近年、ライフスタイルも多様化しており、結婚の形も変わってきています。
日本でも最近耳にすることも増えてきた事実婚ですが、フランスでは事実婚カップルが多く、別名「フランス婚」と呼ばれるほどです。
事実婚を選択される人もいる中で、お金の面で法律婚と何か差が生じるのかと不安になる人もいるでしょう。
そこで、この記事では事実婚パートナーの扶養に入るための要件、事実婚を選択する際の注意点についてご紹介します。
Tweet
事実婚とは?
事実婚に明確な定義はありませんが、一般的には婚姻届を提出しないまま、婚姻の意思を持ってパートナーと生活をすることをいいます。
事実婚のメリット・デメリットには、以下のようなものがあります。
メリット
- 名義変更の手続きが不要
- 戸籍に記録が残らない
入籍すると、どちらかの姓を名乗るか選ぶ必要があります。
姓が変わったら、銀行口座やクレジットカード、パスポート、健康保険などの手続きが必要です。
それぞれの関係先へ手続きを行わなければならりませんが、事実婚はその手間がなくなります。
デメリット
- 相続権がない
- 税金の控除がない
- 夫婦であることの証明が難しい
事実婚の大きなデメリットは、遺産の相続権がないことです。
遺言書によりパートナーへ遺産を残すことはできますが、相続人と争いになる可能性もあり、遺産を受け継いだ場合も相続税の負担が発生します。
また、配偶者控除や医療費控除などの税金の控除もありません。
事実婚を選ぶ理由は人それぞれかと思いますが、内閣府男女共同参画局の調査によると、「苗字が変わるのが嫌・面倒だから」という理由が一番多い結果でした。
仕事のキャリアのためや連れ子がいる人の再婚など、さまざまな事情で苗字を変えたくないことも理由の一つとなっているようです。
参考:内閣府男女共同参画局ホームページより
法律婚と同じく認められているものは?
事実婚も法律婚と同じように取得できる制度や給付金があります。
主なものは以下のとおりです。
- 育児休業
- 児童手当
- 不妊治療の医療費助成・保険適用
育児休業のほか、パパ・ママ育休プラスも取得することができます。
参考:内閣府資料「いわゆる事実婚※に関する制度や運用等における取扱い」より
事実婚も扶養に入れる?
扶養には、税制上の扶養と社会保険上の扶養の2種類があります。
事実婚の場合、税制上の扶養(配偶者控除など)には入れませんが、社会保険上の扶養には入ることができます。
扶養に入るための条件は以下のとおりです。
- 生計を一にしている
- 年収が130万円未満
- パートナーの年収の半分以下
社会保険上の扶養は、健康保険と年金です。それぞれ解説していきます。
健康保険
健康保険の被扶養者となることにより、健康保険料の負担がなくなります。
またパートナーの父母や連れ子も被扶養者になることができます。(パートナーの父母や連れ子は同居の場合のみ)
参考:協会けんぽホームページより
年金
条件を満たすと、会社員や公務員の被扶養者として国民年金の第3号被保険者へ加入することができ、国民健康保険料の負担がなくなります。手続きは、パートナーの勤務先を通じて行います。
国民年金・厚生年金保険の被保険者であるパートナーが亡くなった場合、条件を満たしていれば、遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)を受け取ることができます。
ほかにも寡婦年金、死亡一時金、加給年金も対象です。
寡婦年金か死亡一時金は、どちらか一つ受給できます。
受給できるのは、①10年以上継続して婚姻関係にある②受け取るパートナーの年齢が60歳~65歳までの人です。
なお、老齢基礎年金を繰り上げ受給している場合は、寡婦年金はもらえません。
参考:日本年金機構ホームページより
住宅ローンは申し込める?
