「企業型DC(401k)とiDeCoって何が違うの?」
「結局どっちに入った方が得なの?」
この記事は、そんな疑問を持った方向けの記事です。
多くの会社員が加入している企業型DC(401k)=企業型確定拠出型年金ですが、近年iDeCo(イデコ)=個人型確定拠出年金の注目度が上がるにつれて両制度が比較されることも多くなってきました。
皆さんも、企業型DCとiDeCoどっちの方が得なのか、企業型DCとiDeCoの違いは何なのか、そもそも両制度の併用は可能なのか、そんな疑問を持っているのではないでしょうか。
そこでこの記事では、企業型DCとiDeCoの違いを解説。また、2022年に予定されている企業型DCとiDeCo併用に関する制度改正も解説します。
企業型DC(企業型確定拠出年金)とiDeCo(個人型確定拠出年金)とは
両制度をざっくり言うと、企業型DCは企業が掛金を拠出して従業員が運用を行う年金制度、iDeCoは個人が掛金を拠出して個人が運用を行う年金制度です。
両制度を比較するには、それぞれの特徴を把握しておくことが重要。まず企業型DCとiDeCoの基本から見ていきましょう。
企業型DC(企業型確定拠出年金)
企業型DC(企業型確定拠出型年金)とは、確定拠出年金(DC)制度の1つ。企業が掛金を拠出することと、掛金が確定していることから企業型確定拠出年金という名が付いています。
制度の目的は年金資産作りで、積み立てたお金の受取可能年齢は60歳以上70歳未満まで。受け取り方は年金形式と一時金形式から選べます。加入条件は、企業によって自動加入となる場合と加入するか否かを選択できる場合があります。
企業型DCの最たる特徴は、企業が拠出した掛金を従業員が運用することです。企業が行うのはあくまで掛金の拠出のみで、そのお金をどう運用するかは従業員に委ねられています。
また、掛金の運用方法ですが、従業員が直接、企業が用意しているラインナップから選択します。商品の種類は定期預金や保険といった元本確保型商品と、投資信託のような価格変動型商品があります。商品の選び方次第で、将来受け取れる年金額は変わってきます。
ちなみに、企業から振り込まれた掛金は全額非課税となり所得として計上されません。
企業型DCのポイント
- 企業が掛金を拠出し、掛金が確定している年金制度
- 掛金は企業が拠出するが運用は従業員が行う
- 商品には定期預金や保険(元本確保型)と投資信託(価格変動型)がある
- 掛金は全額非課税
企業型DCを退職金制度の代わりに使う企業も
企業によっては退職金制度の代わりに企業型DC制度を採用しているケースもあります。企業型DCも一時金形式で受け取れるため退職金と似ていますが、積立金の管理・運営の点で差があります。
退職金制度の場合、積立金の管理・運営は会社側が決定します。社内で積み立てている場合も有れば、社外で資産運用している場合もあります。
一方企業型DCは、拠出金の管理・運用を個人が行います。そのため、退職金制度に比べて個人の裁量がかなり大きい制度になっています。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定拠出型年金)とは、確定拠出年金(DC)制度の1つ。個人が掛金を拠出することと、掛金が確定していることから個人型確定拠出年金という名が付いています。
企業型DCと同じく制度の目的は年金資産作りで、積み立てたお金の受取可能期間は60歳以上70歳未満、受け取り方は年金形式と一時金形式から選べます。加入条件は公的年金制度に加入している60歳未満の方なら基本的に誰でも加入できます。
iDeCoの特徴は、働き方によって掛金の上限が異なることです。具体的に言うと、公的年金の被保険者区分によって月額・年額の掛金上限が設定されています。
被保険者区分 | 加入可能年齢 | その他加入資格 | 掛金限度額 |
第1号被保険者(自営業・フリーランス・学生など) | 満20歳以上60歳未満 | 国民年金保険料を納付していること(農業者年金の被保険者、国民年金の保険料を免除・猶予されている方を除く) | 年額:816,000円 月額:68,000円 |
第2号被保険者(会社員) | 60歳未満 | 企業型年金に加入している場合は、企業型年金規約で個人型年金への加入が認められている場合のみ加入可能 | 年額:144,000~276,000円 月額:12,000~23,000円 (企業型年金や厚生年金基金などの加入状況によって異なる) |
第2号被保険者(公務員・私学教職員) | 60歳未満 | 年額:144,000円 月額:12,000円 | |
第3号被保険者 | 20歳以上60歳未満 | 年額:276,000円 月額:23,000円 |
掛金の運用は、個人が運用商品を選んで運用します。商品ラインナップは、企業型DCと同じく定期預金や保険といった元本確保型商品と、投資信託のような価格変動型商品がありますが、iDeCoは自分の好きな金融機関から商品を選ぶことができます。
なお、iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となります。
iDeCoのポイント
- 個人が掛金を拠出し、掛金が確定している年金制度
- 掛金は個人が拠出し運用も個人が行う
- 商品には定期預金や保険(元本確保型)と投資信託(価格変動型)がある
- 掛金は全額所得控除の対象
企業型DCとiDeCoの違いは拠出元・運用者・掛金の扱い
ここまで企業型DCとiDeCoの基本を見てきましたが、両制度の違いは何なのでしょうか。
企業型DCとiDeCoの主な違いは3つ、「掛金の拠出元の違い」と「運用者の違い」そして「掛金の扱い」です。
企業型DC | iDeCo | |
掛金の拠出元 | 企業 | 個人 |
拠出金の運用者 | 従業員(個人) | 個人 |
掛金の扱い | 全額非課税 | 全額所得控除対象 |
まとめて言うと、企業型DCは企業が掛け金を払い込んでくれる従業員のための年金制度で、iDeCoは個人が自分で掛金を払う自分のための年金制度といったところです。
また、掛金の全額非課税と全額所得控除の違いは、掛金が企業から払い込まれるか自分で払うかによって生じる差です。
