専業主婦(主夫)でもiDeCoって始めた方がいいの?
主婦(主夫)にもiDeCoのメリットってあるの?
この記事はそんな疑問がある方向けの内容です。
「iDeCoって主婦にも意味があるの?」あなたは、そんな疑問を持っていませんか?
iDeCoは住民税・所得税の節税効果にスポットが当たりやすいため、バリバリ働く人こそやるべき制度だと思っているかもしれません。
しかし、iDeCoは節税効果以上に老後資金作りのツールとして優秀です。そのため、退職金や厚生年金の無い主婦(主夫)にこそ、iDeCoがおすすめなのです。
しかも、iDeCoは運用益が非課税なため、うっかり扶養から外れてしまうこともありません。
この記事では、主婦(主夫)がiDeCoを始めるメリット、そして主婦(主夫)の年収とiDeCoの関係を解説します。
※これ以降、ご相談の多い「主婦」の方を前提に解説していきます。
iDeCoは扶養内主婦でも老後資金を作れるお得ツール
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」という制度で、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度の一つです。
iDeCo制度の概要
- 私的年金制度の一つ
- 3つの税制優遇制度がある
- 毎月掛金を支払って自分で資産を運用する
- 掛金の上限は働き方によって異なる
- 受け取れるのは60歳以降(途中受取不可)
老後資金作りのツールとして注目されており、手厚い税制優遇が受けられることで知られています。この税制優遇制度は主婦にとっても強力な味方で、特に夫の扶養内で働く方ならぜひ学んでおきたい制度となっています。
まずは、iDeCoを主婦におすすめしたいポイントを紹介します。
iDeCoなら「税制優遇」を受けながら資産形成が可能
まず注目して欲しいのは、iDeCoの3つの税制優遇制度です。
- 運用益が全額非課税
- 受取時の税金が優遇される
- 掛金が全額所得控除の対象になる
3つの中で主婦に関係してくるのは主に1(運用益が全額非課税)と2(受取時の税金が優遇される)です。3は、住民税・所得税を納めている方にとってのメリットとなります。
まず1(運用益が全額非課税)ですが、iDeCoは毎月の掛金を運用しながら積み立てていく制度です。運用すると運用益(利益)が発生することがありますが、これが全額非課税となります。例えば、100万円に3%(3万円)の運用益が発生したとしても一切課税されることがないため、3万円をまるごと受け取れます。
ちなみに、個人年金や投資信託などの運用益には税金がかかります。
また、2(受取時の税金が優遇される)ですが、iDeCoは受取時に「退職所得控除(一時金として受け取った場合)」と「公的年金等控除(年金として受け取った場合)」が適用されるため、受取時にも税金が少なくて済みます。
なお、受取時は完全非課税というわけではなく、受取金額によっては課税される場合も有ります。
iDeCoは「年金」にも「一時金」にもなる
iDeCoは主婦の「年金」にも「一時金」にもなります。iDeCoの受け取りは、毎月受け取る「年金形式」と、一時金として一括で受け取る「退職金形式」から選べます。
例えば、一時金で受け取って家のリフォーム費用やローン返済に充ててもいいですし、夫の年金と合わせて受け取って、毎月の生活にゆとりを持たせるのもいいですね。
将来は予測できないことも多いため、状況に応じて受け取り方を選べるのはとても心強いですよね。
夫がiDeCoを始めれば住民税・所得税の節税に
夫が主収入として働いている場合、iDeCoを始めれば3(掛金が全額所得控除の対象になる)の恩恵を受けられます。
iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金」として扱われ、全額所得控除の対象になるため、所得税と住民税を減税させる効果があるのです。例えば、夫が会社員の場合を考えてみましょう。
※所得控除とは
控除額の分だけ課税対象となる所得が減額される制度
夫が会社員の場合、掛金の上限は月額2万3,000円、年額27万6,000円です。仮に、所得税率10%の人が、掛金を年額20万円支払ったとしましょう。住民税は一律10%です。
その場合の節税額は
(20万円 × 所得税10%)+(20万円 × 住民税10%)= 4万円
となり、年額4万円の節税効果が得られます。
この効果は掛金を支払っている間は毎年受けられるため、仮に20年間掛金を支払ったとすると80万円もの節税効果が得られます。
主婦の働き方とiDeCoのメリットの関係
主婦を悩ませるのが、103万円の壁や130万円の壁といった、税金や扶養のハードルです。家庭の状況に合わせて働き方を選んでいる方も多いと思います。
そこでここでは、103万円以下(所得税非課税)、130万円以下(扶養内)、130万円超(扶養外)の3種類に分けて、iDeCoの節税メリットを解説します。
ちなみに、掛金限度額は年収に関係なく、働き方で決まっています。
年間掛金限度額
- 専業主婦・パート・会社員:27万6,000円
- 自営業・フリーランス・学生:81万6,000円
- 公務員:14万4,000円
所得税非課税の主婦(専業主婦・年収103万円以下)の場合
