都市計画税は固定資産税と同じく、年4回に分けて支払う税金です。土地や建物に関係していることは分かっても、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?
じつは、都市計画税と固定資産税は制度が似ていても、そもそも目的がまったく違うものです。そこでこの記事では、都市計画税の基本や固定資産税との違い、軽減制度などをわかりやすく解説します。
都市計画税とは
そもそも都市計画税とは、市区町村が徴収する「都市計画の推進のために納める税金」です。意味が漠然としすぎていて分かりにくいかと思いますので、順を追って説明します。
まず、ここで言う「都市計画」とは、「都市計画法」という法律によって定められた言葉で、都市を適正に発展させるための計画のことです。
都市計画で定めることは、都市化を推進する区域の設定や、地域ごとに建てられる建物の設定、主要な交通計画、地区におけるまちづくりのルールなどさまざまです。
当然、これらの策定にはかなりの手間と費用がかかり、さらに、計画に基づいて事業を実施するとなるとさらに多くの費用が掛かります。
そのため、住民の方に都市計画税という形で費用を一部負担してもらい、都市計画の速やかな実施を目指すわけです。
普段何気なく目にしている街並みも、皆さんの納めた都市計画税があってこそ実現したものかもしれないのです。
都市計画税がかかる地域とかからない地域
都市計画税はすべての人が納めるわけではありません。都市計画税がかかるのは、基本的に「市街化区域」という区域に住んでいる人だけです。
市街化区域とは、都市計画法に基づいて指定された「優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」を言います。都市計画の実現には多くの手間と費用がかかりますし、際限なく市街化を進めてしまうと、インフラの維持費も大変です。そのため、市街化する区域は、市街化区域という形であらかじめ区域を定めておくのです。
都市計画税がかからないのは、基本的に市街化区域以外に住んでいる方です。都市計画税はあくまで、都市計画の対象区域内の人たちで負担する考えなので、市街化区域以外に住んでいる人は基本的に対象外です。
都市計画税の課税対象
都市計画税の課税対象になるのは、市街化区域内にある土地と家屋です。例えば、市街化区域内に住宅を購入した場合、住宅とその土地がそれぞれ課税対象になります。
ここで注意したいのは、あくまで土地または家屋を所有していることが前提になることです。アパートやマンションなどを借りているだけでは都市計画税の支払い義務は発生しません。
また、マンションの一室を購入した場合は、マンションの一部を所有することになるため、マンションに課される都市計画税の一部を支払う義務が発生します。
都市計画税の税率と計算方法
都市計画税額の税率と計算方法は以下のとおりです。
この税率は、土地と家屋両方に適用され、それぞれ個別に算出されます。
ただし、0.3%はあくまで税率の上限値で、市区町村によっては0.3%未満の場合もあります。例えば、東京23区では0.3%となっていますが、同じ都内の東村山市では0.29%ですし、西東京市では0.25%、埼玉県の三郷市では0.15%など、市区町村ごとにかなり差があります。
都市計画税の課税標準額とは
都市計画税の算出に用いられる「課税標準額」とは、簡単に言うと「固定資産税の評価額と同じ額」です。課税標準額について、そもそもの目的を解説すると長くなるため、都市計画税を理解するには、「課税標準額=固定資産税の評価額」と覚えておけば十分です。
なお、固定資産税の評価額を確認するには、固定資産税の納税通知書を見るか、市区町村の税務担当窓口に問い合わせましょう。
都市計画税と固定資産税の違い
都市計画税と固定資産税の大きな違いは、税の課税対象と目的にあります。
固定資産税とは、土地や家屋などを所有している人が納める「普通税」です。普通税とは、使う目的が定められていない税金のことで、行政のさまざまな分野における資金に用いられます。例えば、道路や水路などのインフラ工事に使われることもあれば、福祉事業の予算に充てられる場合もあるということです。
一方の都市計画税は、市街化区域内に土地や家屋を所有している人が納める、都市計画推進を目的とした税金です。
税率面の違い
都市計画税と固定資産税の課税対象及び税率、計算方法を見比べてみましょう。
都市計画税
計算方法:都市計画税額=課税標準額×0.3%
固定資産税
計算方法:固定資産税額=課税標準額×1.4%
どちらも、土地や家屋を課税対象としており、さらに計算式も似ているため、「似たようなもの」と勘違いしがちです。しかし、実際は目的がまったく異なるもので、たまたま似通っている部分が多いに過ぎないのです。
都市計画税の軽減制度
都市計画税の軽減制度には、土地を対象とした「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」があります。
小規模住宅用地
一般住宅用地
これらは、固定資産税における「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」と同じ制度です。ここで注意したいのは、あくまで住宅用地のみが対象ということです。つまり、住宅が建っていることが前提であり、更地の場合や事業用地の場合などは対象になりません。
軽減制度に期限はありませんが、住宅が無くなった場合は対象から外れます。基本的に、1月1日時点で住宅が建っているかどうかが判断基準となるため、住宅を取り壊す場合は注意しましょう。
都市計画税と固定資産税は似て非なるもの
都市計画税とは、都市計画を推進するための税金であり、市街化区域内に土地や建物を保有している人のみが対象になります。支払うスケジュールや計算方法など、固定資産税と似ている部分も多いため、「同じような物」と勘違いしていた方も多かったのではないでしょうか?
このように、税金は中身を紐解いて見ると、思い違いをしていたというケースがよくあります。節税につなげるためにも、今一度自分に関係する税金を調べてみてはどうでしょうか?
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