NISA

【ロールオーバーって何?】2021年末にNISA非課税期間が終了した時の手続き

「2017年に始めたNISA(ニーサ)が満期を迎えるみたいだけど、その後はどうなるの?」

「一般NISA(ニーサ)はロールオーバーができると聞いたけど、どんな手続きが必要?」

この記事は、そんな疑問をお持ちの方向けの内容です。

2014年からスタートした少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」は、「5年間・120万円まで、投資で得た利益に対する課税を免除する」という非課税枠が毎年付与される制度。(当初は年間100万円、2016年~年間120万円に)

既に利用している人は、「今年でちょうど非課税期間が満了になる銘柄を持っている」というケースもあるでしょう。

NISAの非課税期間終了時の対処方法は3つですが、その中で「ロールオーバー」という仕組みがあり、メリットも注意点もあるやや複雑な制度です。

そこで今回は、ロールオーバーに絞って解説していきたいと思います。

※2018年に「つみたてNISA(積立NISA)」がスタートしたため、区別するために通常のNISAを「一般NISA」と呼ぶようになりました。これ以降、「一般NISA」と「つみたてNISA」という名称で記述します。

一般NISAの非課税期間が終了すると、どうなるか?

一般NISAの5年という非課税期間が満了になる時、対象となる銘柄(商品)をどうするか、投資家の方は以下3つの選択肢から判断する必要があります。

  1. 翌年の一般NISA口座にロールオーバーする(持ち越す)
  2. 課税口座に移管する
  3. 売却する

一つずつ、ザっと見ておきましょう。

①ロールオーバー

2021ロールオーバー(日本証券業協会)

出所:日本証券業協会

一般NISA口座で購入した株式・投資信託等を継続保有して非課税期間満了となった時に、翌年の一般NISAの枠に移管(持ち越し)をして、再度5年間非課税で運用できるという仕組みです。

例えば図の「選択肢①」ように、2017年に購入した株式・投資信託等を継続保有して2021年末を迎えた時、2022年の一般NISA口座にロールオーバーができます。

②課税口座に移管

一般NISAは非課税期間が終了したら売却が必須、という制度ではありません。

非課税期間の終了と同時に通常の「課税口座」に移管し、そのまま運用を継続することが可能です。

当然ながら課税口座ですので、移管した後に増えた分の「値上がり益」や「配当金・分配金」に対しては、通常通り約20%課税されます。

③売却

必須ではないと書きましたが、非課税期間終了までに売却してしまうという選択肢もあります。

非課税期間満了を迎えるまでにその年に購入した株式・投資信託等を全て売却した場合、上記のような手続きは不要となります。

ロールオーバーのメリット

再度5年間非課税になる

ロールオーバーのメリットは、なんといっても実質的に非課税期間を延長できる点でしょう。

一般NISAの弱点は非課税期間が5年とやや短い(つみたてNISAは20年)ことですが、ロールオーバーを使うことで倍の10年間、どれだけ投資の利益が出ても非課税になるのです。

120万円より増えていてもOK

NISAロールオーバー超過分もOK(日本証券業協会)

更に見逃せないのが、ロールオーバーする金額は「120万円を超過していてもOK」というルールです。

上図のように、120万円で購入した株式や投資信託が非課税期間終了時に150万円に増えていたとしましょう。

普通に考えたら、翌年の一般NISAにロールオーバーできるのは「150万円のうち新たな非課税枠の120万円まで」と思われますよね?

実際2017年まではそうなる予定でしたが、「銘柄によって移管できなかったり、売却ししまう人も増加する可能性がある」というこで、どれだけ増えていても(超過していても)全額ロールオーバーできるというルールになったのです!

