国の制度

iDeCo(イデコ)のデメリット

「iDeCo(イデコ)がお得と聞いたけど、何かデメリットもあるの?」

「職場の同僚にiDeCoを勧められたので始めようと思うけど、60歳まで引き出せないのはどうなの?」

今回は、そんな疑問にお答えする内容です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、国が用意している「じぶん年金(老後資金)をつくるための制度」

こちらの記事(↓)ではメリットに絞ってお伝えしましたが、今回はiDeCoのデメリットについて詳しくお伝えします。(次回以降に注意点も解説します。)

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正直なところ、一般的な制度説明チラシやネット上の記事など他では書かれていない視点も取り入れています。

私たちは「FP兼 金融証券仲介業者(IFA)兼 保険代理店」として現場で実務をこなしているから、お伝えできるのです。

ぜひ、しっかりと確認しておきましょう!

(とにかく、“分かりやすく”いきたいと思いますので、細かいルール・用語の説明は一部省きながら進めていきます。ご容赦ください。)

多くの方が気にされているポイント

デメリット① 原則60歳まで引き出しができない

iDeCoの制度趣旨は公的年金の不足を補うために、老後の資産づくりを税制面から応援する」というものです。

そのため、原則60歳まで引き出し(受給)ができないルールとなっています。

※加入時期等によっては、60歳でも受給不可のケースがあります。詳細は別の記事にて。

一定の条件を満たすと引き出しも可能ですが、「下記要件にすべて該当する場合」のため、非常に厳しい内容です。

  1. 国民年金保険料全額免除又は一部免除、もしくは納付猶予を受けていること(障害基礎年金裁定通知を受けた方及び国民年金法第89条第1項第3号の施設に入所している方は除きます)
  2. 確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではないこと
  3. 通算拠出期間が3年以下(掛金を拠出しなかった期間は除く)、又は個人別管理資産が25万円以下であること
  4. 企業型確定拠出年金又はiDeCoの加入者資格を最後に喪失した日から2年以内であること

簡単にまとめますと、①の要件が「国民年金(厚生年金)を普通に納めている人はダメ」という意味ですから、明らかに多くの人が該当しません。

転職や病気などによる休職で収入が減少しても、子どもの教育資金やマイホームのことで大きな支出があっても、上記の要件を満たさない限りは原則引き出しができないのです。(東日本大震災が起きた際は、特別措置により一部緩和されました)

iDeCoは基本的に「途中引き出しは絶対にできない制度」と認識しておくと良いでしょう。

これだけ厳しい引出制限がある時点で、加入しない方が良いケースも多い?

いいえ、それは違います。

この厳しい引出制限は、裏を返すと「極めて強い強制力がある」ということ。

前述のメリットの記事でも書きましたが、“強制力”は中長期的な資産づくり(資産形成)に必要不可欠な要素であり、iDeCoの引出制限は大きなメリットでもあります。

「老後の生活で困らないように、現役時代からコツコツと積み立てて“じぶん年金”を作る」

という目的があるのであれば、ちょっとやそっとのことで引き出してはいけません。地道に長く続ける必要がありますね。

でも、多くの人は「途中で引き出せるなら、引き出してしまう」もの。

(他の記事でも書いていますが、行動経済学的にも上記の人間の特性が示されています。僕自身、途中で引き出せる制度で何十年も続ける自信はありません。)

iDeCoはそれをブロックしてくれる仕組みなのです。

「定期的かつ自動的に積み立て、簡単には引き出せない仕組み」だからこそ、iDeCoは“最強の老後資産形成ツール”といえます。

収入減少時や大きな出費があった時にも引き出せないため「デメリットになり得る」ことは否定しませんが、「同時にメリットでもある」という点をしっかり覚えておきましょう。

企業型確定拠出年金(DC/401k)と比較して

デメリット② 加入中に手数料がかかる

こちらの記事(↓)でも書きましたが、iDeCoは加入中に所定の手数料がかかります。

運用に対する手数料とは別で、「口座管理手数料」のイメージです。(窓口の金融機関によって異なり、年間2,000円~5,000円程度)

iDeCo/イデコの手数料①(加入申し込み時・加入期間中)iDeCo/イデコの手数料(加入申し込み時・加入期間中)について解説します。年間管理費は、金融機関によって5,000円程度の差が出ることも!...

ところが、勤務先で加入する企業型確定拠出年金(DC/401k)であれば、原則としてこの手数料は企業側が負担してくれます。(ごく一部、従業員に負担させるケースもあるようですが)

この点は個人で加入する分、iDeCo=個人型確定拠出年金の方が不利となっているのです。

証券口座等で投資信託を購入する場合と比較して

デメリット③ 積み立て(拠出)をストップしても手数料がかかる

iDeCoは「積み立てをストップして、貯まっている資金の運用だけを続ける」ことが可能です。(「加入者」から「運用指図者」になります。)

