企業年金とは、会社が従業員のために独自に準備する年金制度です。
就職のときに説明されたものの、ご自身の会社の企業年金が何なのか忘れてしまっている方も多いのではないでしょうか。
今回は企業年金とはなにか、また種類ごとの違いや受給する際の注意点について詳しく解説します。
企業年金の受け取りや老後資金の準備について不安をお持ちの方は、ぜひあしたばにご相談ください。
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企業年金とは?
まずは、企業年金とはなにかを解説していきます。
企業年金と年金制度の基本
企業年金とは、退職後の従業員の生活を支えるために会社が独自に設ける年金制度です。
私的年金は公的年金に上乗せして年金を受け取れるため、老後の年金生活の安心につながるでしょう。
ここで、年金制度の概要を確認しておきましょう。
20歳以上60歳未満の日本に住む国民はすべて国民年金に加入し、要件を満たす会社員や公務員は厚生年金に加入しています。
企業年金は、もともとは退職金が始まりでした。
従業員の退職時に一括して高額な退職金を支払うのではなく、分割して「年金」として支払う考え方が1950年頃に生まれたのです。
さらに、分割して支払うことで得た利益も上乗せする「企業年金」として、その後日本全体に普及していきました。
企業年金がある会社の割合
企業年金を設けるかどうかは任意のため、企業年金のある会社とない会社があります。
退職給付制度がある会社のうち、企業年金のある会社の割合は以下のとおりです。
企業規模 | 1,000人以上 | 500人以上 1,000人未満 | 100人以上 500人未満 | 50人以上 100人未満 |
企業年金がある 会社の割合 | 86.3% | 74.7% | 50.5% | 30.9% |
(出所:人事院「令和3年民間企業の勤務条件制度等調査(民間企業退職給付調査)」)
企業規模が小さい会社ほど、企業年金がないことがわかります。
4種類の企業年金の違いは?
企業年金の種類は、以下の4つに分けられます。
それぞれの違いを解説します。
企業型確定拠出年金(企業型DC)
企業型確定拠出年金は、企業があらかじめ決められた金額の掛金を拠出し、年金資産の運用は従業員が指示する年金制度です。
将来受け取る金額は、運用成績により変動します。
そのため、事業主には従業員への投資教育が義務づけられています。
掛金の拠出は企業が行いますが、拠出限度額の枠内かつ事業主の掛金を超えない範囲で加入者の拠出も可能です。
確定給付企業年金(DB)
確定給付型企業年金は、企業と従業員が約束した金額を退職後に受け取れる企業年金です。
給付額が確定しているため、たとえ年金資産の運用が悪化しても、従業員は約束された金額を受け取れるメリットがあります。
ただし、運用成績が悪い場合は企業側には追加拠出のリスクがあります。
確定給付型企業年金は、運営形態により「規約型」と「基金型」の2つに分けられ、以下のようなしくみになっています。
種類 | 基金型 | 規約型 |
特徴 | 企業が厚生労働大臣の認可を受けて 設立した企業年金基金が、 年金資産を管理・運用する | 厚生労働大臣の承認を受けて、 会社が年金資産を管理・運用する |
加入者数の要件 | 300人以上必要 | 人数要件なし |
基金型は後述する厚生年金基金と似たしくみです。
厚生年金基金
厚生年金基金は、決められた給付額を受け取れる確定給付型の企業年金の一つです。
企業が設立する法人である厚生年金基金が、年金資産を管理・運用して年金給付を行います。
厚生年金の給付の一部を代行し、厚生年金基金が独自に上乗せする制度です。
1966年にスタートした制度ですが、運用状況が悪化する基金が増えたことから、基金の存続基準が厳しく法改正され、2014年以降には新設できなくなりました。
現在では、多くの厚生年金基金が解散されています。
中小企業退職金共済制度・特定退職金共済制度
中小企業退職金共済制度(以下、中退共)は、中小企業向けの退職金制度です。
企業年金とは、会社が従業員のために設ける年金制度ですが、中小企業のように規模の小さい会社は、独力で退職金を準備することが難しい企業もあります。
中退共は、こういった中小企業のために、加入する企業の相互扶助と国の援助によって従業員のための退職金を準備する制度です。
中退共は、独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営しています。
「特定退職金共済制度(特退共)」は、中退共と同じ共済型の退職金制度ですが、運営元は特定の市町村や商工会議所などの団体です。
運営元のほかに、加入資格や退職金を受け取れる条件なども異なります。
企業年金を受け取るときの注意点
企業年金を受け取るときには、以下のような注意点があります。
順に解説します。
企業年金の受け取り方は2種類ある
企業年金の受け取り方には以下の2種類があります。(厚生年金基金は年金形式のみ)
- 年金:分割して受け取る方法
- 一時金:一度に全額を受け取る方法
また、両者を併用して受け取れる会社もあります。
会社によって受け取り方が決まっているので、会社の規約を確認してみてください。
受け取り方によって、以下のような違いが生まれます。
受け取り方 | 一時金 | 年金 |
所得の分類 | 退職所得 | 雑所得 |
控除 | 退職所得控除 | 公的年金等控除 |
退職所得控除の計算については、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご確認ください。
受給の手続き窓口は企業年金の種類によって異なる
企業年金を受け取る場合には、自分で手続きをしないといけません。
企業年金の種類によって窓口が異なるので注意しましょう。
企業年金の種類 | 窓口 |
---|---|
企業型確定拠出年金 | 運営管理機関 |
確定給付企業年金 | 規約型:会社 基金型:企業年金基金 |
厚生年金基金 | 加入していた基金 (加入期間が10年未満の場合や 基金が解散している場合は企業年金連合会) |
中小企業退職金共済制度 | 中小企業退職金共済事業本部 |
引っ越ししている場合は各企業年金の窓口に連絡する
退職後に引っ越しをしていたら、各企業年金の窓口に住所変更の連絡をしましょう。
受給できる年齢が近づくと、各企業年金の窓口から受給に関する案内が届くのが一般的です。
退職後に引っ越しても、在職時代に関わっていた施設には連絡していない人も多いのではないでしょうか。
しかし、企業年金をしっかりと受給するためには、少なくとも60歳近くになれば各企業年金の窓口へ住所変更の連絡をしてください。
まとめ:企業年金を理解して老後の生活を安心させよう
今回は、企業年金について詳しく解説しました。
企業年金には以下の4種類があり、それぞれ特徴が異なります。
ご自身の会社がどの企業年金なのかしっかり理解して、いくら年金がもらえるのか試算することが老後の生活の安心につながります。
しかし、企業年金だけでなく公的年金も絡み合い、日本の年金制度は大変複雑となっています。
年金の試算を含め、老後資金に不安のある方は、ぜひ私たちあしたばにご相談ください。
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