住宅ローンを利用するとき、単独のほか夫婦で借り入れることもできます。
夫婦で借り入れる場合、住宅ローン申し込み者本人と配偶者の収入を合算する「収入合算」を行うことがあり、合算した年収で借入可能額が判断されます。
金融機関での住宅ローン
もともと、夫婦で借り入れる場合は、法律婚でなければ借り入れることが出来ませんでしたが、昨今のニーズの高まりを受け、事実婚や同性パートナーも法律婚と同様の取り扱いをはじめる金融機関も少しずつ増えています。
フラット35
フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が連携して扱う、全期間固定金利の住宅ローンです。
フラット35の連帯債務型で収入合算できる要件は以下のとおりです。
- 申込者本人の親・子・配偶者など(婚約者・事実婚も含む)
- 申込者の年齢が70歳未満
- 申込者本人と同居する人
- 連帯債務者となる人(1名のみ)
収入合算できる要件には、事実婚も対象として認められています。
参考:住宅金融支援機構ホームページより
事実婚をするときの注意点とは?
日本において事実婚は、法律婚と扱いが異なるものがいくつかあります。
事実婚を選択する際に注意しておきたい主な項目は以下の通りです。
- 生命保険金について
- 子供の親権について
- 医療・ケアの方針の決定手続き
- 住民票の手続きを行う
①生命保険金について
生命保険金の受取人に指定できるのは、原則戸籍上の配偶者と2親等以内の血族です。
事実婚のパートナーということが証明書類などで確認出来れば、受取人として指定できる保険会社もあります。
しかし、受取人として指定できても保険金額に上限が設けられる、生命保険料控除が受けられない、保険金受取の際には相続税がかかるなどのデメリットがある場合もあります。
保険会社により取り扱いは異なりますので、事前に確認する必要があります。
2親等以内の血族とは、被保険者の子どもや両親、兄弟姉妹、祖父母、孫です。
②子供の親権について
事実婚のカップルに子供が生まれた場合、法律婚と大きく異なる点は親権です。
法律婚の場合は、親権者は父親と母親ですが、事実婚の場合は親権者は原則母親のみとなり、父親の財産を相続する権利や扶養の義務がありません。
このような状況を避けるため、子供を認知するという手段があります。
認知により、子供と父親の間に法律上の親子関係が認められるので、相続権や扶養義務が生じます。
認知することにより扶養控除を受けることもできます。
③医療・ケアの方針の決定手続き
病気や事故により手術を受ける際、医師から手術の説明を受け、同意書にサインを求められることがあります。
医療行為を受けるかを決め、同意書にサインするのは原則、患者本人です。
しかし、病状により本人が判断やサインができない場合には親族や配偶者などが代理で行います。
医療機関により異なりますが、事実婚のパートナーは家族であることの確認が難しい為、法律婚と同等の対応をしてもらえない可能性もあります。
このような緊急時の場面で、婚姻の意思を持ったパートナーであることを証明するため、あらかじめ「事実婚契約書」を作成しておくことも有効です。
事実婚契約書は任意です。作成する場合は、公正役場で公正証書として作成してもらいます。
一般的に、契約書には事実婚のパートナーとしての婚姻の意思や子供、財産に関することなどを記載します。
④住民票の手続きを行う
事実婚は入籍をしないため、戸籍は別々のままです。
住民票を同一にする世帯異動届を提出することにより、住民票の続柄の欄には「夫(未届)」「妻(未届)」と記載されるので、事実婚であることの証明にもなります。
出典:参考:内閣府資料「いわゆる事実婚※に関する制度や運用等における取扱い」より
まとめ
それぞれのライフスタイルや考え方に合わせて、夫婦の形態も変わりつつあります。
まだまだ日本では、法律婚の夫婦と事実婚ではさまざまな面で同じとは言い難く、事実婚を選択する際には、法律婚との違いや注意点をよく理解し、お互いの意思も確認しておくとよりパートナー安心して人生を歩んでいけることでしょう。
弊社あしたばでは、事実婚カップルが準備しておきたいお金の相談をはじめ、家計・保険にまつわる各種相談、将来に向けた資産形成のご相談を受け付けております。
お気軽にお問い合わせください。
↓↓↓弊社推奨の「低コストiDeCo加入窓口」はこちら↓↓↓