国の制度

障害状態になった場合の年金受け取り

「障害状態に認定されたら、国民年金(厚生年金)からどんな給付が受けられるの?」

「もし障害状態に認定された時、iDeCoや企業年金はどうなる?」

「民間の個人年金保険の場合は?」

この記事では、そんな疑問にお答えします。

一定の障害状態になられた場合、公的年金(国民年金・厚生年金)から障害年金を受け取ることができます。

今回は公的年金に加え、iDeCoや企業年金(確定拠出年金・確定給付年金等)のルールも解説したいと思います。

できるだけ“簡単に・分かりやすく”いきたいと思いますので、細かいルール・用語の説明は一部省きながら進めていきます。ご容赦ください。

障害状態になった場合に「もらえる可能性のある」年金種類

世の中には公的年金をはじめとして、様々な「●●年金」が存在します。

障害状態になられた場合には、障害状態の程度と年金の種類によって「もらえる(受給できる)」「もらえない」「もらえる可能性がある」が異なります。

まずは、以下の「もらえる・もらえる可能性がある」年金について見ていきましょう。

  1. 国民年金
  2. 厚生年金
  3. 個人型・確定拠出年金
  4. 企業型・確定拠出年金
  5. 確定給付年金(企業年金)

※ここに出ていない「●●年金」は、障害状態になった場合でも基本的には受け取ることができません。具体例を含め、後半で解説します。

① 国民年金

国民年金に加入している自営業者等の方が一定の障害状態になり、要件を満たすと、「障害基礎年金」を受給することができます。

一定の障害状態とは

「法令により定められた障害等級表(1級・2級)による障害の状態にあるとき」と決められています。

対象となる病気やケガは、視覚・聴覚や手足の障害などの「外部障害」のほか、がん・糖尿病などの「内部障害」、うつ病・認知症などの「精神障害」も対象になります。

一例は下記の通り。

  1. 外部障害
    眼、聴覚、肢体(手足など)の障害など
  2. 内部障害
    呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がんなど
  3. 精神障害
    統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など

なお、上記「障害等級表」の1級・2級と、「障害者手帳」の1級・2級は全く別の判定基準ですので、ご注意ください。

保険料納付要件

障害状態の原因となった病気やけがについて初めて医師等の診察を受けた日(初診日)の前日において、下記いずれかの要件を満たしている必要があります。

  1. 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
  2. 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと

※20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。

年金額

受給できる障害基礎年金の額は、下記の通りです。

【1級】781,700円 ×1.25 +子どもがいる場合の加算
【2級】781,700円 +子どもがいる場合の加算

(子どもがいる場合の加算額)

  • 第1子・第2子 各 224,900円
  • 第3子以降 各 75,000円

※「子ども」の定義

  • 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
  • 20歳未満で障害等級1級または2級の障害者

受給できる期間

基本的には「一定の障害状態にある間」に受給できます。

1~5年毎に更新するルールとなっており、病状が回復したと判断されれば、支給停止になるのです。(「有期認定」)

ただし、手足の欠損障害のような明らかに障害の状態が改善されることがない場合は、障害の等級が一度決定されれば変更になることはありません。(「永久認定」)

② 厚生年金

厚生年金に加入している会社員や公務員等の方が一定の障害状態になり、要件を満たすと、①の「障害基礎年金」に上乗せして「障害厚生年金」を受給することができます。

また、障害厚生年金については、障害状態が2級に該当しない「軽い程度の障害」の時は3級の障害厚生年金を受給できます。

※初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残ったときには障害手当金(一時金)が支給されます。

「障害状態」と「保険料納付要件」

基本的には、障害状態の判定基準も保険料納付要件も、前述の国民年金と同様です。

「3級」と「障害手当金」は国民年金にないため、別途基準が設けられていますが、ここでは割愛します。

年金額(令和2年4月~)

ここでは、ベースとなる計算式だけ記載しておきます。

下記の「報酬比例」の計算式はとても複雑なので割愛しますが、基本的には「障害年金を受給する直前の収入(社会保険料の等級)によって、受給できるベースの年金額が変わる」とご理解ください。

【1級】
(報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者がいる場合の加給年金額(224,900円)*〕

【2級】
(報酬比例の年金額) + 〔配偶者がいる場合の加給年金額(224,900円)*〕

【3級】
(報酬比例の年金額) 最低保障額 586,300円

※生計を維持している65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。

国民年金・厚生年金の受給ルールについてはかなり複雑ですので、最寄りの年金事務所にお問合せいだだくか、日本年金機構のHPをご確認ください。

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/index.html

(受給できる期間の考え方については、国民年金と同様です。)