所得税が非課税となる103万円以下で働く主婦の場合、メリットの効果は下記のとおりです。
メリットの効果
- 〇 運用益が全額非課税
- 〇 受取時の税金が優遇される
- △ 掛金が全額所得控除の対象になる
元々所得税が非課税のため、所得税の減税効果は受けられません。ただ、住民税については状況が異なります。
じつは住民税が非課税となるハードルは100万円未満で、収入が100万円以上・103万円以下の場合は住民税が課税されます。
そのため、もし住民税が課税された場合は、住民税を減額させる効果が得られます。
扶養内のパート主婦(年収103万円以上・130万円以下)の場合
扶養の範囲内となる130万円以下で働く主婦の場合、メリットの効果は下記のとおりです。
メリットの効果
- 〇 運用益が全額非課税
- 〇 受取時の税金が優遇される
- 〇 掛金が全額所得控除の対象になる
年収103万円を超えると所得税・住民税が課税されるため、掛金による減税効果が受けられるようになります。
また、iDeCoの運用益が発生しても課税対象の収入としてカウントしないため、うっかり年収130万円を超える心配はありません。
扶養外の主婦(年収130万円超)の場合
扶養の範囲外(年収130万円超)で働いている場合、メリットの効果は下記のとおりです。
メリットの効果
- 〇 運用益が全額非課税
- 〇 受取時の税金が優遇される
- 〇 掛金が全額所得控除の対象になる
掛金の所得控除の恩恵を一番受けられる区分です。貯蓄に回すお金がある場合、iDeCoを使って貯蓄すれば、節税をしながら将来の貯蓄ができるようになります。
また、貯蓄型の保険商品に加入している場合や個人年金に加入している場合は、一度iDeCoと比較してみるのをおすすめします。
注意!妻のiDeCo掛金は夫の所得控除にはならない
一つ注意してほしいのが「妻が扶養範囲内でも、妻のiDeCo掛金は夫の所得控除として扱うことはできない」ということです。
扶養範囲内の場合、恐らく掛金は夫が支出することになると思いますが、あくまでiDeCo掛金を支払うのは妻本人となり、所得控除の対象者も妻本人のみです。
保険のように、夫が妻を被保険者にした保険に加入するような方法は取れませんので気を付けましょう。
専業主婦になったら、iDeCoと積立NiSA両方やるべき?
老後資金作りに便利な公的制度に、iDeCoともう一つ、積立NiSA(つみたてNISA)があります。
積立NiSAも長期的な資産形成のための制度で、最長20年を限度に、非課税で資産運用が可能です。
もちろん、両方運用すればより多くの資金を積み立てることができます。
しかし、iDeCoとの違いは多く、一概に資産形成制度でくくることはできません。そこで、iDeCoと積立NiSAの主な違いについて解説します。
iDeCoと積立NiSAの主な違い
iDeCoと積立NiSAの主な違いは下記表のとおりです。
iDeCo | 積立NiSA | |
対象商品 | 保険商品・定期預金・投資信託 | 金融庁の基準を満たした、長期・積立・分散投資に適した投資信託など(つみたて商品) |
商品の購入方法 | 毎月一定の掛金を支払う | 都度購入する(時期の定め無し) |
年間掛金(運用額)上限 | 14万4,000円~81万6,000円 | 40万円 |
合計掛金(運用額)上限 | 定め無し | 800万円 |
最低運用金額 | 月5,000円 | 定め無し |
運用年数 | 加入から60歳まで(10年延長可能) | 20年 |
受取可能時期 | 60歳以降 | いつでも |
節税効果 | ・運用益非課税 ・受取時の税制優遇 ・掛金の全額所得控除 | ・運用益非課税 |
iDeCoは個人年金制度であるため、60歳以降にならないと受け取れませんが、積立NiSAはあくまで長期積立であり年金ではないため、いつでも受取が可能です。
ただ、積立NiSAも運用益が非課税であるため、余剰資金を非課税で長期運用したい場合に向いています。例えば、結婚時から積み立て始めて、子供が高校や大学に入学したタイミングで受け取るといったことも可能です。
iDeCoと積立NiSA、それぞれの特徴を理解して運用を検討しましょう。
主婦こそiDeCoで老後の資産形成を
専業主婦やパート主婦は、厚生年金や退職金を得ることができないため、老後資金を心配する方は多いと思います。
iDeCoは、そんな悩みを解決するためにピッタリのツールです。年金としても一時金としても受け取ることができるうえに、税金面でも優遇されています。
もし、少しずつでも貯金を始めようと考えているなら、そのお金でiDeCoを始めてみるのも手です。月5,000円から始められるので、一度検討してみてはいかがでしょうか。
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からNISA・ジュニアNISAやiDeCo/イデコ・企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なNISAやiDeCoの活用法と注意点」から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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