“ESG”という文字列を目にしたことはありませんか?
実はこの単語、つみたてNISA(積み立てNISA)やiDeCo/イデコを使って「長期投資」に取り組む際、今後ますます重要な要素になると考えられているキーワードです。
この記事では、ESGについて出来るだけ簡単に・分かりやすく解説します。
「ESG投資」って、なに?
ESGとは、Environment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)の頭文字をとった略語です。
2006年に当時の国連事務総長だったコフィ・アナン氏が、「投資家はESGを意識した投資をしましょう」と宣言したことがきっかけとなり、
E・S・Gの3つの要素をふまえた「責任投資原則(PRI)」に同意した投資家は「ESG投資家」と呼ばれるようになりました。
世界のESG投資家の数は増え続けており、欧米ではここ数年で急拡大、アジアでも堅調に増加。2018年末時点で前年比+21%の2,232機関となっています。
また、ESG投資の市場規模は、主要先進国で2014年から年平均14%で成長していて、2018年には30.7兆ドルにも達しています。
環境や社会といったキーワードが出ましたが、ESG投資は「ボランティアに力を入れている企業に投資しよう」というものではありません。
企業の持続的成長には「環境・社会面の課題解決という、社会的責任を果たすための体制を整えていることが重要」という考えのもと、
ESGをふまえた投資をすることで、長期の持続的な運用成果(リターン)の獲得を目指すものです。
つまり、「ビジネスそのものを通じて社会課題解決に取り組む企業に投資しよう」ということですね。
ESGは私たち一般生活者にも関わりがあるの?
結論から言いますと、大いにあります。
私たち日本人の年金の運用で
2017年から、私たちの年金の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)もESG投資をスタートしました。
同機関の投資資産の国内株における3%程度なので、約1兆円程度ですが、それでも大きな資産規模ですし、今後さらなる拡大も検討されています。
いずれにせよ、「GPIFがESG投資をスタートした」=「日本人の年金の一部はESG投資で運用されている」ということなので、
「ほとんどの日本人が間接的にESG投資に関わっている」といえるのです。
投資信託などの金融商品を購入することを通じて
こちらの記事↓で、「長期投資を掲げるアクティブファンドは、SDGs推進企業に投資している傾向にある」とお伝えしました。
SDGs推進企業は「環境・社会面の課題解決に取り組む企業」ということですから、「SDGs推進企業への投資=ESG投資」と考えていただいて大きな間違いはありません。
つまり、「長期投資を掲げるアクティブファンドに投資すれば、自動的にESG投資を実践していることになる」といって良いのです。
そうしたアクティブファンドの代表例として、いわゆる”独立系”の運用会社であるコモンズ投信さんや「ひふみ」で有名なレオス・キャピタルワークスさんなどの商品があります。
上記2社は投資先の企業及び投資家との対話を重視し、「長期視点で成長期待の大きい企業」の選定基準などを伝えてくれています。
ぜひ一度、そうした「長期投資のプロ」のお話を聞いてみることをお勧めしますよ!
なお、私たちあしたばのファイナンシャルプランナーは「長期分散投資のサポート」が使命ですので、上記のような「長期投資を掲げるファンドの活用」を積極的にご提案しています。
あしたばで長期投資をスタートされた方は、ほとんどの方が「ESG投資を実践している」といえるのです。
ESG投資を実践するメリットは?
こちらも結論から言えば、長期的にみて、みなさんの資産を成長させる(増やす)ことに繋がります。
詳細はちょっと小難しい話になってしまうかもしれませんが、段階的にお話しすると、、、
まず、一般生活者のみなさんが長期的に資産をつくり、成長させるには、
「(投資信託等を通じた)株式投資で、長期的な世界経済の成長と企業の株価上昇の恩恵にあやかり、じっくり資産を育てることが重要」です。
世界全体でみると、今後も人口増や新技術・新サービスの登場による消費・市場の拡大が見込まれます。
よって、「長期的な企業の成長と世界経済の成長につながり、それを反映する投資信託等を通じて家計資産を成長させることができる」という期待値は大きいのです。
(なので、セミナー等で多くの方に「アセットアロケーションの株式の割合を増やしましょう!」と口を酸っぱくして言い続けています。)
しかしながら、この「長期的な世界経済の成長」の根幹を揺るがす様々な問題が、今まさに起きています。
それは、前述のSDGsの記事にもありましたが、気候変動やプラスチック汚染、貧困、格差など、環境面・社会面での問題です。
具体例:気候変動
産業革命以降の人類の著しい発展と同時に、温室効果ガスの排出量増大が続いており、地球全体の気温が上昇しています。
このまま石油や石炭に依存した経済活動が続き温室効果ガスが排出され続けるなら、この100年で地球の気温は4℃前後も上昇するといわれています。
4℃も上昇するとどうなるか、
猛暑や洪水など異常気象による被害、マラリアなど感染症の拡大、世界の食糧生産の減少、利用可能な水の減少、海面上昇による都市消滅etc…
上記のような甚大な被害につながることになり、世界経済の成長にも大きな影響を及ぼすことは間違いありません。
このように、人類が抱える環境面・社会面の問題を解決することは、「私たちが将来にわたって住みやすい・暮らしやすい、持続可能な環境・社会をつくる」ことになるのはもちろんですが、
「一般生活者の資産を長期的に育てる」うえでも欠かせないことなのです。
ESG投資を実践するうえでの注意点
ただし、「ESG投資=投資成果が向上する」ものではありませんので、注意してください。
ESG投資によるメリットはあくまでも「長期」で得られるものなので、短期的なリターンの追求にはむしろマイナスになってしまう可能性もあります。
様々な運用会社や調査会社がバックテストを実施していますが、その投資対象や算出期間によって、ESG投資が投資成果に対して「プラス寄与」となる場合もあれば「マイナス寄与」となる場合もあるようです。
やはり、投資は長期視点で考えることが鉄則中の鉄則。
その点は、改めて強く認識しておくようにしてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ESG投資には、上記のようなデメリット・注意点もあります。
それでもなお、「長期的に資産を成長させたい」という方にとって、少しずつでもESG投資を実践するメリットは大きいと考えています。
なぜなら、
前述の記事でお伝えした通り、今後は「ESG」の観点から、SDGsに沿って「持続可能な環境・社会づくり」に取り組む企業が支持され、成長を続けていく方向。
逆に、環境・社会面を無視した事業活動を続ける企業は市場から淘汰される可能性が高いからです。(当然、企業統治面もです。)
上記はあくまでも「あしたばの考え方」なので、“絶対”とは言い切れませんが、、、
これからは、「安くて便利だけど、環境にはめちゃくちゃ悪い商品」をつくる企業より「ちょっと高いけど、環境に配慮した親しみのもてる商品」をつくる企業が評価されると思いませんか?
ESG投資を通じて「将来にわたって住みやすい・暮らしやすい、持続可能な環境・社会をつくる」ことと、「資産を長期的に育てる」ことを同時に実現する。
綺麗ごとではなく、これからの資本主義における資産形成のスタンダートであると考えています。
みなさんも、E・S・Gについてぜひ一度じっくり考えてみてください!
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