極端な話、120万円で購入した投資信託が5倍の600万円になっていても、10倍の1200万円になっていても、全額OK。更に5年間非課税で運用できるわけですから、非常に大きなメリットと言えるでしょう。

ロールオーバーの注意点

移管した年の非課税枠を使ってしまう

ロールオーバーは、あくまでも非課税期間が満了となった翌年の「新たな一般NISA」の枠を使う制度です。

例えば、2021年末時点で評価額50万円の銘柄をロールオーバーすると、2022年の一般NISAの非課税枠で投資できるのは残り70万円ということになります。

※元々の投資金額と関係なく、移管する時の評価額で判定されます。

また、前述の「120万円を超えたロールオーバー」をした場合は、年初に非課税枠を使い切ってしまうため、一般NISAで新規投資をすることはできません。

毎月5万円など「積立投資」をしている方は特に誤解されるケースが多く、要注意。

「ロールオーバーもできるし、積立投資を継続している分も一般NISAで投資できる」という考えは必ずしも間違いではありませんが、ロールオーバーした金額によっては翌年の積立投資のうち非課税枠を使える分は少なかったり、ゼロの場合もあるのです。

異なる証券会社へのロールオーバーは不可

ロールオーバーは、同じ金融機関(証券会社・銀行等)の間でしか利用できない制度となっています。

次のように考えている人は、注意してください。

  1. 来年から別の証券会社等で投資をしようと考えていた。
  2. 最初に一般NISAを始めた時はA証券だったが、2~3年後からB証券で一般NISA口座を開設している。

②のケースでは、当初A証券の一般NISA口座で購入した銘柄をロールオーバーしたい時は、翌年の一般NISA口座を再度A証券で開設する(金融機関を変更する)ことで対応可能です。

ただし、ゆくゆくB証券で購入した銘柄をロールオーバーしたい場合は再度金融機関の変更が必要なので、手続きとしては面倒が生じることを覚えておきましょう。

つみたてNISA口座へのロールオーバーも不可

2018年にスタートした「つみたてNISA」は、ロールオーバーが不可の制度です。

つみたてNISAから一般NISAだけでなく、一般NISAからつみたてNISAへのロールオーバーも不可なので、ご注意ください。

証券会社等で所定の手続きが必要

ロールオーバーをするには、一般NISA口座を開設している金融機関で所定の手続きが必要です。

ロールオーバーをしようとする前年中に、「非課税口座内上場株式等移管依頼書」*を提出しなければなりません。

金融機関所定の締め切りまで手続きが完了しなかった場合、自動的に「課税口座へ移管」となりますので、注意しましょう。

※金融機関によって名称が異なる場合があります。

ロールオーバーの手続き

NISA非課税期間満了通知(エース証券)

金融機関の案内に沿って手続きを

過去に一般NISA口座を開設していて、ロールオーバー可能な銘柄を保有している場合、該当する金融機関から封書やメール等で必ず案内があります。(上図は弊社が金融商品仲介業の登録をしているエース証券のもの)

各金融機関で手続きのルールが若干異なりますので、案内をよく確認した上で手続きを進めましょう。

手続きの期限は12月中旬くらいまで

手続きをできる時期は、10月~12月中旬としている金融機関が多いようです。

手続き開始を7月くらいにしているところもあれば、手続き締め切りを12月上旬に設定している場合も。

金融機関によってかなり差がありますので、一般NISA非課税期間満了を迎える予定のある方は、ぜひ早めに手続きの締め切りをチェックしてくださいね。

ロールオーバーすべきか迷ったら

いかがでしたか?

今回はロールオーバーの仕組みそのものについて解説しましたが、「そもそも私の場合はロールオーバーした方がいいの?」と迷う方もいらっしゃるでしょう。

そんな時は一度、私たちFPのような専門家に相談してみても良いかもしれませんよ。

5年前の銘柄(商品)をロールオーバーすべきか、翌年新規投資するために枠をとっておくべきか、これは完全にケースバイケースで判断が分かれます。

投資は自己責任のもとで実行するものですから、最終的にはみなさんの判断ですが、専門家から「第三者視点」のアドバイスを受けることで、きっと良いヒントを得られるでしょう。

ロールオーバー自体は上手に使えばメリットの大きい制度。ぜひご活用くださいね!

弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からNISA・ジュニアNISAやiDeCo/イデコ・企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています

収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なNISAやiDeCoの活用法と注意点から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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