「今年に入ってからなぜ値上げ続きなの?」
「インフレって良いことじゃないの?」
この記事は、そんな疑問がある方向けの内容です。
2022年になってから、日本では継続的な物価上昇が続いています。ガソリンや食品、電化製品など、幅広い品目の値上げに驚いている方も多いのではないでしょうか。
短期間にこれほど急激に物価上昇が進む原因とは何なのでしょうか?そして、インフレを目指していた政府が、この値上げの動きを「悪い物価上昇」と表現するのは何故なのでしょう。
今回の物価急上昇のカギは「社会情勢」。物価上昇の原因から影響、そして良いインフレと悪いインフレについてそれぞれ見ていきましょう。
2022年における日本の物価上昇の現状
出典:2020年基準消費者物価指数 全国2022年(令和4年)5月分
2022年2月以降の物価変動率を見ると、継続的な上昇が発生していることが分かります。特に、4月・5月は変動幅が大きく、総合値はそれぞれ2.5%を記録、2カ月間でじつに5%も上昇したことになります。
この急激な動きは、2022年に入ってから起こったもので、2021年には見られませんでした。
出典:2020年基準消費者物価指数 全国 2021年(令和3年)12月分及び2021年(令和3年)平均
上図からも分かるように、2021年中の消費者物価指数はほぼ横ばいです。
それでは、なぜ2022年に入ってから急に物価上昇が進んだのか、次はその原因について見ていきましょう。
物価上昇の主な原因は原材料や燃料の高騰
今回の物価上昇は、経済の加速によるものではなく、原材料や燃料などが高騰したことによる生産コストの増加が原因とされています。
つまり、今までと同じものを作るのにコストが多くかかるため、その分値上げをしなくてはいけなくなったということになります。
上図の農林水産省の調査結果によると、価格上昇率が特に高いのは、パンやうどんなどの小麦由来のものや食用油、そしてかまぼこです。これらはいずれも原材料を輸入に頼っている部分が大きく、その輸入コストが高くなっていることが値上げに繋がっていると言われています。
つまり、今回の価格高騰の原因は日本国内には無く、海外の状況に起因するものということになります。
原油や小麦高騰の一因にロシアのウクライナ侵攻の影響
原油や小麦が高騰した原因の一つに、2022年2月から始まったロシアのウクライナ侵攻があります。
そもそもロシアは2020年時点で世界3位の原油生産国であり、ウクライナは2019年時点で世界7位の小麦生産国です。その中で、ロシアはアメリカやヨーロッパ各国などから経済的締め付けを受け、世界的にロシアの原油がストップするのではないかという懸念が広まっていますし、ウクライナはロシアからの攻撃を受け、小麦の輸出が一部できない状況に陥っています。
これにより、原油は将来的な供給不安により価格が上昇、小麦は供給量減少の影響を受けて価格が上昇していると言われています。
ただ、原因はこれだけではありません。
まず原油については、中東の原油産出国を中心に構成される「OPEC(石油輸出国機構)」の影響があります。OPECは加盟国の石油生産量を調整している組織で、ロシアの状況を受けて増産を求められています。しかし、OPEC加盟国は国の利益を原油に頼っている部分が大きく、増産・値下げすることには慎重になっている部分があります。
また、小麦に関してはカナダ産小麦の不作や、アメリカ・オーストラリアにおける小麦の品質低下などが重なったことも原因とされています。
このように、高騰の原因を全体的に見ると、世界中を巻き込んだ複合的な問題が背景にあるわけですが、ロシアのウクライナ侵攻の影響はその根底に位置する根深い一因であると言えます。
油脂類高騰の背景にもロシア・ウクライナ問題が
じつは、食用油やマーガリンといった油脂類の高騰にもロシアとウクライナの2国が関わっています。
ロシアとウクライナは両国とも世界的なひまわり油の生産国です。2020年時点で、ひまわり油の生産量世界1位はウクライナ、世界2位はロシアとなっており、両国からの供給量が滞るという懸念から、油脂類の高騰に繋がっています。
