NISA

NISA口座を運用中に相続が発生したらどうなる?

NISA運用しているけど、亡くなったらどうなるの?
亡くなった後も、非課税で引き継げるの?

この記事は、そんな疑問・ニーズにお答えする内容です。

日本証券協会によると、大手証券10社でのNISA開設口座数は、15,760,000(2024年9月末時点)です。
国がNISAの活用を推奨していることもあり、今後も口座開設数は増加していくでしょう。

また、2024年1月からの新NISAは非課税枠拡大や恒久化など、制度が変わり、さらに使い勝手がよくなっています。

しかし、日本では相続税の課税対象者も増加傾向にあります。
令和4年では約10人に1人の割合で相続税が発生しました。
この割合は、相続税の基礎控除が引き下げられた平成27年以降で最も高い割合です。

NISA口座を保有されていた方が亡くなった場合、いったいどうすればいいのでしょうか。
NISA口座の開設数、相続税の課税対象者がともに増えていくことを考えると、亡くなった後のことを把握しておく必要があります。

参考:日本証券業協会「NISA口座の開設・利用状況」

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NISA口座保有商品の評価方法


NISAに限らず、亡くなられた方(被相続人)が保有していた株式や投信信託は、預貯金や不動産などと同じく相続税の対象になります。

つまり、被相続人の総資産に含める必要があり、基礎控除額を超えた部分には相続税がかかってきます。

では、NISA口座の保有商品は相続税対象としてどのように評価されるのか見ていきましょう。

株式の相続税評価について


株式は、被相続人が亡くなった日(相続発生日)の終値が相続税評価額になります。

しかし、株価の急落等で不利益にならないよう、以下の3つの価格が相続発生日の終値よりも低い場合は、最も低い価格を相続税評価額として採用することが認められています。

  • 相続が発生した月の終値の平均
  • 相続が発生した前月の終値の平均
  • 相続が発生した前々月の終値の平均
・相続開始日が休日の場合、相続開始日の最も近い日の終値を採用。
・連休等で最も近い日の終値が複数ある場合は、その終値の平均を採用。

投資信託の相続税評価について


投資信託は、投資信託の種類によって相続税評価が異なります。
多くの投資信託は、「一般投資信託」に分類されます。
そのため、本記事では最もスタンダードな「一般投資信託」の評価方法を解説します。

投資信託の相続税評価の計算

1口あたりの基準額×口数 ▲ 含み益から源泉徴収されるべき所得税 ▲ 信託財産留保額及び解約手数料

順番に見ていきましょう。

①1口あたりの基準額×口数

取引先の金融機関から残高証明書を取得すると、その中の参考資料に1口あたりの基準価額が記載されています。
記載されていない場合は、金融機関に確認してみましょう。

一般的な投資信託は、1万口あたりの価額が公表されているため、そこから1口あたりの価額を求めることも可能

②含み益から源泉徴収されるべき所得税

投資信託の相続では、相続が発生した時点で売却したと仮定し、源泉徴収されるべき所得税を控除することができます。

投資信託から得られる収益には、20.315%(所得税18.215%+復興特別所得税2.1%)が課されます。

しかし、NISA口座の場合、含み益は非課税です。
相続発生時の基準価額が取得価額を大きく上回っていても、税金はかかりません。

【含み益とは】
取得価額より時価が上回っている場合に発生する収益(未決済の利益)です。
反対に、取得価額が時価を上回っている場合は、含み損となります。

③信託財産留保額及び解約手数料

投資信託を換金した際に負担する費用が信託財産留保額ですが、これがかからない投資信託は多くなっています。

しかし、信託財産留保額がかかるかどうかは投資信託ごとに異なりますので、解約手数料とともに契約書や目論見書、パンプレット等で確認しておきましょう。

ここまで、NISA口座の保有商品の評価方法について解説してきました。
しかし、NISA口座の保有商品を相続するには注意点があります。

ここからは、注意点と手続きについて見ていきましょう。

相続発生時のNISA口座の手続き


被相続人のNISA口座を、相続人がそのまま保有することができません。

さらに、保有商品を売却したり、配当金や分配金も受け取れません。

NISA口座の保有商品を相続するには、手続きが必要です。

「非課税口座開設者死亡届出書」の提出

被相続人がNISA口座を保有していた場合、死亡を知ってから遅滞なく、金融機関へ報告する必要があります。

金融機関から「非課税口座開設者死亡届出書」が届いたら、添付書類をそろえて早急に提出しましょう。

添付書類は、法定相続人や被相続人の死亡事実が確認できる戸籍謄本、印鑑証明、本人確認書類等です。
相続人が複数いる場合は、遺産分割協議書や遺言書なども求められます。

添付書類は金融機関によって異なるので、事前に確認しましょう。

「相続上場株式等移管依頼書」の提出

前述したとおり、被相続人が保有していたNISA口座はそのまま保有することができません。

NISA口座で運用していた商品を、相続人の口座に移管する場合は、「相続上場株式等移管依頼書」を提出する必要があります。

移管できるのは、被相続人が保有していたNISA口座と同じ金融機関のみです。

相続人は被相続人と同一金融機関の一般もしくは特定口座の開設を予め済ませる必要がある

移管する際の注意点

NISAの最大のメリットは、含み益が非課税であることです。

しかし、被相続人のNISA口座の保有商品は、相続人の一般もしくは特定口座にしか移管できません。

被相続人のNISA口座から、相続人のNISA口座へ移管はできず、非課税のまま保有できない

では、どこまで非課税で、どこから課税対象になるのでしょうか。

課税のタイミング


前述のとおり、相続発生時までの含み益は非課税です。

しかし、相続発生以降は課税対象となります。
もし、相続人の口座に移管するまでに含み益が発生していた場合は、税金がかかります。

さらに、相続発生以降の配当金や分配金も同様に税金がかかってきます。

非課税で配当金等が支払われていた場合、後日追納される場合があります

おわりに

いかがでしたでしょうか。
NISA口座を保有している方が亡くなった場合について解説してきました。

ポイントをおさらいしてみましょう。

NISA口座の相続発生時まとめ
  • NISA口座の保有商品は課税対象
  • 相続発生時までの含み益は非課税
  • 相続発生以降の含み益は課税対象
  • 非課税のまま保有することはできない
  • 被相続人がNISA口座を保有していたら手続きが必要

相続発生時には、ポイントをおさえて、必要は手続きを確実に行っていきましょう。
ご不安な方は、あしたばにお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からiDeCo/イデコや企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています

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