福祉制度や給付金などと併せて耳にする機会が多い「寡婦」とはどのような制度なのでしょう?似た言葉で「ひとり親」との違いが気になる方もいると思います。
寡婦という言葉は、主に税制や福祉制度などで用いられる取扱区分のことです。
この記事では、寡婦の意味や条件などをわかりやすく解説。ひとり親との違いも比較しながら紹介します。
寡婦(かふ)とは?言葉の意味と法律上の取り扱い
まず、一般的な言葉の意味ですが、寡婦(かふ)とは、夫と死別または離別した、再婚していない女性を意味する言葉です。
次に、法律上の寡婦の意味ですが、こちらも基本的には一般的な言葉の意味と同様ですが、法律によってはそれぞれ個別に定義している場合があります。例えば、所得税法では第2条に、母子及び父子並びに寡婦福祉法では第6条にそれぞれ寡婦の定義が定められています。
所得税法上における寡婦の条件と寡婦控除
寡婦という言葉を特によく聞くのが「寡婦控除」ではないでしょうか?
寡婦控除とは、所得税法上における税制優遇制度で、寡婦に該当する場合に一定の所得控除を受けられるというものです。
寡婦控除の所得控除額
27万円
所得税法上における寡婦の条件
その年の12月31日時点で「ひとり親」に該当せず、次のいずれかに当てはまる人。
- 夫(※1)と離婚したあと婚姻をしていない人で、扶養親族がおり、合計所得金額が500万円以下
- 夫と死別したあと婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下
※1 「夫」とは、民法上の婚姻関係にある人をいう
注)納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいる場合は対象とならない
男性の場合はひとり親控除が適用される
寡婦控除は「婦」という文字が入っているとおり、女性のみが対象の制度です。そのため以前は、対象となる人が男性の場合「寡夫控除」という制度が用いられていました。
しかし、寡夫控除制度は2019年(令和1年)までの制度で、2020年(令和2年)からはひとり親制度が適用されるようになりました。
寡婦とひとり親の違い
寡婦と似た言葉に「ひとり親」という言葉があります。「ひとり親」は主に親が1人の子どもがいる家庭を対象とした制度で、以下の条件に該当する場合に適用されます。
所得税法におけるひとり親の条件
その年の12月31日の現況で、婚姻をしていないことまたは配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、次の3つの要件のすべてに当てはまる人。
- その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと
- 生計を一にする子(※1)がいること
- 合計所得金額が500万円以下であること
※1 その年分の総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限る
寡婦控除とひとり親控除の比較
寡婦控除 | ひとり親控除 | |
所得控除額 | 27万円 | 35万円 |
性別 | 女性のみ | 男女どちらでも可 |
婚姻の有無 | ・夫と離婚・死別したあとに婚姻していないこと。 ・事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいないこと | ・婚姻の有無は関係無い ・事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいないこと |
扶養や同居などの条件 | ・扶養親族がいること ・ただし、夫と死別した場合は扶養親族がいなくてもよい | ・生計を一にする子がいること |
所得額 | ・合計所得額が500万円以下 | ・合計所得額が500万円以下 |
寡婦控除との大きな違いとして、男女どちらにも適用される点と、婚姻の事実が無くても適用される点があります。一見ひとり親控除の方が条件が緩和されているように見えますが、ひとり親控除は生計を一にする子がいる必要があるのに対して、寡婦控除は扶養親族がいれば子がいなくても適用される違いがあります。
寡婦と関係するその他の制度
寡婦に関する制度その他の制度として、「寡婦年金」や「母子父子寡婦福祉資金」といった制度があります。寡婦控除制度に比べると用いられる機会は少ないですが、どちらも覚えておきたい制度です。それぞれ詳しく見てみましょう。
寡婦年金
寡婦年金とは、寡婦を対象とした国民年金制度です。夫が国民年金の第1号被保険者で、夫が年金を受け取る前に死亡した場合に、寡婦となった人が、夫が受け取るはずだった年金額の一部を受け取ることができます。
寡婦年金を受け取れる条件
- 死亡した夫が、国民年金の第1号被保険者であったこと
- 死亡日の前日においてとして保険料を納めた期間および国民年金の保険料免除期間が10年以上あること
- 死亡した夫と10年以上継続して婚姻関係(※)にあり、死亡当時にその夫に生計を維持されていたこと(※ 事実上の婚姻関係を含む)
寡婦年金の支給額
- 夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3の額
支給の例外
- 死亡した夫が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受給したことがある場合は支給されない
- 妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受給している場合は支給されない
母子父子寡婦福祉資金貸付金
母子父子寡婦福祉資金貸付金とは、20歳未満の児童を扶養している配偶者のない女子または男子、もしくは寡婦などを対象とした資金貸付制度です。
貸付資金の種類には、事業開始・継続資金や修学資金、技能習得資金、就業支援資金などいろいろな種類があり、それぞれ条件によって無利子または年利1%で借りることができます。なお、窓口は各地方公共団体の福祉担当窓口です。
寡婦やひとり親に該当する場合は制度活用を忘れずに
寡婦およびひとり親制度は、どちらも経済的に余裕がなくなりがちな境遇の方を支援するための制度です。寡婦控除・ひとり親控除をはじめ、資金的な支援を受けられることが多いため、該当する場合は忘れずに活用しましょう。
もし、ご自身が該当するか分からない場合は、市区町村の福祉窓口に確認してみましょう。もしくは、ライフスタイルの変化があったばかりの場合は、今後のライフプランと併せてFP(ファイナンシャルプランナー)に相談するのもおすすめです。
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からNISA・ジュニアNISAやiDeCo/イデコ・企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なNISAやiDeCoの活用法と注意点」から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
大好評の「無料オンラインセミナー」も随時開催中!
↓↓↓弊社推奨の「低コストiDeCo加入窓口」はこちら↓↓↓