かまぼこ値上げの影に原油高の影響
かまぼこ値上げの直接的な原因はアメリカ産スケトウダラのすり身の高騰による所が強いですが、間接的な原因として原油高も影響しています。
かまぼこを生産する際の電気代や運搬費などは、いずれも原油高の影響を受けやすい分野で、それらのコストアップの影響がかまぼこの生産コストにも反映されているのです。
広く使われる原材料だけに影響範囲が大きい
原油や小麦、ひまわり油など、今回高騰した品目はどれも社会を形作るために必要な基礎的な品目ばかりです。つまり、それだけに必要とされる分野は広く、そして商品価格へ反映される品目も多くなるのです。
今回は食品を中心に話題を展開しましたが、原油においては食品以外の品目にも広く影響を及ぼしています。
原油は運輸や製造、交通などの基盤を支える存在であり、原油と関りがない業種は無いと考えられます。電気を使うにも発電の原料になりますし、車を使って商品を運ぶだけにもガソリンが必要です。それだけに今回の原油高の影響は大きく、さまざまな商品の値上げに繋がっているのです。
コロナ禍からの回復も物価上昇原因の一つ
2022年の価格高騰の主な原因は原材料の高騰だと言われていますが、コロナ禍からの回復と、それに伴った経済活動の正常化も一因であると言われています。
コロナ禍では経済活動が大幅に抑制されていましたが、徐々に経済活動が再開されることで物やサービスの需要も増加、その結果インフレに繋がっていると考えられています。
この動きはアメリカで顕著であり、原材料高騰の影響も相まって、インフレ率は40年ぶりの高水準を記録。5月のインフレ率はじつに8.6%にものぼっています。
日本においては急激な円安も一因に
原材料の多くを輸入に頼っている日本においては、2022年以降急激に進行している円安も価格高騰の一因になっています。
円安が進むと対外的な円の価値が下がるため、輸入品を購入する際のコストが高くなります。円安は輸出時に有利に働く部分もありますが、今回の円安は進行があまりに早く、原油や小麦などの高騰も相まって、消費者を苦しめる一因となってしまっています。
2022年の物価上昇が「悪い物価上昇」と言われるワケ
通常、インフレとは経済活動が活発になることで起こると言われていますが、2022年のインフレの原因は原材料の値上げであり、経済活動の活発化によるものではありません。
そのため、物価上昇に収入の増加が伴っておらず、実際は資産価値の相対的減少が起こっているのです。
これにより、経済状況は活発になるどころか、買い控えや行動の抑制に繋がることが懸念されています。値上げが進む品目の中には生活に欠かせないものも多く、生活の基本コストも底上げされています。また、このまま物価上昇が続けば、景気停滞下で起こるインフレである「スタグフレーション」が発生する恐れもあります。
つまり、見かけ上はインフレが起こっていても、事実上は資産価値の減少が起こっているため、2022年の物価上昇は「悪い物価上昇」と言われているのです。
資産の保有形態を変えることも一つの対策
2022年の物価上昇は燃料や原材料高騰を原因とするものであり、相対的に資産価値を減少させる、いわば招かれざるインフレです。
この状況下では、収入が変わらなくても資産価値が勝手に減っていくわけですが、原因が国外にあるうえに規模が大きいため、個人の頑張りでは対策しきれません。
しかし、資産を守る方法が無いわけではありません。例えば、保有資産の一部を米国株や金などに変えることも一つの対策です。日本円の経済状況が悪くても、景気が過熱しているアメリカなら株価は上昇していく可能性がありますし、円の価値が大きく下がっても、実態のある資産である「金」として持っていれば、その価値が消えることはありませんし、他国の通貨に変換することも可能です。
今後、私たちを取り巻く経済状況はどう変化するか分かりません。どうすれば自らの資産を守れるのか、その方法を考えることが、重要性を増していくのではないでしょうか。
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