「OPECって何?」
「OPECの持つ影響力は?」
この記事は、そんな疑問がある方向けの内容です。
石油に関するニュースでよく耳にする「OPEC(石油輸出国機構)」という団体があります。石油に関係する団体ということは知っていても、具体的な情報は知らない方が多いのではないでしょうか?
OPECとは石油の生産量に大きな影響力を持つ、世界経済を見るうえで欠かせない団体です。OPEC加盟国の発言一つで原油価格が変動することすらあるのです。
そこでこの記事では、OPECの加盟国や役割、そしてOPECが市場や生活に与える影響などについて解説します。
OPEC(石油輸出国機構)とは|加盟国と役割
OPEC(石油輸出国機構/Organization of th Petroleum Exporting Countries)とは、石油産出国の利益を守るために、石油生産者の公正で安定した価格を確保することを目的として1960年に設立した政府間組織です。立上げはイラン・イラク・クウェート・サウジアラビア・ベネズエラの5国によって行われ、2022年現在は13カ国が加盟しています。
ちなみに、OPEC本部はオーストリアのウィーンに設けられています。オーストリアはOPEC加入国ではありませんが、永久中立国という立場を明確にしていることから、ウィーンが選ばれています。
OPECの役割と設立の背景
OPECの具体的な役割は「加盟国間で石油政策を調整および統一すること」です。石油産出国の生産量や供給スケジュールなどを調整し、消費国へ効率的・安定的に石油を供給することを使命としています。
OPECが設立した背景には、1959年2月に巨大企業複合体である「国際石油資本(メジャーズ)」が独断で中東原油価格の引き下げを行ったことが関係しています。
メジャーズは原油価格を引き下げたことで、産出国に対する所得税削減を実現しますが、一方で産出国側は石油収入の減少を危惧することになります。
この一件を受け、中東の主要産出国である5カ国(イラン・イラク・クウェート・サウジアラビア・ベネズエラ)は、石油収入を守る防衛手段として1960年9月にOPEC設立を決議しました。
2022時点のOPEC加盟国一覧
2022年4月現在のOPEC加盟国は下記の13カ国です。
- アルジェリア
- アンゴラ
- コンゴ
- 赤道ギニア
- ガボン
- イラン
- イラク
- クウェート
- リビア
- ナイジェリア
- サウジアラビア
- UAE(アラブ首長国連邦)
- ベネズエラ
中東とアフリカの国を中心に組織されており、サウジアラビアとイラクは1日当たりの石油生産量上位5カ国にも入る原油大国です(2019年時点)。
石油生産量上位5カ国(2019年時点)
- 1位:アメリカ(17万バレル) OPEC非加盟国
- 2位:サウジアラビア(11.8万バレル)
- 3位:ロシア(11.5万バレル) OPEC非加盟国
- 4位:カナダ(5.6万バレル) OPEC非加盟国
- 5位:イラク(4.7万バレル)
OPEC非加盟国も加入するOPECプラスとは
OPECに近い存在として、OPEC加盟国とOPEC非加盟の石油産出国で組織する「OPECプラス」という組織があります。石油産出量の上位国を見て分かるとおり、1位のアメリカや3位のロシアなどはOPECに加盟していません。
これは、石油価格を安定させたいOPECにとっては悩ましいことで、2014年から16にかけてアメリカが行った「シェールオイル」の増産により原油の先物価格が下落したことで問題が明確化しました。
そのため、OPECはOPEC非加盟の石油産出国に共同で生産調整を行うことを提案。2016年にOPEC加盟国10カ国と、OPEC非加盟国11カ国によりOPECプラスが発足しました。
OPECが市場や生活に与える影響
OPEC及びOPECプラスは世界的な石油の生産調整を行っているため、世界中の石油価格に対してとても大きな影響力を持っています。
ガソリン価格に絡んでニュースで名前を見るのはこのためで、OPECが石油の増産をすれば流通量が増えてガソリン価格が下がりますし、逆に減産をすれば流通量は減って価格は上がることになります。
また、企業においても、化学製品や鉄鋼、プラスチック・ゴム製品といった、原油価格と関連が強い部門にも大きな影響を与えると考えられます。
一時的な値上がりであれば、企業はその上がり幅を自社内で工面するかもしれませんが、恒常的に値上がりが続いた場合は、生産コストを商品価格に反映させざるをえなくなります。
実際に2022年4月1日には、原油高による原材料費や物流費の値上がりを受け、食品から紙製品、電化製品、交通など、幅広い分野で値上げが実施されました。
OPECは簡単に石油の増産をしない?