③④ 確定拠出年金(個人型・企業型)

確定拠出年金の加入者または加入者であった方(運用指図者)が一定の障害状態になった場合、「障害給付金」の支給を請求することが可能です。

③と④は同じ確定拠出年金*ですので、障害状態になった場合の受け取りルールはどちらも同じと考えていただいて問題ありません。

※個人型はiDeCo(イデコ)という愛称がついていて、企業型はDCまたは401kと呼ばれています。

支給要件と受給方法については、こちらの記事↓で詳しく解説していますので、ご参照ください。

確定拠出年金の受け取り方(受給方法)「iDeCo(イデコ)や勤務先の確定拠出年金(DC/401k)は、どのタイミングで受け取れるの?」 「受け取り方って、いろいろあるの?」 そんな疑問にお答えする内容です。 確定拠出年金(iDeCo /イデコ、企業型DC / 401k)は「最終的に受け取る(受給する)時のルールや、金融機関によっての違い」が大変複雑なので、今回から複数回に渡って解説していきます。...

⑤ 確定給付年金(企業年金)

最終的な受取額が企業の規約(ルール)で決められているタイプの企業年金を、「確定給付年金(DB)」と言います。

この確定給付年金も一定の障害状態になった場合は、障害年金を受給できる可能性があります。

ただし、あくまでも「可能性がある」だけで、実際はほとんどの企業で「確定給付年金の障害年金」は実施していません。

法律上、退職年金としての「老齢給付金」と中途退職者のための「脱退一時金」は必ず給付しなければならないのですが、「障害年金」を給付する義務がないためです。

よって、確定給付年金の導入企業で一定の障害状態になってしまった場合は、「障害年金をもらえる可能性は低い」と考えておいた方が良いでしょう。

障害状態になった場合に「もらえない」年金種類

最後に、一定の障害状態になった場合でも「もらえない(受給することができない)」年金と名の付くものを見ておきましょう。

  1. 国民年金基金
  2. 個人年金保険
  3. その他「年金支払型」と付いている保険など

国民年金基金

自営業者の方などが国民年金に上乗せで加入できる、「国民年金基金」という制度があります。

iDeCo(イデコ)と同様に掛け金が全額所得控除となるため、国民年金加入者の方で加入している方も多くいらっしゃいます。

ただ、この制度には給付要件が「老齢年金」と「遺族一時金」しかなく、一定の障害状態になった時にもらえる「障害年金」のルールはありません。

国民年金と混同されやすい制度なので、加入者の方はご注意ください。

個人年金保険

民間の保険会社が販売している、個人年金保険。一昔前は利率がかなり高かったのもあり、多くの方が加入しています。

こちらも「年金」と名がついているものの、「障害年金」のルールはありません。

基本的に死亡した時は「既に払い込んだ保険料の相当額」が戻ってくるのですが、それ以外は障害状態になっても「何とか続ける」か「損してでも解約する」しかないと思っておいた方が良いでしょう。

※以前は「高度障害状態」になった場合は、以後の保険料払込が免除されるルールもあったのですが、最近はほとんどが「無選択型」というタイプのためこのルールが適用されません。

その他「年金支払型」とついている保険など

他にも、様々な「年金」という名がついている保険等の商品が存在します。

よくある「年金支払型特殊養老保険」は、

最終的に年金受け取りをする前提で入る積み立て保険

のことですから、あくまでも保険です。

よって、一定の障害状態になった場合は公的年金のような「●●年金」が支払われるのではなく、

保険会社所定の「高度障害」等になった場合に「保険金」を受け取ることになります。

保険は万が一の時のためにコストを払って加入するものですから、高度障害の時に対応する保障は手厚い傾向があります。

繰り返しますが、公的年金等とは混同せずに、あくまでもコストを払うことで障害状態になるリスクをカバーするものと覚えておきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

障害年金の制度は非常に複雑なので、今回はとにかくザックリと概要を掴んでいただくための記事にいたしました。

繰り返しになりますが、国民年金・厚生年金の「障害年金」の詳細につきましては、最寄りの年金事務所にお問合せいただくのが確実です。

ただ、一般的にあまり認知されていないのは、前述の「確定拠出年金(iDeCo,イデコ,DC,401k)」と「確定給付年金(企業年金)」に加入していた場合のルールです。

これらに加入している場合の要件や受給方法について、個別具体的なご相談がある方は、ぜひお気軽にお問合せください。

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