年末になるとかけ込みでふるさと納税を申請する方が目立ちます。最近はインターネット上で365日24時間申し込めるため、ギリギリで申請する方も多いです。
しかし、節税になるとはいえ、ふるさと納税は税金を減らす魔法の制度ではありません。仕組みの基本や注意点などを覚えておかないと無駄遣いになる可能性もあります。
そこでこの記事では、ふるさと納税駆け込みの注意点を解説。仕組みの基本もおさらいしておきましょう。
ふるさと納税の仕組みの基本
まずはふるさと納税の基本をおさらいしましょう。
そもそもふるさと納税とは、自分で選んだ自治体に寄付をすることで、寄付額に応じた所得控除が受けられ、所得税と住民税が減額される制度です。
制度の趣旨は自治体の応援ですが、寄付額の30%以内で返礼品を受け取れるため、お得な節税制度として用いられている一面もあります。
所得控除の対象となる所得はふるさと納税をした年の所得です。ふるさと納税制度は年単位で切り替わるため、その年の1月1日~12月31日にふるさと納税をした額が、同じ年の1月1日~12月31日に受け取った総合所得から差し引かれます。
例えば、2022年12月30日にふるさと納税をした場合、所得控除の対象は2022年の所得です。
ふるさと納税について詳しく知りたい方は総務省のWebサイトをご覧ください
ふるさと納税の計算式と限度額
ふるさと納税で寄付した額は、すべてが所得控除の対象になるわけではありません。
対象額となるのは「ふるさと納税額 – 2,000円」で、算出された額を基に所得税と住民税の減額分が算出されます。
ただ、どちらも減額できる額に上限が設けられています。必要以上にふるさと納税をしすぎないように、確認しておきましょう。
所得税からの控除
所得税からの控除額は、すべての場合において以下の計算式で算出されます。
所得税からの控除額の計算式
- 所得税からの控除 = (ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」
また、所得税からの控除限度額は以下のとおりです。
所得税からの控除限度額
- 総所得金額等の40%
住民税からの控除
住民税からの控除額には基本分と特例分の2種類があり、それぞれ計算したのちに合算した額が控除対象額となります。また、特例分の計算式は、特例分の額が住民税所得割額の2割を超えると計算式が変わります。
基本分の算出方法
- 住民税からの控除(基本分) = (ふるさと納税額-2,000円)×10%
特例分の算出方法(特例分の額が住民税所得割額の2割を超えない場合)
- 住民税からの控除(特例分) = (ふるさと納税額 – 2,000円)×(100% – 10%(基本分) – 所得税の税率)
特例分の算出方法(特例分の額が住民税所得割額の2割を超える場合)
- 住民税からの控除(特例分) = (住民税所得割額)×20%
住民税からの控除の限度額
- 総所得金額等の30%
ふるさと納税駆け込みの注意点4つ
年末にふるさと納税をする場合、手続き日程や年末の忙しさから、特別注意が必要なことがいくつか出てきます。気を付けないとその年の所得から控除を受けられなる可能性や、そもそも所得控除の対象外になる可能性もあります。
そこで、ここからは駆け込みでふるさと納税をするときの4つの注意点を紹介します。
入金が年内中に終わるか確認する
ふるさと納税でその年に所得控除を受けたい場合、控除対象となるのは、その年の12月31日までに寄付金の受領が完了しているものまでです。具体的には、受領証明書に記載されている受領日(入金日)がその年の12月31日までの分です。
そのため、年内中にふるさと納税をしても、入金日が1月1日以降になった場合は翌年の所得控除の対象になります。
ふるさと納税の支払い方法には、クレジットカードや銀行振込、払込取扱票や現金書留などさまざまな種類があります。それぞれ入金に必要な時間が異なるため事前に確認しておきましょう。
限度額算出に使う「総所得金額」を確認する
ふるさと納税の控除限度額は「総所得金額」を基本に算出されます。
この「総所得金額」とは、その年に得たさまざまな所得を合算したもので、以下の4種類を合算することで求められます。
- 事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額)
- 総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額
- 退職所得金額
- 山林所得金額
会社員やパートといった給与所得者で、一時所得(生命保険の一時金や懸賞・福引の賞金など)が無い場合は、基本的に給与所得の合計額が総所得金額になります。
そのほかにも所得がある場合は、所得を書き出してから市役所の税務担当に確認するとよいでしょう。
年末は返礼品到着が遅れる可能性がある
年末はふるさと納税の件数が増えるため、返礼品の到着が遅れる可能性があります。
年末にふるさと納税をする場合、返礼品を年末年始に楽しもうと考える方も多いと思います。返礼品の返送期間は自治体によって異なり、数週間から数カ月と幅があります。
また、さとふるやふるさとチョイスといった、ふるさと納税のポータルサイトには返送期間は書いていません。返送期間が気になる場合は直接各自治体に確認しましょう。
節税という名目のショッピングになっていないか
意外とやりがちなのが「節税になるから!」と、つい必要以上のふるさと納税をしてしまうことです。特に年末は焦ったり気が大きくなったりして必要以上に申し込みがちです。
また、短期間にまとめて申請する場合は賞味期限切れにも気を付けましょう。返礼品の中には、お米や日用品など日持ちするものもあるため、うまく活用しましょう。
ふるさと納税で覚えておきたいポイント2つ
ふるさと納税をするなら、なるべくお得に、手軽にしたいところですよね。
そこで、お得にするポイントと手軽にするポイントを1つずつ紹介します。どちらも簡単に取り組めるため、ぜひ実践してみてください。
ふるさと納税でポイ活もできる
ふるさと納税のポータルサイトによっては、ふるさと納税をする際にポイントが付与されるところがあります。
例えば、「楽天ふるさと納税」では、楽天カードユーザーを対象に楽天ポイントが付与されますし、「ふるなび」では最大20%分のふるなびコインが付与されます。ほかにも「au PAY ふるさと納税」や「ANAのふるさと納税」などにもポイントプログラムが用意されています。
ふるさと納税は額が大きいので、ポイ活のチャンスを逃さないようにしましょう。
ワンストップ特例制度の活用で手続きが手軽に
ワンストップ特例制度とは、確定申告をしなくてもふるさと納税の税控除を受けられるようになる制度です。手続き期間はふるさと納税をした翌年の1月10日までで、制度の対象者は、給与所得者のうちふるさと納税以外の理由で確定申告が不要な方です。
ワンストップ特例の対象条件(すべて該当すること)
- 給与所得者であること
- 2箇所以上から給与などの支払いを受けていないこと
- 年間の給与収入が2,000万円以下
- 給与所得以外の所得がないこと
- 今年寄付した自治体数が5箇所以内
- ほかの理由で確定申告の予定がない(住宅ローン控除や医療費控除など)
また、申請にはふるさと納税したことを証明する、寄付金の受領書が必要なため、受領書を受け取る期間も加味しておきましょう。
こちらのページでワンストップ特例制度について詳しく解説しています
ふるさと納税は制度を知って賢く使おう
ふるさと納税制度は「返礼品がもらえるお得な制度」という印象が強いですが、しっかり制度を理解すれば、賢く節税できる制度として活用できます。
ただし、総所得金額の確認や申込みのタイミングなどには要注意。また、申込みの際にはポイ活やワンストップ特例の活用も忘れずに。ポイントを押さえて失敗なしのふるさと納税をしましょう。
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