「児童手当をもらっているけど、なんとなく貯金しているだけ。これでいいのかな?」
「児童手当、、、日々の支出に紛れて結局は使ってしまっている。どうやったら貯蓄に回せるんだろう?」
今回は、そんな疑問や悩みにお答えする内容です。
児童手当(旧子ども手当)は、「中学校卒業までの児童を養育している方」に、行政から支給される手当のこと。
以前の記事で概要をご説明しましたが、
今回は児童手当を活用する上での注意点についてお伝えします。
私たちはFPとして、多くのご相談をお受けする中で「様々な児童手当の活用事例」を見てきました。
FPからみても「とても賢く活用」できているケースもあれば、残念ながらそうでないケースも見受けられます。
また、国の制度であるからこその注意点もあります。
児童手当を「実際にどう活用するか」を考える上での注意すべきポイントをお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください!
(とにかく、“分かりやすく”いきたいと思います。細かいルール・用語の説明は一部省きながら進めていきますので、どうかご容赦ください。)
もらえる金額について確認しよう
児童手当の支給額は上記のとおり。
第1子・第2子の場合、総額で約200万円もの給付を受けることができます。(生まれ月によって変わります)
月々では少額に感じてもトータルではそれなりのまとまった金額になりますので、「児童手当を有効活用する前提」でマネープランを策定した方が、より効率の良いプランになるでしょう。
ただし、次の2つの理由から、「必ずもらえる」ものではありませんので注意が必要です。
所得制限(収入制限)がある
児童手当は“所得制限”があり、児童を養育している方の所得が一定以上の場合は、満額を受給することができないルールとなっています。
現時点では所得制限を超えてしまった家庭でも「特例給付」として月額一律5,000円が支給されますが、
もし仮に出生から中学校卒業まで所得制限を常に超えていて「ずっと特例給付」の場合は、総額100万円に満たない給付になるのです。
総額200万円と100万円では、教育資金計画に影響が出るくらいのかなり大きな差ですから、所得制限についてはしっかり認識しておく必要があるでしょう。
詳細については、こちらの記事をご確認ください。
法律の改正によって、給付のルールが変わる可能性も
児童手当は、これまでの歴史でも法改正で少しずつ給付のルールが変わってきました。
元々は第3子以降に給付するという限定的なものでしたが、第2子以降→第1子からと順々に拡大。
対象年齢も「小学校就学前まで」→「3歳未満」と縮小された後、「小学校卒業まで」→「中学校卒業まで」と拡大されましたし、
支給額も少しずつ増えたり減ったりしながら、現在に至ります。
(実は、名前も「児童手当」→「子ども手当」→「児童手当」というように変遷しているのですよ。)
実際のところ、所得制限を現在の「世帯で最も所得の高い人」を基準とするルールから、「世帯の合計所得」に変更することや、前述の「特例給付」の廃止も議論されています。
もし特例給付すら廃止されてしまうと、所得制限を常に超えていた場合は総額200万円が100万円に減るどころか、“全くもらえない”可能性があります。
今後の政治・経済情勢によっては制度が縮小(給付が削減)され、「今までもらっていた人がもらえなくなる」ケースも十分にあり得るので、その点を踏まえた活用法を考える必要があるでしょう。
※もちろん、制度が拡充(給付がアップ)される可能性もありますし、過度に悲観的にならなくて良いとは思いますが。。。
ここまで、児童手当の「もらえる総額」と「満額もらえない(もらえなくなる)可能性もあること」を確認しました。
この後は、実際にもらうときの注意点を見ていきましょう。
「いつの間にか無くなっていた」状態になりがち
児童手当は、口座に入ってきたお金を「そのまま放置」した場合、「なんとなく日々の支出で使っていた」というケースが非常に多いです。
- 1年に1度、簡単な書類を提出すれば自動的に役所から振り込まれてくる =意識するタイミングが多くない
- 振り込まれる頻度が毎月ではなく、年に3回(4か月に1回)=同上
- 受け取りは原則「収入が最も高い人」の口座で、配偶者や子ども名義の口座での受け取りは不可 =お給料や生活費と混ざりやすい
上記の要素があるため、「そもそも放置しがち」なのでしょう。
よって、児童手当は「意図的に別の口座等に移す」ようなアクションを起こさない限り、「将来のための資産づくり」には繋がらない可能性も高いのです。
放置しない人の方が有効活用できている
実際に私たちが見てきた事例でも、ちゃんと有効活用できている方は、多くの場合このように工夫しています。
「児童手当は年に3回入ってくる度、子ども名義の口座に必ず移しています」
「給与受け取り口座とは別の口座に入るようにして、そこから学資保険の掛け金が引き落とされるようにしています」
ご家庭の収入等の事情から「日々の支出に充てるしかない」という状況であれば、もちろんそれはそれで仕方のないことですが、、、
「いつの間にか無くなっていた」という結果は、できる限り避けたいところ。
「そのまま放置」をせずに、有効活用する方法を考えましょう。
「とりあえず貯金」も効率が良くない
上記のように児童手当を「意図的に別の口座等に移す」アクションを起こしている方も、相当数いらっしゃいます。
ただ、これまで私たちがヒアリングしてきたケースや一部の事業会社・団体等で実施したアンケート結果をみると、
残念ながら大半の方が「とりあえず貯金している」状態になっています。
「いつの間にか無くなっていた」というわけではないですし、問題ないようにも思えますが、、、
結論、これは「非常に勿体ない」ことです。
なぜ「勿体ない」のか?
それは一言でいうと、せっかくの児童手当が「眠らせたお金」になってしまうからです。
「緊急資金として取り分けておく」という明確な目的があれば、貯金しておいたそのお金は「緊急時に使える生きたお金」になります。
しかし、「とりあえず貯金しておいて、大学のときの学費にでも充てようかな」というのであれば、18歳くらいまでの長い時間、そのお金は「ただ眠らせておくだけ」の状態。
お金は時間があればあるほど、いかようにも「生きたお金」として有効活用できます。
別の記事(↓)でも解説していますが、10年・20年スパンでの時間があれば、
一つの方法として、だれでも少額から始められる「つみたて投資」でも一定の利回りでお金をふやすことができる可能性は十分にあります。
そうしたチャンスを捨てて「ただ眠らせておく」わけですから、「とりあえず貯金している状態」は非常に勿体ないことなのです。
ここでは説明を省きますが、そもそも「利息のほぼつかない預貯金で長期間運用すること自体がリスク」といえます。前述の「つみたて投資」の基礎知識と合わせて解説していますので、こちらの記事もチェックしておきましょう。
注意点をふまえ、「有意義な活用法」を考えよう!
以上、児童手当を活用する上での注意点をザックリと解説しました。
実際に執筆者のFP安藤も児童手当の給付を受けていますし、これまでサポートしているお客様の事例をふまえても、上記をご理解いただければ「注意すべき点」としては十分かと思います。
さあここからは、「もっと有意義な活用法」のヒントをお伝えしていきます。
次回(↓)に続きますので、ぜひご覧くださいね!
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