こんにちは。ファイナンシャルプランナーの安藤宏和です。
先月(2022年8月)28日に、弊社会員の皆様限定のフォローアップセミナーを開催し、昨今の急激な円安について解説しました。
その後2週間ほどのうちに、ますます円安が進んでいます。
為替動向を正確に予測することは誰もできませんが、一般生活者のみなさんにとっても今後の見通しは気になるところでしょう。
今回は、そんなみなさんにチェックしておいていただきたいこと&具体的な対策について簡単にまとめておこうと思います。
<1> 現在の円安はどれほどの水準?
9/7の外国為替市場で、円相場は一時「1米ドル=144円台」となり、1998年8月以来およそ24年ぶりの円安・ドル高水準を付けました。
今年1月は115円前後で推移したところからすると、20%を超える下落率で、1973年~の変動相場制のもとでは過去最大の下落率となっています。
<2> 急激な円安の要因は?
いくつかの要因が重なり合っていますが、セミナーでも解説したように、主なものは以下の通りです。
- 日米の金利差が拡大しているため、米ドルの方が買われやすい
- 戦争・紛争や金融危機などの「有事のドル買い」が起きている
- エネルギー価格が上昇する中で円は「非資源国通貨」とされているため、売られやすい
特に1つ目の日米の金利差拡大が大きいですね。
米国は昨年末からの急激なインフレを抑制すべく、FRB(米国の中央銀行に相当)が急速に利上げを進めています。
景気に悪影響が出すぎないように早めにストップしてソフトランディングを目指すのでは?
という観測もありましたが、インフレの収まる兆しが見えないため、FRBのパウエル議長は「景気を犠牲にしてもインフレ退治をやり抜く」と発言。
その発言があった8/26のジャクソンホール会議以降、米長期金利が上昇して更に円安が進んでいます。
<3> 今後はどうなる?
明確な予想はできませんが、すぐに年初の水準に戻るようなことはないと思われます。
9/8にECB(欧州中央銀行)が政策金利の0.75%引き上げを決定するなど、各国が金融引き締めに動いています。
唯一日本と同じくマイナス金利政策をとってきたスイスでさえも利上げに動いているという観測があり、完全に日本だけが取り残されている状況。
米国だけでなく他国との金利差が拡大すれば、ますます円は弱くなる方向に力が働きやすくなります。
前述の144円を付けた9/7に鈴木財務省が「継続すれば必要な対応をとる」とけん制する発言をしたものの、
為替市場はほとんど反応せず。
日銀の黒田総裁も「好ましくない」と指摘しつつもすぐに金融政策を変更する方針は示しておらず、
金融政策が手詰まり状態になっているようにも見えます。
この後更に円安が加速すれば、いよいよ日本も利上げに動く可能性もありますが、様々な点でハードルが高く、非常に不透明。
現在のような円安水準は当面続くかもしれません。
<4> 私たちの生活への影響は?
様々な面で影響が及びますが、悪いインフレ(物価上昇)が加速してしまうリスクがあります。
過度な円安は輸入産業にとって大打撃で、仕入れコストが大幅に上昇します。
企業努力で吸収できなくなれば、価格に転嫁せざるを得ないため、食料品など身近なものが今後ますます値上がりする可能性もあるでしょう。
他にも、コロナによる規制が緩みつつある中で、海外旅行に行く時の負担増なども考えられます。
<5> 今とるべき行動は?
1つ目は、資産の目減りを防ぐこと
円の価値が弱まっていくと、長期的には預貯金などの保有資産も実質的に目減りすることになります。
そこから身を守るためにも、あしたばのお客様が既に実践されているように「長期投資で一定のリターンを得る対策」は必要不可欠と言えます。
(みなさんの周りでiDeCoやNISAなどを使った投資をしていない方がいたら、この機会にぜひスタートしたほうが良いと伝えてあげてください!)
2つ目は、米ドルなど外貨資産のコントロール
外貨建て保険などで積立をしている方は、毎月(毎年)の負担が急増しているはずですので、減額や中止・解約等を検討しても良いでしょう。
既に外貨資産を多く持っている方は、一部を円に換金して利益確定させても良いかもしれません。
ただ、長期的に更なる円安に備えたいという場合は、全てを円に換金することはお勧めしません。
資産の一部を外貨で持ち続けることは、資産運用上のリスク分散に繋がります。
<6> 終わりに
以上、昨今の急激な円安について簡単ですが解説&アドバイスさせていただきました。
いつもの繰り返しですが、株価や為替など相場の未来を予測することはできません。
しかし、みなさんの「投資の経験値」をアップさせる意味でも、上記のような情報に向き合うことはとても大切です。
過度に心配する必要はありませんが、しっかりと動向を見守っていきましょう。
ご不安なこと・ご相談したいことがあれば、お気軽に弊社FPまで!
安藤
※今回は用語を細かく説明するのはあえてカットした分、読者さんによっては理解しづらいところもあったかと思います。すみませんでした。金融・経済用語を解説する記事もちょくちょくアップしていますので、過去の記事をご覧いただいたり、今後の記事にもご注目いただければ幸いです。
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からiDeCo/イデコや企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
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