お金の基礎知識

基礎から解説!高額療養費制度とは

「入院が長引いてしまい、医療費が心配」

「医療費が高額になった場合、どうすればいい?」

この記事は、そんな疑問や不安を抱えている人向けの内容です。

病気ケガのリスクは誰もが抱えており、場合によっては高額な医療費がかかることもあります。

万が一の病気やケガに備えて民間の生命保険に加入される人も多い一方、医療費が高額になった場合の救済制度として、国は高額療養費制度を用意しています。

しかし、「高額療養費制度という言葉は聞いたことがあるけど、詳細はわからない」といった人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は高額療養費制度を基礎から解説します。

高額療養費制度の仕組みを正しく理解することで、医療費負担への不安を軽くできる可能性もありますので、ぜひチェックしておきましょう。

とにかく、“簡単に・分かりやすく”いきたいと思いますので、細かいルール・用語の説明は一部省きながら進めていきます。

高額療養費制度とは


まずは高額療養費制度の概要を確認しましょう。

高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月で上限額を超えた場合、その超えた額を受け取ることができる制度です。

ここで注意したいのが、高額療養費制度は「1か月」単位の医療費をもとに決定されるという点です。仮に入院期間が2か月にまたがる場合は、月ごとの医療費をもとに高額療養費制度を申請することになります。

上限額とは、正確には自己負担限度額と言い、年齢や所得によって異なるため、予め自分自身の自己負担限度額を確認しておくことをおすすめします。

自分自身の自己負担限度額を確認しよう!


続いて、自己負担限度額を計算する場合に用いる表を掲載します。

先述のように、自己負担限度額は所得と年齢によってそれぞれ異なります。
いざという時に備えて、自分自身の自己負担限度額がいくらになるか確認しておきましょう。

なお、自己負担限度額の算出の際には、ご自身の標準報酬月額を事前に確認しておく必要があります。

標準報酬月額を理解するには、まず「報酬月額」について理解しましょう。

報酬月額とは、基本給や通勤手当などを加えた1か月の総支給額のことを言います。

報酬月額を金額ごとに1等級から32等級に分け、その等級に該当する金額のことを「標準報酬月額」と言います。

一般的に、標準報酬月額は4月・5月・6月に支払われた報酬月額を元に算出されます。

70歳未満の自己負担限度額

所得区分自己負担限度額
①区分ア

(標準報酬月額83万円以上の人)

(報酬月額81万円以上の人)

252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
②区分イ

(標準報酬月額53万~79万円の人)

(報酬月額51万5千円以上~81万円未満の人)

167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
③区分ウ

(標準報酬月額28万円~50万円の人)

(報酬月額27万円以上~51万5千円未満の人)

80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
④区分エ

(標準報酬月額26万円以下の人)

(報酬月額27万円未満の人)

57,600円
⑤区分オ(低所得者)

(被保険者が市区町村民税の非課税者等)

35,400円

70歳以上の自己負担限度額

被保険者の所得区分自己負担限度額
外来(個人ごと)外来・入院(世帯)
①現役並み所得者現役並みⅢ(標準報酬月額83万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の人)252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
現役並みⅡ(標準報酬月額53万円~79万円で高齢受給者証の負担割合が3割の人)167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
現役並みⅠ

(標準報酬月額28万~50万円で高齢受給者証の負担割合が3割の人)

80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
②一般所得者

(①および③以外の人)

18,000円
(年間上限144,000円)
57,600円
③低所得者市区町村民税の非課税者等8,000円24,600円
市区町村民税の非課税者等(年金収入80万円以下等)15,000円

自己負担額を実際に計算してみよう!


先ほど解説した表を用いて、自己負担額を計算しましょう。
今回はモデルケースとして、以下の条件の場合の高額療養費を計算します。

(例)70歳
標準報酬月額30万円(3割負担)
100万円の医療費がかかった場合

自己負担額を計算する場合は、以下の3ステップで行います。

  1. 医療費の総額から窓口負担額を計算する
  2. 自己負担の上限額を計算する
  3. 窓口負担額から自己負担の上限額を差し引く

①医療費の総額から窓口負担額を計算する

医療費の総額は100万円ですが、実際に窓口で負担するのはその3割の30万円です。

②自己負担の上限額を計算する

70歳以上の自己負担限度額表から、このケースで用いる計算式は、80,100円+(総医療費-267,000円)×1%であることがわかります。

今回の総医療費は100万円のため、この数字を式に当てはめて計算すると自己負担限度額を算出することができます。

80,100円+(100万円-267,000円)×1%=87,430円

③窓口負担額から自己負担の上限額を差し引く

最後に高額療養費として支給される金額は、窓口負担額から②で計算した自己負担の上限額を差し引くことで算出できます。
30万円-87,430円=212,570円

今回のケースでは、212,570円を高額療養費として受給し、実際の自己負担額は87,430円です。

高額療養費制度を利用する場合の計算は一見煩雑ですが、ステップごとに金額を計算すると簡単に算出することができます。

高額療養費制度をもっと詳しく知ろう!


ここからは、高額す療養費制度に対する疑問に回答する形で進めていきます。高額療養費への理解をさらに深めていきましょう!

どのように申請するの?

ご自身が加入している、健康保険組合や協会けんぽといった公的医療保険に、支給申請書を提出することで申請手続きができます。なお、郵送による申請も可能です。まずはどの医療保険に加入しているのかを確認するために、手元の保険証を確認してください。

申請から支給までどれくらい時間がかかるの?

保険医療機関などから提出される診療明細書の確認が必要になり、診療を受けた月から3か月以上かかるため注意しましょう。

医療費の支払いが難しい場合、無利息の「高額医療費貸付制度」を利用できる場合があります。貸付金の水準や制度を利用できるかどうかは、加入している医療保険によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

医療費の全額は高額療養費になる?

高額療養費の対象となる費用は、保険適用となる診療に対して、患者が支払った自己負担額です。
入院中の食費や差額ベッド代、先進医療費用は対象外ですので注意しましょう。

入院期間が2か月にわたったが影響はあるの?

先述のように、高額医療費は1ヵ月単位の医療費をもとに決定します。そのため、例えば1月1日に入院し、2月10日に退院した場合は入院期間が2か月(1月と2月)にまたがることになります。

その場合は診療を受けた月ごとに高額療養費の申請書を提出し、月ごとに自己負担限度額を超えた金額が払い戻されます。

終わりに


今回は高額療養費制度を解説しました。

思わぬ形で医療費が膨らんでしまった場合でも、慌てず高額療養費制度を利用しましょう。

また、ご自身の自己負担限度額や医療保険の加入先については、日ごろから確認しておくと安心ですね。
国の制度を正しく理解した上で、必要に応じて民間の生命保険に加入するようにしましょう。

次回以降も公的制度や年金についてお伝えしていきますのでお楽しみに!

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