これらのほかに、選べる商品にも差がありますが、主な違いとしては上記3点を覚えておくと良いでしょう。
企業型DCとiDeCoはどっちが得なのか
企業型DCとiDeCoはどっちが得なのか?この疑問には正直答えがありません。そもそも両制度に優劣が無いですし、商品のラインナップ幅に差はあるものの、拠出金の増減を決めるのは商品の選び方によるところが大きいためです。
掛金の「全額非課税」と「全額所得控除」を比べても、どちらも住民税・所得税を減らす効果があるため、効果はほぼ同等となります。
また、企業型DCに対して、転職や退職によって積み立てが途切れる心配を持っている方もいると思いますが、この場合、転職先に企業型DC制度があればそちらへ引き継げますし、転職先に企業型DC制度が無かったり退職した場合はiDeCoに引き継ぐことができます。
こうして比べてみると、企業型DCとiDeCoには、思ったより大きな差はありませんし、制度の連続性も担保されています。そのため、制度の優劣を考えるより、目的に合った運用商品を選ぶことを優先して考えた方が良いでしょう。
現状企業型DCとiDeCo両方に加入できる企業は少ない
じつは、企業型DC制度がある企業において、iDeCoにも加入できるケースは少ないのが現状です。その理由は企業型DCとiDeCoの同時加入条件にあります。
第2号被保険者である会社員は、iDeCoに加入できる条件として、企業DCの規約に「個人型年金への加入が認められている場合のみ加入可能」という決まりがあります。現状規約にこの条件を盛り込んでいる企業が少なく、iDeCoに加入できない状況が多く発生しているのです。
しかし、iDeCoは原則公的年金加入者全員を対象とした制度です。国もこの状況を良しとしておらず、2022年に同時加入条件の緩和を予定しています。次の見出しで詳しく見ていきましょう。
2022年の制度改正で企業型DCとiDeCoの併用が可能に
企業型DCとiDeCoの同時加入が実質的にできない状況の対策として、2022年10月1日から、企業型DCの規約に関係無くiDeCoにも加入できるようになる予定です(掛金上限や拠出方法などに一部条件有り)。
これまで企業型DC加入者のうちiDeCoに加入できたのは、拠出限度額の管理を簡便に行うため、iDeCo加入を認める労使合意に基づく規約の定めがあり、かつ事業主掛金の上限を月額5.5万円から月額3.5万円(確定給付型にも加入している場合は、2.75万円から1.55万円)に引き下げた企業の従業員に限られていました。
2022年10月からは、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金との合算管理の仕組みを構築することで、企業型DCの加入者は規約の定めや事業主掛金の上限の引き下げがなくても、iDeCoに原則加入できるようになります。(引用元:厚生労働省)
会社員にも門戸が開かれるのは嬉しいですが、両制度を併用するうえでどのような点に注目すればよいのでしょうか?
企業型DCとiDeCo併用で両方の税制優遇を受けられる
企業型DCとiDeCoを併用すると、両制度の税制優遇制度を受けることができます。
企業型DCは企業から非課税で掛金が拠出されるため、あまり実感がありませんが、iDeCoは自分で払った掛金が全額所得控除となるため、その効果が目に見えて実感できます。
iDeCoの所得控除は毎年年末調整時に申請します。すると、その年に得た収入から掛金分に対応した所得税と住民税が減額されます。所得税は大抵12月か1月の給与振り込み時に合わせて還付され、住民税は翌年分から差し引かれることとなります。払った税金が後から戻ってくるのは気持ち的に嬉しいポイントですよね。
iDeCoは選択の自由度が高い!個人の知識がますます重要に
企業型DCは商品を企業が用意したラインナップから選びますが、iDeCoは金融機関選びから自分でやらなくてはいけません。良く言えば自由度が高い制度ですが、資産運用をしたことがない人にとってはハードルとなるポイントでもあります。
この不安を払拭するためには、iDeCoや資産運用の基礎知識をしっかり身に着けることが大切です。なんとなく商品を選ぶと希望した結果にならない可能性がありますし、金融機関の職員に選定をサポートしてもらったとしても、知識が無いと妥当性をチェックすることもできません。
恐らく、すでに企業型DCに加入している方は、職場での投資教育を何度か受けたことがあると思います。そこで得た知識を基に、次のステップとしてiDeCoの商品選定ができるレベルの知識を身に着けてみてはいかがでしょうか。
自分の資産は自分で作る!基礎知識をしっかり学ぼう
企業型DCとiDeCoは拠出元が「企業か個人か」という点で異なる制度ですが、その本質にはあまり違いはありません。どちらの方が得かよりも、どの商品を選ぶのが適切かを考え、まずは現在加入している確定拠出年金で商品選びを実践してみましょう。
また、2022年からiDeCo同時加入の緩和も待っています。さらに手厚い老後資金ができるようになるだけでなく、iDeCoの節税効果を追加で受けられるメリットもあります。
しかし、これらの制度を使いこなすには、まず基礎知識をしっかり身に着け、自分の資産を自分で作る自覚が大切。資産運用の基礎を学ぶだけでも、商品の理解や特徴の把握はできるようになります。
そのうえで不安な場合は専門家であるFPに相談するのも手です。長年運用していく大事なお金だからこそ、自分の手でしっかり積み上げていきましょう。
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からNISA・ジュニアNISAやiDeCo/イデコ・企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なNISAやiDeCoの活用法と注意点」から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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