「地震や台風で被災した地域に寄附をする時は、どうすればいいの?」
「支援金と義援金の違いって何?」
この記事は、そんな疑問をお持ちの方向けの内容です。(2~3分程度でお読みいただけます)
2019年10月の台風19号や2020年7月の集中豪雨など、甚大な被害をもたらす災害が近年でも頻発しています。
そんな時、「自分にも何かできることはないだろうか」とお考えの方がいらっしゃると思います。
人命救助・インフラ整備などのボランティア活動により、直接的な支援に加わるのも選択肢ですが、「仕事や家庭のこともあるし、それに加わるのは物理的に難しい」という方も多いはず。
そこでもう一つの選択肢になってくるのが、お金による支援、すなわち「寄付」です。
今回は、寄付をする際の基礎知識をまとめましたので、ご参考ください。
寄附をする意義
大規模な災害が発生した場合、経済的な影響も極めて大きくなるケースがあります。
例えば前述の2019年・台風19号の時は、河川や道路などの公共土木、森林や農地・水路、企業の建物などインフラ・産業への被害が非常に多岐にわたっており、その被害額が数百億円規模にのぼっている被災自治体も多く出ました。
そもそも財政難に苦しむ地方自治体も多く存在する中で、被災自治体の財源から莫大な復旧費用を捻出するのは困難が伴います。
(政府が予備費の支出を決めるなど国からのサポートも一定程度見込めますが、それにも限界があります。)
また、もちろん一般生活者にも経済的負担はのしかかります。
自宅や自家用車は保険でカバーできる部分もあるでしょうが、契約内容もしくは被害内容によっては十分な補償を得られない可能性もあります。
勤務先が被災によって操業再開の目途が立たないなど、その後の収入面で不安を抱えていらっしゃる方も多いことと予想されます。
こうした状況において、寄付という「汎用性の高いお金を届ける」行為は、一人一人の金額が少額でも積みあがれば大きな支援となるはず。
被災地の自治体と住民が前を向いて歩んでいくことの支えに、きっと繋がるのではないでしょうか。
「災害義援金」と「災害支援金」の違い
さてここからは、実際に寄附をする時の基礎知識をお伝えします。
被災地に届けるお金には基本的に2つのタイプがあり、趣旨が異なります。
それぞれの違いを理解しておきましょう。
①支援金
自分が応援したい団体(※)、関心がある分野の団体を選んで寄付し、被災地の支援活動に役立ててもらうお金です。
※各機関、NPO、ボランティア団体など
ポイント(1) 使い道
被災地での救命・復旧活動に使われます。例えば、避難所へのトイレ設置、ボランティアセンターの運営、被災者の心のケアなど様々な用途に使われます。
具体的な使い道は支援先団体に委ねることになっています。もちろん各団体には使途や収支の報告義務がありますので、透明性が保たれています。
ポイント(2) すぐに届く
被災地からのニーズに対して各団体が独自の判断と責任で柔軟に使用できるため、すぐに被災者に役立ててもらえます。
②義援金
被災者にお悔やみや応援の気持ちを込めて直接届けるお金です。
ポイント(1) 使い道
個人や企業などから寄せられた義援金は、被災した各自治体の義援金配分委員会で協議のうえ、寄付金の100%が公平・平等に、直接被災者に届けられます。
ポイント(2) 届くまで時間がかかる
義援金は自治体の復興事業や緊急支援には使われません。あくまでの被災者に直接かつ均等に分配するため、被災者数など正確な情報の収集後に届けられることになります。
混乱する被災自治体が配布作業も担当するため、どうしても被災者に届くまで時間がかかることになります。
「ふるさと納税」も災害支援の選択肢
あまり知られていないかもしれませんが、実は「ふるさと納税」を活用して被災自治体を支援するという方法もあります。
前述のとおり、地方自治体は莫大な復興費用を捻出しなければならないケースもありますが、十分な税源が確保できない場合も想定されます。
ふるさと納税による復興支援は、自治体に具体的な使い道を委ねることになりますが、インフラ復旧や農林水産・観光等の産業支援にまで役立てられます。
通常の災害義援金・災害支援金と異なりますが、被災地支援の選択肢として果たす役割は大きい制度といえます。
税金が安くなるメリットが得られる
一般個人の方が“特定寄付金”を支払ったとき、一定の範囲内で「寄付金控除」という名目で、税金が安くなるメリットを得られます。
(正確には「寄付金控除」と「寄付金特別控除」に分かれ、更に「特例控除」という制度もあるのですが、「寄付金控除」の総称で覚えておいていただければOKかと思います。)
災害発生時に被災自治体や支援活動を行う団体への「災害義援金」「災害支援金」「ふるさと納税」などは、“特定寄付金”に該当します。(寄付先による)
その結果、次のようなメリットが得られます。
「災害義援金」「災害支援金」の場合
(その年中に支出した寄付金の合計額-2千円)×40% を税額控除
※一定の限度額・制限あり。
※寄付先によっては所得税だけでなく住民税からも税額控除できる場合があります。
※説明を簡素化するため、多くのケースで使われる税額控除としていますが、所得控除を選択することもできます。
「ふるさと納税」の場合
その年中に支出した寄付金の合計額-2千円 を税額控除
※一定の限度額・制限あり。
具体的な寄付のやり方
代表的な窓口のサイトを記載しますので、ご覧ください。
大抵は振込でできますし、一部はクレジットカードも可能です。
①災害義援金
日本赤十字社
http://www.jrc.or.jp/contribute/help/19/index.html
赤い羽根共同基金
https://www.akaihane.or.jp/saigai-news/gienkin/7572/
②災害支援金
CIVIC FORCE
https://www.civic-force.org/contribution/
AMDA
https://amda.or.jp/articlelist/?work_id=6532
ピースウィンズ・ジャパン
③ふるさと納税
ふるさとチョイス
https://www.furusato-tax.jp/saigai/
さとふる
https://www.satofull.jp/static/oenkifu/201910_typhoon_19.php
寄付金控除を受けるには
災害義援金・災害支援金での寄付をされた場合
翌年の2月16日~3月15日の間に「確定申告」をする必要があります。
会社員の方でも「年末調整」では寄付金控除を受けられないので、ご注意ください。
ただ、e-Tax(電子申告)という制度ができて、オンラインで申告手続きも可能になりましたので、手続きはかなり簡素化されています。
ふるさと納税で寄付をされた場合
こちらも原則、翌年の2月16日~3月15日の間に「確定申告」をする必要があります。
ただし、一定の条件のもとで「ワンストップ特例制度」を使うことも可能で、確定申告よりもかなり簡便な手続きで寄付金控除を受けることができます。
いずれの手続きも、国税庁や総務省のホームページをご確認いただくか、税理士またはファイナンシャルプランナー(FP)等にご相談ください。
終わりに
上記のとおり、いろいろな選択肢を説明しましたが、「どれかが絶対に良い」というものではありません。
それぞれの特徴をふまえて、「できる範囲で寄付をしてみる」で良いのではないかと考えています。
少しでも「寄付」という行為を通じて被災地・被災者の支援・応援すること自体に、意味があるのではないでしょうか。
なお、実際に被害にあわれたことがある(あわれている)方もいらっしゃるかと思いますし、既に様々な被災地・被災者支援活動をされていらっしゃる方もいるはずです。
言葉足らずの点はご容赦ください。
また、寄付については多くの窓口があり、寄付金控除など制度も複雑なため、一部の紹介にとどめています。
ご了承のほど、よろしくお願いいたします。
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