国の制度

遺族年金について②(遺族厚生年金)

「遺族基礎年金と遺族厚生年金の違いはなに?」
「遺族厚生年金はどんな人がもらえるの?」

この記事はこのような疑問にお応えします。

前回(↓)は遺族年金のうち、遺族基礎年金についてご紹介しました。

遺族年金について①(遺族基礎年金) 「もしも夫(妻)が亡くなったらどうしよう?」 「遺族には国からお金がもらえるって本当?」 この記事では、そんな疑問に...

今回は遺族厚生年金を中心に解説します。

遺族基礎年金と併せて、遺族厚生年金への理解を深め、万が一の際に自分がどれくらいの遺族年金を受け取ることができるのか確認しておきましょう。

遺族年金をおさらい


遺族年金は、国民年金や厚生年金に加入していた人、または加入している人が亡くなったときに、残された家族に対して支給される年金のことを言います。

遺族基礎年金遺族厚生年金の2つに分けることができ、それぞれ受給する際には細かな要件があるため注意しましょう。

遺族厚生年金について


ここからは遺族厚生年金について解説します。

遺族厚生年金は、遺族基礎年金と違い、会社員や公務員など厚生年金保険に加入していた人が亡くなった際に遺族が受給できる年金です。

つまり、国民年金にしか加入していない自営業の夫を亡くしたとしても、遺族厚生年金の対象ではない点には気をつけましょう。

遺族厚生年金の対象者

遺族厚生年金を受給できる人は、以下の3パターンに分けることが可能です。

  • 子、孫
  • 55歳以上の夫・父母・祖父母

遺族基礎年金の対象者は「子のいる配偶者」「子」であることを考えると、遺族厚生年金のほうが受給対象者の範囲が広いことがわかります。

なお、この場合の「子」「孫」は、それぞれ18歳になる年度の年度末(3月31日)を経過していない者、または20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の者です。

夫や父母、祖父母は55歳以上という条件がありますので注意しましょう。

受給要件

遺族厚生年金を受給するためには、亡くなった人が以下の5つの条件のうち、いずれかを満たしていなければなりません。

  • 厚生年金の被保険者
  • 被保険者期間の傷病が原因で、初診日から5年以内に亡くなった者
  • 障害等級1級・2級の障害厚生年金を受けられる者
  • 老齢厚生年金の受給権者
  • 老齢厚生年金の受給資格期間(25年以上)を満たしている者

なお、「厚生年金の被保険者」要件は、遺族基礎年金と同じく、死亡した日の前日時点で、保険料を納付した期間が加入期間の3分の2以上あるかどうかが基準です。

保険料の未納や滞納がないようにしましょう。

遺族厚生年金の年金額

遺族基礎年金と違い、遺族厚生年金の年金額算出は少々複雑です。遺族厚生年金は以下の式で算出します。

{(平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数)+平均標準報酬月額×5.481/1000×平成15年4月以後の被保険者期間の月数)}×3/4

平均標準報酬月額とは、被保険者期間の標準報酬月額を被保険者期間の月数で割って算出します。

標準報酬月額は、事業主からの毎月の給料などの報酬(月額)を区切りの良い幅で区分したものです。

標準報酬月額などの単語は聞き慣れませんが、健康保険料や厚生年金保険料の算出の際に用いられるものですので、この機会に覚えておきましょう。

また、遺族厚生年金額の算出は複雑なため、必要に応じて最寄りの年金事務所などに相談することで正しい受給額を把握できます。

受給期間

遺族基礎年金は、「子供が18歳に到達する年度の年度末(3月31日)まで」が受給期間です。

一方の遺族厚生年金は、亡くなった人と受給する人の続柄に応じて以下の通り規定されています。

  • 子のある妻もしくは夫の死亡時に30歳以上の妻は一生涯
  • 夫の死亡時に30歳未満の妻で子供がいない場合は5年間のみ
  • 夫と父母、祖父母は60歳以降
  • 障害等級1級・2級に該当しない子や孫は18歳到達年度の末日まで

ここで注意したいのが「夫の死亡時に30歳未満の妻で子供がいない」というケースです。

この場合、妻は(再)就職して自力で働くことができると考えられているため、遺族厚生年金の受給期間は5年と短くなっています。

遺族年金が受け取れない!?そんなときの救済制度


遺族基礎年金、遺族厚生年金共に、受給のために細かな要件が設定されています。

特に、遺族基礎年金は子供がいない配偶者には全く支給されません。

遺族年金の受給資格を満たさず、遺族が生活に困窮することのないよう、いくつかの救済策が講じられています。

寡婦年金

妻が60歳から65歳になるまでの間、亡くなった夫の老齢基礎年金の4分の3を支給する年金を寡婦年金と言います。

寡婦年金を受け取るには、亡くなった夫と、年金を受け取る妻が、それぞれ以下の条件をみたさなければなりません。

<亡くなった夫の要件>

  • 老齢基礎年金の受給資格があり、老齢年金や障害年金を受給していない

<年金を受け取る妻の要件>

  • 結婚期間が10年以上
  • 亡くなった夫が、妻の生計を維持していた
  • 夫が亡くなったときに妻が65歳未満
  • 遺族基礎年金の受給資格がない

死亡一時金

夫を亡くした妻が、遺族基礎年金や寡婦年金の受け取り要件も満たしていない場合は、死亡一時金を受給可能です。

国民年金の被保険者が年金を受け取ることなく亡くなると、生計が同じだった遺族に支払われます。

死亡一時金の受給には以下の2つの要件を満たすことが必要です。

  • 国民年金保険料の納付済期間が36ヵ月以上ある
  • 老齢基礎年金も障害基礎年金も受け取っていない

なお、先ほど解説した寡婦年金と死亡一時金は併給できません。

どちらか一方の受け取りですので注意しましょう。

終わりに


今回と前記事の2回にわたって遺族年金について解説しました。

「配偶者が亡くなったら」ということを、前向きに考えられる人はいません。

どうしても避けがちなテーマですが、いざというときに備えて遺族年金を予め確認しておくことは非常に重要です。

また、家族構成や年齢次第では、「遺族年金を受け取ることができると思っていたのに受け取ることができなかった」ということも想定されます。

それぞれの受給要件を読んで、正しく理解しましょう。

なお、公的年金とは別に、自助努力として万が一の際のお金を準備しておかなくてはなりません。

準備方法は貯蓄・保険・運用など、さまざまな方法があり、家族ごと、個人ごとに適切な準備方法は異なります。

お金はお金のプロに相談すると、「無理なく」「無駄なく」お金を準備する方法を一緒に考えてくれるので、ぜひ利用しましょう!

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