アメリカは世界中に影響を与える経済大国です。その影響は日本にとっても大きく、アメリカ経済は日本経済から見ても注視すべき要素と言えます。アメリカ経済の状況を端的に知るためには、景気や雇用、金融などに係る経済指標を把握するのが近道です。そこでこの記事では、アメリカの重要な経済指標を解説します。
アメリカ経済と日本経済の関係とは
そもそもアメリカは日本だけでなく世界各国に影響を与えています。その経済力は2019年時点で世界GDP(国内総生産)の25%を占めるほど。対する日本は5.08%なので日本の約5倍にもなります。
しかし、日本はアメリカにとって、ただの数ある国の一つではありません。両国は輸出入の分野を始め、雇用や投資の分野においても強い結びつきがあります。それだけに、両国の経済状況はお互いに強い影響を与えます。
影響を与える要素はさまざまですが、ここでは代表的な3つの要素をピックアップして紹介します。
アメリカは日本の主要貿易相手国
出典:外務省
2021年時点で、日本にとってアメリカは輸出・輸入ともに第2位の相手国です。また、アメリカにとって日本は輸出・輸入ともに第4位の相手国となっています。ドルと円の為替相場が注視される背景には、この関係が一因として存在しています。
日本から見ると、輸出先としては、自動車や自動車部品、原動機などの大きな取引先となりますし、輸入元としては、医薬品や穀物、液化石油ガスなど、私たちの生活を支えるさまざまな品物の仕入れ元となります。
両国はそれぞれの得意・不得意分野において支え合っているため、両国の経済活動が健全であることはお互いにとって重要であると言えます。
日本は世界最大の対米投資国
出典:外務省
アメリカの日本に対する投資額は大きく、2020年時点で、アメリカからもっとも投資されている国となっています。その額は6,790億ドルにも上り、第2位のカナダ(5,698億ドル)や、第3位のドイツ(5,643億ドル)を大きく上回っています。
日本に対して多く投資するということは、多くの資金を日本に投入しているということです。日本経済が悪化すれば投資をした資産が減る可能性があるため、日本経済が健全で成長を続けることはアメリカにとっても求められていることだと言えるでしょう。
一方で日本からすれば、アメリカは大口の株主のような存在です。アメリカの経済が悪化すると日本に対する投資額が減る可能性もあるため、アメリカ経済が健全であることは日本にとっても求められることでしょう。
日本企業はアメリカで多くの雇用を創出している
出典:外務省
アメリカ国内における日本企業の影響は大きく、アメリカ全土で多くの雇用を創出しています。上図は、2019年時点の日系企業がアメリカで雇用を創出した主な人数ですが、多くの州で第1位・第2位を獲得していることが分かります。
つまり、日本にとってアメリカは多くの労働力を得る場であり、アメリカにとって日本は大きな雇用を生み出す存在です。人々の暮らしのためにも両国経済の安定は重要と言えます。
主要なアメリカの経済指標
ここからは、アメリカ国内の状況を知るために重要な経済指標を紹介します。
今回は、景気・雇用・物価・金融政策の4つの分野から以下の6種類をピックアップしました。
- 景気:国内総生産(GDP)、ISM製造業景況指数
- 雇用:米国雇用統計、ADP雇用統計
- 物価:消費者物価指数(CPI)
- 金融政策:FOMCの動向
景気に関係する指標
国内総生産(GDP)
国内総生産(GDP)とは、一定期間内にその国で算出された付加価値の総額を表す指標です。この「付加価値」とは、商品やサービスなどを販売したときの価値から製造・提供に必要としたコストを差し引いた値で、一般的にGDPが大きいほど経済活動が活発、豊かな国であると言われています。
また、GDPを継続的に把握し、過去の値と比べることで、経済成長の度合いを計ることができます。例えば、2021年と2022年のGDPを比較し、2022年の方が大きくなれば、経済は拡大傾向にあると推測できます。
ISM製造業景況指数
ISM製造業景況指数とは、アメリカに本拠を置くISM(全米供給管理協会)という団体が発表する、景況感を表す指標です。結果は毎月の第一営業日に発表されます。