石油価格の値上げは私たちの生活に直結して大きな影響を与えますが、それでもOPEC側は簡単に石油の増産に踏み切りません。
その理由の一つに、石油産出国の多くが、国家予算を原油販売収入に依存している部分が大きいことがあります。石油利益の減少は国家収入の減少に直結してしまうため、安易に石油増産に踏み切れないのです。
また、世界的なコロナ禍や社会情勢不安も手伝い、石油需要に不安があるという点も要因の一つになっていると考えられます。石油を増産する場合、それに伴った消費量がなければ収入を確保できないのです。
OPECとオイルショック
OPECの影響力の大きさを物語る出来事の一つに、1970年代に起こった「オイルショック」があります。
オイルショックとは、原油価格の高騰をきっかけとした急激なインフレーションのことで、商品価格が先行してインフレしたせいで収入が追い付かず、さらに日銀が公定歩合を9%に引き上げた金融引き締めも合わさって、収入増の伴わないインフレーション、いわゆるスタグフレーションを引き起こすこととなりました。
この背景には、1973年10月に起こった、OPECによる原油価格の70%もの値上げがあります。値上げの理由は、1973年10月に起こった第4次中東戦争の勃発です。この際、アメリカとオランダに対しては、敵国であるイスラエルを支持していることを理由に輸出をストップ。さらには石油の減産も行っています。
日本は第4次中東戦争に直接関係ありませんでしたが、もちろん原油値上がりの影響は受けることに。「狂乱物価」と呼ばれる急激なインフレを起こすこととなります。
OPECのチェックすべき動向
OPECの言動はその一つ一つが石油価格に大きな影響を与えますが、中でも注視すべきなのが、OPECの中心的な国の発言と、OPEC非加盟の石油大国との関係です。これら2点はOPEC及びOPECプラスの方針決定に大きな影響を及ぼすため、組織として発言が出ずとも、日頃からチェックしておくとよいでしょう。
サウジアラビア・イラク・UAE・イラン・クウェートの発言
サウジアラビア・イラク・UAE(アラブ首長国連邦)・イラン・クウェートは、OPECの中でも特に石油産出量が多く、OPECの中心的な立ち位置にいます。
最近では2022年3月に、UAEがOPEC加盟国に増産を提案しているという情報から、原油価格が下落したこともあり、主要国の発言がOPECの動向に強い影響力を持っていることがうかがい知れます。
これら5カ国の石油産出量を合計すると産出量1位のアメリカを超えることもあり、地理的な繋がりや同盟関係も有していることからも、動向を注視すべきと言えます。
アメリカを始めとした非加盟国との関係
OPECは世界の石油市場のリーダーシップをとっている存在ですが、一方でOPEC非加盟国にもアメリカやロシアのような石油大国があり、大きな影響力を持っています。
中でもアメリカはOPEC主要国に匹敵する生産量があり、単独で石油価格を動かすほどの影響力があります。また、アメリカはOPECプラスに加入していないため、単独で行動を決定することも可能ですが、石油市場の安定の観点から、実際はOPECやOPECプラス加盟国とバランスを取りながら行動を決めています。
ただ、ときには立場が対立することもあり、意見の違いから原油価格の値動きを予測しずらくなることもあります。
OPECは生活に広く影響力を持つ政府間組織
石油産出国の収益安定を目的として設立したOPECですが、実質的には世界の原油価格を決める大きな要因となっていることが分かります。
そして、その影響は私たちが普段使っている、ガソリンはもちろん、商品価格や企業の売上など、広範囲にわたって影響を及ぼしています。
ガソリンは、世界中の国が燃料や原材料として使っている、なくてはならないものです。経済の血液ともとれる石油価格を把握するため、OPECや関係国の動向には日ごろからアンテナを張っておきたいですね。
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