・オリンピックによる経済効果って具体的にどんなもの?
・過去のオリンピック開催国の株価の推移が気になる・・・
この記事は、上記のような疑問をお持ちの方に、読んでいただきたい内容です。
いよいよ、東京オリンピック・パラリンピックが始まります。
今年はコロナ禍での開催ということもあり、いつもとは違うオリンピックに緊張感が高まっていますね。
世界中から多くの観客が集まり、経済効果が大きいと言われるオリンピックですが、その効果がどれくらい株価の変動に影響を与えているのか気になる方はいるでしょうか。
今回は経済効果の概要とともに、直近3回の開催国の株価の推移を検証していきたいと思います。
ご興味のある方は是非最後まで読んでみてください。
オリンピックによる経済効果
経済効果と一言にいっても様々なものがあります。
ここでは、オリンピックでの経済効果とは、具体的にどのようなものがあるのか代表的な3つについて解説していきます。
海外観光客のインバウンド
オリンピックでは、選手の応援のために海外からたくさんの観光客が開催国を訪問し、交通費、宿泊費、飲食費、買い物代、施設利用料などの多大なる金額が動きます。
2016年のブラジル・リオオリンピックでは海外旅行者数38万人、インバウンド消費額は75億米ドル(約7500億円)となっており、多くの観光客がお金を消費しました。
今回日本は海外訪日客の受け入れを断念したことで被る損失は1.6兆円ともいわれており、大きなダメージを受けることが予想されています。
インフラ事業
オリンピック開催が決定すると、それにともないインフラを整備する必要があります。
競技施設や選手村の建設、交通インフラなどの整備、バリアフリー化や耐震化、ホテルや商業施設などの民間施設の活性化など、たくさんのことを進めていきます。
企業にお金が回り、新しい雇用も増え、活性化された場所などは土地の価値が上昇するなどの様々な効果があります。
スポンサー収入
オリンピックには自社のブランド力を高めるために、たくさんのスポンサー企業がつき、様々な協力をしています。
多くの協賛金を集めてオリンピックの運営に役立てていて、スポンサーなしには開催できません。
スポンサー側も、世界最大のスポーツイベントを支える信頼と実績のある企業というのを世界にアピールできます。
自社製品を提供することで、世界中から多くの人が集まるオリンピックでその品質が認められれば、宣伝効果は抜群です。
過去のオリンピック開催国にともなう株価の推移
経済効果がみられると、それにともない株価の上昇につながることがあります。
ここでは過去のオリンピック開催国の株価の推移をみていきたいと思います。
株価を調べるにあたっては、開催が決まった時期からの状況をみていく必要があるため、各国の開催が決定した日(開催決定日)から五輪開催日までの期間の株価チャートを用意し、開催決定日の株価を赤ラインで示しました。
五輪開催時の値が赤ライン(開催決定時の株価)を上回っているかに注目をして頂きたいです。
2008年 北京オリンピック (中国)
北京オリンピックは2001年7月に開催が決定、2008年8月に開催されました。
ここでは上海総合指数を使って検証します。
開催決定日以降、しばらくは低調な株価推移が続いた中国ですが、2006年頃から中国をはじめとする新興国の経済成長が加速した時期に重なりました。
今までの動きとは逆に急反発を見せ、開催決定日から3倍近い水準まで上昇。中国の実質GDP成長率は10%を超えて極めて高い成長をみせました。
しかし、2008年にリーマンショックが起き、開催日にかけては急落しました。
結果として、最終的には急落してしまった株価でしたが、実質GDPも急成長し、オリンピック開催による追い風もある程度はあったものと推測されます。
2012年 ロンドンオリンピック (イギリス)
ロンドンオリンピックは2005年7月に開催が決定、2012年7月に開催されました。
算出にあたっては、代表指数のFTSE100を使って検証します。
開催決定から堅調に推移し、3割高の水準まで上昇しましたが2008年9月のリーマンショックによって大きく値を下げ、その後は上下しながら堅調に推移していく流れとなりました。
開催決定時からみると、株価は上昇しているのでオリンピック効果によるものに見えますが、
FTSE100だけでなく、開催国ではないNYダウもほぼ同じ動きとなっているため、オリンピック開催による効果は感じられない結果となりました。
もともと成熟した先進国の開催であることから、オリンピック開催が景気に与える影響は限定的であったとも考えられます。
2016年 リオオリンピック (ブラジル)
リオオリンピックは2009年10月に開催が決定、2016年8月に開催されました。
算出にあたっては、ブラジルで1番代表的なボベスパ指数を採用しています。
開催決定時はリーマンショックからの回復期であることから、開催決定前から株価が大きく上昇していますが、これは前年の下落の反動による部分が大きいと考えられます。
ブラジルは開催年の2016年3月に原油価格が1バレル=25ドル前後まで下落してしまい、実質GDP成長率は−5%前後と非常に悪化している時期に開催が重なりました。
開催の4~5カ月前からは反発しているようにみえますが、結局は開催決定時の株価よりも下がっており、オリンピック開催によるプラス効果を実感できない形となりました。
2021年 東京オリンピック(日本)
最後に日本もみていきたいと思います。
東京オリンピックは2013年9月に開催が決定、2021年7月に開催される予定です。
2013年の開催決定時から、現在(2021年6月)をみると、開催決定時の赤いラインをずっと割ってないことが分かります。
堅調な推移をみせ続け、コロナショックを経験しながらも2021年2月には日経平均株価は30,084円まで回復するなど、約30年半ぶりの高値を付けました。
東京オリンピックは開催日が延期になったり、観客を制限するなど異例の措置が多くとられているので、純粋に過去の開催国と比較するのは難しいと思われますが、
NYダウも今年最高値を更新していたりと、日本だけが特別な動きをみせているわけではないのでオリンピックの効果というのは薄いかなと考えます。
検証してみて
今回は、過去のオリンピックの株価について検証していきました。
1つ1つの開催国の株価推移をみていくと、オリンピックがあるからといって、必ずしも株式市場全体が良くなるわけではないということが分かりました。
オリンピック効果の明確な影響を確認できないことが多く、むしろ原油価格の暴落や、リーマンショック、新興国全体の経済成長などグローバルな出来事に株価は左右されていました。
開催決定時から実際にオリンピックが開催されるまでの期間が約7年間と時間があるため、自国の経済より外部要因に株価が引っ張られるのだと考えます。
「オリンピックがあるから株価はあがる」という思い込みだけで判断するのではなく、世界的な経済の流れを判断しないと間違える可能性があります。
インフラ事業などで一部の企業に対しては、受注がたくさん入り個別銘柄の株価押し上げに繋がることは当然ありますが、
オリンピックが開催されるだけで景気が上向きになり、株式市場が上昇するまでの影響はないようです。
株式はたくさんの要因で値段が形成されているので、自国の成長だけでなくグローバルな要因にも目を向けて様々な角度から冷静にみていくことが大切です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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