「保険会社の医療保険は入る必要がないと聞いたけど、実際どうなの?」
「まだ若いし、いざという時は高額療養費制度もあるから、医療保険は不要なのでは?」
この記事は、そんな疑問がある方向けの内容です。
民間の保険会社が開発・販売している医療保険については、書籍やネット上の記事で「いらない」「不要」と主張しているケースをよく見かけます。
「ネットで入らなくて良いと書いてあったんですが…」と、弊社に来られるお客様からご相談いただくことも多いです。
そこで今回、FPとして多くのお金に関する相談をお受けしている立場から、「現場目線で医療保険はいるか・いらないか」を検証したいと思います。
(弊社も保険代理店の登録をしていますが、保険専業ではなく「総合金融アドバイザー」として金融コンサルティングを実施していますので、その立ち位置から解説します。)
医療保険とは
既に加入していたり、一度は保険屋さんから提案を受けたことがあるかと思いますが、「医療保険」がどんな商品なのかをザっと解説しておきます。
ポイントは以下の通り。
- 保険会社の外交員や保険代理店を通じて、「期間」や「保障(ほしょう)内容=イザという時にもらえる内容」をカスタマイズの上で契約を申込む
- 年齢・性別・保障内容等によって、払う掛け金の額が変わる
- 基本的には、病気・ケガ等による「入院」や「手術」をした場合に、給付金を受け取ることができる
- 様々なオプション(特約)があり、入院前後の「通院」や「三大疾病」(がん・心疾患・脳血管疾患)になった場合、「先進医療」を受けた場合などに給付金を受け取るプランも選べる
医療保険が「いらない」と言われるのは、なぜ?
では、医療保険「不要論」の主なポイントを見て行きましょう。
①掛け金の分を貯金して、病気・ケガに備える方が効率的
医療保険は決してコスパが良いとは言えない側面があります。
例えば30歳で「入院給付日額5,000円、入院中の手術給付10万円」という最低限の保障内容で加入したとしましょう。
商品や諸々条件によって違いますが、掛け金は「月々3,000円程度」と想定されます。
仮に月々3,000円なら年間36,000円。10年で36万円になります。
もし、10年間で1度だけ「病気で10日間入院し、手術を受けた」という場合、受け取ることが出来る金額は、入院給付日額5,000円×10日+手術給付10万円=15万円です。
36万円-15万円=21万円
これだけの金額を「掛捨てていた」ことになりますね。
もっと言うと、一度も入院や手術をしなければ、36万円全額を掛捨てたということです。
そのため、
「これだけ掛け金を払って、たいしたリターンが得られない可能性が高いなら、その分貯金にまわそう! 万が一病気・ケガで入院や手術をしたら、貯金から治療費を払えばOK」
と主張する方がいるのです。
②もし病気・ケガで治療費がかさんでも、高額療養費制度があるから問題なし
みなさんがご存知の通り、日本では公的な保険制度「健康保険・国民健康保険」に国民の誰もが加入しています。(75歳以上の方は後期高齢者医療制度)
その健康保険・国民健康保険の中に「高額療養費制度」というものがあり、
「自己負担の限度額」が決められているので、もし病気・ケガによる治療費が大きくなっても一定の負担で済む仕組みとなっています。
上図の通り、年収約370~770万円の方であれば、月の治療費が100万円でも「9万円程度の自己負担」で済んでしまう。
とても優れた保障制度です。
そのため、「医療保険に加入していなくても、高額療養費制度があるから負担は大きくならない。貯金で賄える!」と主張する方がよくいるのです。
③日々変化していく医療事情に対応できない
医療技術の進化やその時の社会情勢に合わせ、治療方法・入院日数・治療費の額など医療事情は刻々と変わっていきます。
それに対し、医療保険は一度契約すると保障内容は当面そのまま。
(更新・見直しで一定程度対応することもできますが、多くの場合掛け金の額は上がります。)
実際、患者の平均入院日数が年々低下傾向となっている中、「入院給付日額●●円」というタイプの保険では、十分な保障が得られない可能性もあります。
このように「変化に対応しづらい」点から、医療保険を不要と主張する方もいるわけです。
総合金融アドバイザーの「現場目線」では、いる?いらない?
