「金融引き締めって何?」
「株価にどんな影響があるの?」
この記事は、そんな疑問がある方向けの内容です。
2022年5月にアメリカが行った「金融引き締め」。株価が連日下落し、投資家たちからは落胆の声も聞こえましたが、一体どのような仕組みで株価下落に至ったのでしょうか?
金融引き締めは一見経済に悪影響を及ぼす政策に聞こえますが、じつは経済安定のためには欠かせないもの。私たちの生活を守るために行われているものでもあるのです。
そこでこの記事では、金融引き締めと株価の間にどのような関係があるのかを、基本から分かりやすく解説していきたいと思います。
金融引き締めが起こると株価は下がるのが一般的
まず金融引き締めと株価の関係をざっくり解説しておくと、金融引き締めが起こると基本的に株価は下がります。
金融引き締めとは金融市場を引き締める、不用意な拡大を防ぐための政策です。事業活動の推進や事業規模の拡大などは抑制圧力を受けることとなるため、インフレ下において上昇しやすい株価も抑制圧力を受けます。
つまり、簡単にまとめると、金融引き締めが起こると市場のインフレが抑制され、株価も抑制されるという流れです。
金融引き締めとは、物価安定や景気過熱抑制のための政策
そもそも金融引き締めとは、物価の過度なインフレや加熱しすぎた市場を落ち着かせるために行われる政策です。過度なインフレや株価の上がりすぎは、一般生活を送る上でのコストを増大させることになりますし、給与の上昇が追い付かない事態にも繋がり、相対的な貧困を巻き起こす可能性があります。
急激なインフレは、投資家にとっては利益を得るチャンスとなりうる状況ですが、生活の安定面を考えると非常に不安定と言えます。国民の収入増を伴う、中身のあるインフレを実現するためにも、金融引き締めというブレーキが重要なのです。
金融引き締めが株価下落に繋がる仕組み
金融引き締めについてもう少し詳しく見ていきましょう。
金融引き締めによって株価下落が起こる仕組みは、市場の資金量減少が主な要因です。景気上昇を目的とした政策・アベノミクス下で行われていた「異次元緩和」の主な施策が、市場の資金量増大だったことからも分かるように、市場の資金量が多いとインフレが起こりやすくなります。
金融引き締めではこの逆、資金量を減少させて景気を落ち着かせる手法が用いられます。では、具体的にどのような手順で行われるか見ていきましょう。
政策金利引き上げや公開市場操作などで市場の資金量が減少
金融引き締めは、国が舵を取って行うトップダウン方式の政策です。最初に行われるのは、中央銀行による政策金利引き上げ(利上げ)や公開市場操作などです。
政策金利とは、中央銀行が一般の銀行に貸し付けを行う際の金利のことで、これが上昇することで、一般銀行が中央銀行へお金を返済する際のコストが増加します。
また、公開市場操作とは、中央銀行が金融市場で国債や手形などの売買を行い、市場の資金流通量をコントロールすることです。金融引き締め下では、資金流通量を減少させるために「資金吸収オペレーション」と呼ばれる、国債や手形などの売却が行われます。
金融機関から借り入れる際の金利が上昇する
金融引き締めの影響は、一般の銀行を通じて各企業まで波及します。
政策金利の引き上げや公開市場操作を行うと、まず影響を受けるのが一般の銀行です。
日銀は「銀行の銀行」と呼ばれており、一般の銀行を対象にお金を貸しつけたり、国債を売買したりしています。
政策金利の引き上げや国債売却は、一般の銀行の返済コスト増加や資金減少などを引き起こすため、一般の銀行による貸付も連動して金利が上昇します。
事業活動の鈍化や消極化により株価が下落する
一般の銀行から借り入れるコストが増加すれば、予算規模の縮小や新規事のストップを行う企業も出てきます。
例えば、借り入れ金利が0.1%上昇した場合を考えると、1億円に対して返済額が100万円上昇する計算になります。「金融引き締め」というトレンドの中にあることから、今後も金利が上昇する懸念もあり、企業の動きは慎重になります。
これにより事業活動の鈍化や消極化が起こると、企業の利益が減少したり、企業の消極的な動向から株が売られたりといったことに繋がり、株価が下落します。
必ずしも「金利上昇=株価下落」ではない
1点気を付けたいのが、政策金利の上昇(利上げ)が必ずしも株価下落に繋がるわけではないということです。政策金利はゆるやかなインフレ下で段階的に引き上げられるケースもありますが、この場合は企業の事業活動を圧迫するほどの影響力は伴いません。
あくまで、急激なインフレや市場の加熱に対応すべく行われるのが金融引き締めであるため、金利上昇時の背景と目的を理解して株価への影響を考察しましょう。
2022年5月・アメリカの金融引き締めの例
ここで、2022年5月にアメリカで行われた金融引き締めの例を見てみましょう。
2022年5月時点、アメリカでは急激なインフレが課題となっており、2021年には4.69%、さらに2022年には7.68%と、異常な数値を記録していました。
この背景には、コロナ禍からの景気の急回復や原油高などがあり、急激な物価上昇も引き起こしていました。そして、消費行動の減少によって景気後退に繋がりかねないという懸念から、2022年5月4日、金融引き締めが実行されることとなりました。
通常の2倍にあたる0.5%の利上げ(金利上昇)を実施
2022年5月4日、アメリカの中央銀行が行ったのは、政策金利を0.5%引き上げるというものでした。これは、通常の金利引き上げと比べて2倍の数値で、じつに22年ぶりの引き上げ幅でした。
引き上げ幅のインパクトの大きさに市場はすぐに反応。アメリカが本腰を入れて金融引き締めに入ったと、翌日から株価の下落が始まりました。
約2週間で10%近い株価下落も
2022年ダウ平均株価 出典:Google
アメリカのダウ平均株価は、政策金利上昇を発表した5月4日から下落が始まり、約2週間後には3万1,000円付近となり、10%近く値を下げました。
その後いったん下落は落ち着いていますが、アメリカの金融引き締め姿勢は変わっておらず、今後も株価下落が続くのではないかという懸念は健在です。
金融引き締めは日常生活を守るストッパー
インフレ率や株価など、上昇するほど景気が良いと考えられる数値も、加熱し過ぎれば日常生活を悪化させる原因となってしまいます。
そのためのストッパーとして働くのが金融引き締めです。地に足の着いた景気上昇を実現するため、ときにはあえてブレーキをかけることも必要なのです。
ちなみに、株や投資信託などは、市場のトレンドと連動するため、インフレに強い資産と呼ばれています。もしインフレ傾向が強くなった場合は、検討してみてもいいかもしれませんね。
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