調査は、300社以上の製造業の購買・供給管理責任者を対象としたアンケートによって行われます。アンケート内容は生産や受注、価格など10項目に関して「良くなっている」「同じ」「悪くなっている」を選択するもので、取りまとめた結果に、新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫の5つの指数を組み合わせ、ISM製造業景況指数の値を算出します。
結果はパーセンテージで表され、算出された値が50%を上回ると景気拡大、50%を下回ると景気後退と判断されます。
雇用に関するアメリカの経済指標
米国雇用統計
米国雇用統計とは、アメリカ労働省・労働統計局が毎月第一金曜日に発表する、失業率や週労働時間、平均時給など、アメリカ国内の雇用状況を10項目以上にわたって取りまとめた指標です。アメリカの数ある指標の中で特に重要とされています。
調査対象は、アメリカ全土にある約16万の企業や政府機関で、それらの中から約40万件のサンプルを抽出します。
指標の中で特に注目されている項目に、失業率や平均時給、非農業部門の雇用者数があります。それぞれの主な役割としては、失業率は個人消費を見る指標、平均時給は人件費を把握する指標、非農業部門の雇用者数は雇用者数の推移から個人消費の傾向を見る指標の役割があります。
ADP雇用統計
ADP雇用統計とは、給与計算代行サービスにおいて50万社以上の企業を顧客とするADP社(オートマティック・データ・プロセッシング社)により発表される、非農業部門雇用者数の傾向に関する指標です。米国雇用統計発表日の2日前に発表されます。
指標の目的は非農業部門雇用者数の予測で、将来的に個人消費が拡大するか縮小するかを予測するために役立ちます。
物価に関するアメリカの経済指標
消費者物価指数(CPI)
消費者物価指数(CPI)とは、毎月15日前後にアメリカ労働省労働統計局により発表される、物価の動きを測る指標です。
主に、経済がインフレ下にあるか、デフレ下にあるかを把握するために用いられ、CPIが継続的に高くなっていればインフレ、継続的に低くなっていればデフレが起こっていると推測されます。
中央銀行が金融政策を検討する際にも用いられ、CPIから求められたインフレ率・デフレ率は政策金利の検討に用いられます。
金融政策に関するアメリカの経済指標
FOMCの動向
FOMCとは、Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略で、アメリカの金融政策の方針を決定する委員会のことです。
FOMCを開催するのはアメリカの中央銀行にある最高意思決定機関であるFRB(The Federal Reserve Board)で、会合は年間に8回、約6週間ごとに実施されます。
FOMC開催後には声明文と経済見通し、議事要旨が公表され、合わせてFRB議長の記者会見も行われます。FOMCの決定事項は、重要な事項が多く盛り込まれており、金融政策の動きを予測する上で重要です。情報を効率よく集めるためにも、把握しておきたい事項です。
国内経済は国内だけで完結しない
日本国内の経済について知ろうとしたとき、知れば知るほど海外との関係によって成り立っていることが分かると思います。国内経済と名がついていますが、実際は国内だけで完結するものではないのです。
アメリカ経済はその最たるもので、貿易、投資、雇用など、多くの要素で日本と強い結びつきを持っています。それだけに、アメリカ経済を注視することは重要なのです。
今回は主要な指標について解説しましたが、アメリカ経済に興味が湧いたら、アメリカ経済の方向性や施策、アメリカの国民性など、アメリカ経済の解像度を上げる要素もチェックしてみると面白いですよ。
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からNISA・ジュニアNISAやiDeCo/イデコ・企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なNISAやiDeCoの活用法と注意点」から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
大好評の「無料オンラインセミナー」も随時開催中!
↓↓↓弊社推奨の「低コストiDeCo加入窓口」はこちら↓↓↓