ただし、ストップした後も「口座管理手数料」のような一定の手数料がかかります。

それに対して、証券口座等で投資信託を購入する(積み立てる)場合は、その後にストップしても上記のような手数料はかかりません。

※繰り返しますが、運用に対する手数料とは別の話です。

NISA・つみたてNISAのような非課税口座で購入する場合も、同様となっています。

デメリット④ 最終的に引き出す(受給)時も手数料がかかる

さらに、iDeCoは最終的に引き出す時も手数料がかかります。

引き出し方法は「一時金受け取り」「年金受け取り」から選べますが、どちらの場合でも手数料がかかります。

イメージとしては、「出金手数料(お金を振り込んでもらう手数料)」です。

こちらも、証券口座等で投資信託を購入(積み立て)した後に引き出す際、上記のような手数料は原則かかりません。

※一部の金融機関では、所定の制限を超えると手数料がかかるケースもあります。

NISA・つみたてNISAのような非課税口座で購入する場合も同様です。

上記デメリット③④の手数料に関する詳細は、こちら(↓)の記事をご確認ください。

iDeCo/イデコの手数料②(移す時・止める時・受け取る時)iDeCo/イデコの手数料(移す時・止める時・受け取る時)について解説します。iDeCoは途中で止めることもできますが、管理コストがかかります。最後に受け取る時も、一時金か年金かによってコストが変わりますので、要チェック!...

iDeCoの手数料関係のデメリットについては、このように認識しておくと良いでしょう。

  1. 所得控除で毎年払う税金を安くしてもらえる分、口座管理手数料や出金手数料は自己負担。
  2. ストップすると所得控除はなくなるのに、口座管理手数料が引かれていく。つまり、iDeCoは続けることによってメリットが得られる制度で、続けないとむしろマイナス面もある。

デメリット⑤ 死亡時は一時金受給するしかなく、運用継続ができない

iDeCo加入者が死亡してしまった場合、貯まっていた資産を遺族が一時金で受け取ることになります。

「裁定請求」という給付申請をして、投資信託等を売却・現金化したうえで受け取る決まりのため、運用を引き継ぐことはできません。

よって、もし運用成績が悪かった場合は資産が目減りした状態で受け取ることになる可能性もあるのです。

これに対して、証券口座等で投資信託を購入(積み立て)していた場合は、投資信託を死亡した人の口座から遺族の口座に移換して、そのまま運用を引き継ぐことが可能です。

また、NISA・つみたてNISAを利用していた場合、非課税口座自体を引き継ぐことはできませんが、遺族の非課税でない口座に移換して運用を引き継ぐことはできます。

※上記のiDeCoの裁定請求を引き延ばす作戦もなくはないですが、実際に人が亡くなられた際に遺族がわざわざ受け取りを引き延ばすというのは、非現実的のように思います。。。

この死亡時のデメリットについては、iDeCoの中でも「弱点」といえるポイントのため、加入するうえでしっかり認識しておいてください。

弱点を補完しながら積み立てていく方法として、変額保険との併用について解説していますので、こちらの記事もチェックしておくと良いでしょう。

変額保険ってどうなの?①「他の商品・制度との違い」変額保険の加入を検討されている方向けの解説記事です。「変額保険を勧められているけど、他と比べてそんなに良い商品なの?」「変額保険も良さそうだけど、つみたてNISAやiDeCo(イデコ)の方がもっとメリットがあるのかな?」今回は、そんな疑問にお答えします。...

他の確定利回り制度・商品と比較して

デメリット⑥ 元本割れリスクがある

iDeCoは運用する商品を選ぶことができますが、「元本確保型」と呼ばれる預貯金タイプ等の商品のみを選んだとき以外は、「投資性商品」で積立投資をしていくことになります。

よって、当然ながら元本割れリスクが発生します。

※前述の「元本確保型」のみを選択した場合でも前半でご説明した「口座管理手数料」のようなコストは必ずかかるので、“事実上元本割れ状態”になります。

これに対し、国民年金基金・小規模企業共済や預貯金・財形貯蓄・学資保険・個人年金保険など、確定利回りタイプの制度・商品は、一定の期間を経過したら元本割れリスクはありません。(国や金融機関が破綻した場合などは除きます。)

基本的にiDeCoは、投資による一定のリスクを織り込んだうえで「長い目で資産を増やしていく」ための制度ですから、ぜひ投資性商品を選ぶことをおすすめしますが、、、

投資未経験者や初心者の方は、元本割れリスクをよく理解した上でiDeCoに加入しましょう。

まとめ

以上、iDeCoのデメリットをお伝えしました。

この記事だけを見ると「デメリットも多いし、やめておこうかな」と思えてしまうかもしれませんが、、、

いやいや、それは勿体ない!メリットの方が大きいですよ!!

いつも私たちはお伝えしていますが、「どんなケースでもメリットばかりの万能な制度・商品」は、存在しません

一定のデメリットを織り込みつつも、それは他の制度・商品で補完しながらバランスよく活用していけば良いのです。

「まず手元資金(預貯金)を増やす方が優先」「教育費の準備が先」といったように、そもそも老後資金準備の優先度・重要度がどの程度か、はひとそれぞれ異なります。

老後資金準備をスタートする(or既にスタートしている)場合は、加入対象者であれば間違いなく利用すべき制度といえます。

せっかく国が用意してくれた「お得な制度」ですから、もれなく活用しましょう!

ただし、他にも注意点がいろいろとありますので、次回以降の記事でしっかりと解説していきます。

そちらもぜひチェックしておいてください。

弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、5年前の創業当初からiDeCo/イデコや企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています

収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なiDeCo活用法と注意点から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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