからいつまでの収入が対象?
6月から支払う住民税は、前年の1月から12月までの収入が対象になっています。
具体的には、前年1月から12月までの収入から課税対象となる「所得額」を算出し、所得額をベースに翌年の住民税が決定します。
所得額が決定するタイミングは、給与所得者であれば年末調整が終わったあとの1~2月ごろで、確定申告が必要な場合は確定申告の提出後となります。所得額が確定すれば、自分で変更後の住民税を算出することも可能です。
住民税の仕組みは?計算方法とシミュレーション
住民税は一般的に以下の式により算出されます。
所得割額は前年の収入から算出される「所得額」をベースに算出されます。そのため、所得割額を算出するには「所得額の算出方法」と「住民税の算出方法」の2つを知る必要があります。
一方で均等割額は所得に関係なく一定額です。均等割額は一般的に月5,000円で、内訳が、市町村民税(特別区民税)3,500円+道府県民税(都民税)1,500円となっています。ただし、自治体によって額が異なるケースもあります。
所得額の計算方法
所得額は以下の計算方法で算出されます。
また、「収入額」とは単純に得た金額の合計であり、各種控除額とは条件に応じて収入額を減らすことができる所得控除制度に定められた額の合計を指します。
所得額の計算方法は複雑なため、所得額を確定させるための手続きである「確定申告」の記事を読んで理解するのがおすすめです。以下の記事で控除額の算出方法について詳しく解説しています。
https://ashitaba-mirai.jp/07012023/13322.html
住民税の所得割額の計算方法
住民税の所得割額は、市町村民税(特別区民税)と道府県民税(都民税)に分かれており、それぞれ以下の計算式で算出されます。
道府県民税(都民税)=年間の所得額×4%
2種類の税額を足すと10%になるため、基本は10%で覚えておけばOKです。6%と4%はあくまで内訳として存在すると理解しておけば問題ありません。
住民税の計算シミュレーション
住民税額の一例として、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
年間の控除額:1,000,000円
まず収入額と控除額から所得額を算出します。
所得額が算出できたら、所得割額を算出します。
道府県民税(都民税)=3,000,000×4%=120,000円
合計:300,000円
ここに月々の均等割額を年額に換算した額を足します。
最後に、所得割額と均等割額を合算します。
住民税を安くする方法
住民税は年間の所得額をベースに算出されるため、所得控除額を増やせば、所得額が少なくなり、住民税額も少なくなります。
所得控除にはさまざまな種類があり、医療費控除や寄付金控除など誰でも使える制度もあります。「自分には関係ない」と思いこまず、年に1回、確定申告前の時期には必ず確認しておきましょう。
所得控除については以下の記事で詳しく解説しています
https://ashitaba-mirai.jp/12022023/13734.html
住民税のよくある疑問
ここからは住民税のよくある疑問を3つ紹介します。実際に関係してくる可能性が高いと思われますので、それぞれ一度目を通しておいてください。
住民税が6月だけ高い理由は?
住民税は6月分だけ高くなっていることがありますが、これは、年額を12カ月で割り切れなかった分が6月分に加算されているためです。
ちなみに、1年に納めるべき住民税額は、年間の住民税額が決まったあと5~6月ごろに「住民税課税決定通知書」で通知されます。月ごとの納付額も記載されているため、一度目を通してみましょう。
引っ越した場合はいつ・どこに納める?
住民税の納付先は1月1日が基準日になっており、1月1日時点で住民票所在地となっている自治体に対し、その年の6月から1年間納める決まりになっています。
ここで注意したいのが、実際に引っ越した日ではなく、住民票を移動した日が基準になることです。もし引っ越しても住民票を移動していない場合は、以降も住民票所在地の自治体に納め続けることになります。
住民税の額は自治体によって違う?
住民票の額は基本的に、所得割額が10%(市町村民税(特別区民税)6%+道府県民税(都民税)4%)、均等割額が5,000円(市町村民税(特別区民税)3,500円+道府県民税(都民税)1,500円)となっていますが、中には異なる自治体もあります。
例えば、政令指定都市では10%の内訳が、市民税8%+道府県民税2%が基準となっており、愛知県名古屋市では9.7%(市民税7.7%+県民税2.0%)、神奈川県相模原市では10.025%(市民税8%+県民税2.025%)になっています。
このように、自治体によって差があることはありますが、基準である10%から大きく変わることはありません。
住民税の仕組みが分かれば節税もできる
住民税の額が6月から変わっていても、変わった理由が分かれば驚くことは無いと思います。何事もそうですが、税の仕組みを知ることは節税を実践するために重要なことなのです。
特に、所得額を減らすことができる「所得控除」は覚えておきたいところ。まずは確定申告のときに自分がどの所得控除を使えるのか確認するところから始めましょう。