退職後の老後生活で、収入の頼りとなるのは年金です。
生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後生活を送るうえでの最低日常生活費は月額で平均23.2万円とという結果でした。
しかし、実際にもらえている平均の年金額は老齢厚生年金で約14.5万円、老齢基礎年金だけだと5.6万円です(※)。
(※出所:厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
平均でこの金額ですから、もっと年金額が少なく生活が難しい人が多いと予想されます。
今回は、年金生活者支援給付金の対象者や給付額、申請方法についてファイナンシャルプランナーが解説します。
あしたばでは、老後のお金の不安についてご相談を承っております。
ぜひお気軽にご相談ください。
年金生活者支援給付金とは?
年金生活者支援給付金は、年金とその他の所得が一定以下の場合、年金に上乗せして支給される給付金です。
年金を含めても所得が低い人の生活の支援を目的としています。
この制度は、2019年10月にスタートしました。
2019年10月といえば、消費税率が8%から10%へ引き上げられましたね。
この増税により生活費の負担が増え、特に年金で生活している人たちには大きな影響を与えると予想されました。
給付金の財源は消費税引上げ分を利用して、国が負担しています。
年金生活者支援給付金には、以下の3種類があります。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
一時的な給付ではなく、条件を満たしていればずっと受け取れます。
ご自身やご家族が対象になるのか条件をよく理解しておき、案内が来たら忘れずに申請しましょう。
年金生活者支援給付金の対象者は?
それでは、給付金の対象者を確認していきましょう。
順に詳しく解説します。
老齢年金生活者支援給付金
老齢年金生活者支援給付金がもらえる人は以下のとおりです(2024年度)。
- 65歳以上で老齢基礎年金をもらっている
- 同じ世帯の全員が市町村民税非課税である
- 【前年の公的年金等の収入金額+その他の所得】が次を満たす
・昭和31年(1956年)4月2日以後に生まれた方:88万9,300円以下
・昭和31年(1956年)4月1日以前に生まれた方:88万7,700円以下
(公的年金等の収入に障害・遺族年金は除く)
所得*の合計額が基準内でも、所得が多めの人は「補足的老齢年金生活者支援給付金」となります。
※所得とは、収入から各種控除を差し引いたものです。単純な給与収入・年金収入とは異なりますのでご注意ください。
2つの給付金の所得基準を表にすると次のようになります。
昭和31年(1956年) 4月2日以後に 生まれた方 | 昭和31年(1956年) 4月1日以前に 生まれた方 | |
補足的老齢年金生活者 支援給付金 | 78万9,301円〜 88万9,300円 | 78万7,701円〜 88万7,700円 |
老齢年金生活者 支援給付金 | 78万9,300円以下 | 78万7,700円以下 |
補足的老齢年金生活者支援給付金は、少し所得が多い人が「補足的に」もらえるものと理解しておいてください。
老齢基礎年金は満額でも81万6,000円です(2024年度)。
そのため、自営業や専業主婦期間が長かった人は、給付金の対象となっているかもしれません。
また、老齢年金生活者支援給付金は、65歳以上という年齢条件があります。
そのため、年金を早くもらう「繰上げ受給」をしている人は、65歳にならないと給付金はもらえません。
一方、年金を遅くもらう「繰下げ受給」をしている人は、実際に年金を受け取り始めないと給付金の対象となりません。
障害・遺族年金生活者支援給付金の対象者
この2つの給付金がもらえる人は以下のとおりです(2024年度)。
- 障害基礎年金または遺族基礎年金を受給している
- 前年の所得が472万1,000円以下
障害年金や遺族年金は所得から除きます。
また、基準となる所得額は扶養親族等の人数が多いと増額されます。
【2024年度】年金生活者支援給付金はいくらもらえる?
次に、年金生活者支援給付金はいくらもらえるのか解説していきます。
給付金の金額は物価変動に応じて毎年見直されます。
執筆時の最新である2024年度についての解説であることにご留意ください。
老齢年金生活者支援給付金
老齢年金生活者支援給付金の給付額の基準額は月額5,310円です。
この額を基準とし、保険料の納付月数と免除月数に応じて計算されます。
計算式は以下のとおりです。
給付額(月額)=①+②
①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5,310円 × 保険料納付済期間÷480月
②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1,333円(※)× 保険料免除期間÷ 480月
※昭和31年(1956年)4月2日以後生まれの方の場合(保険料1/4免除期間については5,666円)
保険料の納付月数と免除月数でどれほど給付額が変わるのか、表にして確認しましょう。
Aのケース、つまり保険料を480ヶ月漏れなく納めていた場合は月額5,310円の給付金が支給され、基礎年金と合わせると7万3,310円になります。
免除期間があるともらえる年金額が少なくなるため、より生活に困っていると想定して給付額が多くなっています。
ここで注目したいのが、保険料の免除申請をしているかどうかという点。
保険料を納められない場合、手続きにより保険料の納付が免除される制度。
保険料を払えなくても、未納のままよりは将来もらえる年金額が増えます。
BとC、DとEでは納付済期間つまり、納めた保険料は同額です。
しかし免除申請しているBとDは、未納であるCとEよりも多くの合計額を受け取れており、免除申請の重要さがわかります。
また、補足的老齢年金生活者支援給付金は計算式が異なりますが、非常に複雑なためここでは割愛します。
厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、令和5年3月の平均給付金額は以下のとおりでした。
老齢年金生活者支援給付金 | 補足的老齢年金生活者 支援給付金 |
3,930円 | 2,077円 |
補足的老齢年金生活者支援給付金は半額程度と考えておくといいでしょう。
障害年金生活者支援給付金
障害年金生活者支援給付金は、障害の程度に応じて以下のように決められています。
- 障害等級2級: 5,310円(月額)
- 障害等級1級: 6,638円(月額)
2級より1級の方が障害の度合いが高いため、給付額も高くなっています。
遺族年金生活者支援給付金
遺族年金生活者支援給付金の金額は以下のとおりです。
5,310円(月額)
ただし、2人以上の子が遺族基礎年金をもらっている場合は、5,310円を子の数で割った金額となります。
例えば、2人の子が対象となる場合、一人あたりの月額は5,310÷2=2,655円です。
年金生活者支援給付金の申請方法
この給付金は申請しないと1円ももらえません。
ご家族やご自身が対象となった際は、必ず申請を忘れないようにしましょう。
申請の手順は以下のとおりです。
- 対象者には日本年金機構から案内が届く(毎年9月以降)
- 同封の年金生活者支援給付金請求書(ハガキ型)に必要事項を記入し、返送する
手続き自体は必要事項を書くだけで、用意する書類もないので非常に簡単です。
申請が認められると、年金と同じタイミング、同じ口座に給付金も振り込まれます。
対して、支給要件を満たさなくなった人には不該当通知書が送付されます。
不該当になった人が再び給付金をもらうには再度手続きが必要なので、忘れないように注意しましょう。
まとめ:年金生活者支援給付金をもらうには手続きを忘れずに
いかがでしたか?
今回は年金生活者支援給付金について詳しくお伝えしました。
この給付金は申請をしないともらえません。
特にご高齢のひとり暮らしの方は、申請をされていない場合が考えられます。
あしたばでは、老後に活用できる制度のご紹介も積極的に行っております。
老後のお金についてご不安な方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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