さてここからは、多くの相談をお受けする立場としてFP安藤が「現場目線」の私見をお伝えします。
まず、上記「医療保険不要論」に対応する形でいきましょう。
①-1「掛け金の分を貯金しておけば大丈夫」は理想論
確かに、医療保険に加入せず掛け金の分を貯蓄しておくことができれば、イザという時の治療費をカバーすることは可能かもしれません。
そしてもちろん、病気・ケガをすることなく入院・手術もなければ、治療費等は一切かかりませんので、貯蓄に回した分はまるまる手元に残ります。
こう考えたら、医療保険に必要はないかもしれませんね。
ですが、よく考えてみてください。
「もし医療保険に入っていたらとイメージして、月々●●円をきっちり貯金に回していこう」
と実際にアクションを起こす人がどれだけいるでしょうか?
少なくとも、僕がこれまでご相談をお受けしてきた500世帯くらいで、一度も聞いたことがありません(笑)
人間はそんな合理的に動けるわけではないので、「結局何かしらに使って消えていた」となるケースがほとんどなのです。
こうなると、もし病気・ケガで長期入院や手術を繰り返すような事態が起きたら、急な出費で四苦八苦することになります。
一見コスパの良くない医療保険でも、イザという時は少なからず助けてくれる存在。
「人間の特性」もふまえて判断する方が、賢明といえるのではないでしょうか。
②高額療養費制度、将来ずっと継続される保証はない
前述の通り、高額療養費制度は非常に優れた制度です。
しかし、優れた制度ということは、国側の負担も大きいということ。
少子高齢化がこれからますます進み、今にも増して財源が乏しくなっていく日本の財政状況下で、そうした制度がずっと維持継続される保証はどこにあるでしょうか?
保険の加入を検討する際は、
「今のリスクを、今どうやってカバーするか」という考えではなく
「将来のリスクを、その時どうやってカバーするか」という視点を持つようにしてください。
そうすれば、終身で保障してくれるタイプの医療保険などは、一定の加入する意義があるように思います。
③医療事情の変化にも、ある程度対応できる
医療事情が変化していくのは間違いありません。
ですが、「定期的に保険を見直すこと」である程度対応可能と考えています。
前述のように「入院給付日額●●円」みたいな保障を柱に据えるタイプは時代に合わなくなってきていますが、今は「入院一時金」等の一括払いタイプなど、短期入院にも備えやすい商品が多く出ています。
医療事情の変化に合わせ、保険会社も創意工夫・切磋琢磨を重ねているということですね。
ただし、短期間で一気に掛け金を払うタイプで加入した場合は、途中で見直すと「今までの掛け金が払い過ぎだった」ことになるため、要注意。
基本的には「終身払」で出来るだけ安い掛け金を払っていき、5年程度を目安に見直していくことをお勧めします。
もし、大きな病気をしてしまうと以後は見直しができなくなる可能性も高いですが、(新しい保険に加入できなくなるため)
その場合は「以後は掛け金が免除される」オプションなども用意されています。
民間の医療保険も、使い方を工夫すれば医療事情の変化に対応できると考えて良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回一番お伝えしたかったのは、
「将来のリスクを、その時どうやってカバーするか」
という“判断軸”を持っていただくこと。
それがあれば、ご自身にとってベストな結論を導き出せるはずです。
保険屋さんでも構いませんし、ぜひ私たちFPのような総合金融アドバイザーの意見を聞いてみることもお勧めします。
なお、巷の記事や書籍には「●●があるから医療保険は不要!」というように“ある一面”しか見ていなかったり、「今と未来」の時間軸を見落としているなど、
『バランス感覚に欠ける主張も少なくない』という印象を受けます。
そうした情報は、一歩引いて冷静に取り入れると良いでしょう。
(そもそも、「現場」で生活者のサポートをしている方の意見でないと「机上の空論」かもしれませんよね。)
やや批判的になってしまい恐縮ですが、僕の私見を押し付けるつもりは一切ありません。
100%正しい主張なんて存在しないはずですから。
ただ、「中長期的な目線で、収入や資産状況・家族構成などをふまえて総合的に判断する」ことを前提に長年お客様のサポートをしていますので、
「バランス感覚」と「時間軸」を意識したアドバイスには自信があります。
今回の内容を少しでもご参考いただければ幸いです。
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、iDeCo/イデコやつみたてNISA、企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なiDeCo・つみたてNISA等の活用法と注意点」から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
大好評の「無料オンラインセミナー」も随時開催中!
↓↓↓弊社推奨の「低コストiDeCo加入窓口」はこちら↓↓↓