「不妊治療にかかるお金ってどれくらい?」
「(不妊治療の)助成金制度ってどんな内容?」
今回はこのような不安や疑問を持つ人向けに、不妊治療にかかる費用や2021年1月から新しくなった助成金制度について解説します。
実際に不妊治療をしている人、不妊治療を検討している人はぜひ参考にしてください。
なお、この記事でご紹介しているグラフは、全てNPO法人Fineの「不妊治療と経済的負担に関するアンケート2018」より抜粋しています。
不妊治療について
不妊治療にかかるお金の詳細を解説する前に、簡単に不妊治療とはどういうものかについて確認しておきましょう。
日本生殖医学会によると、何らかの治療をしないと自然に妊娠する可能性がほとんどない状態を不妊症と呼びます。
この不妊症の治療のことを不妊治療と呼び、不妊治療には一般不妊治療と高度不妊治療に大別できます。
一般不妊治療としてはタイミング法や排卵誘発法など、高度不妊治療としては体外受精や顕微授精があります。
不妊治療は、患者本人や配偶者・パートナーの状況に応じてたくさんの選択肢があることを覚えておきましょう。
また、いずれの治療を行うかは年齢や体の状態など、さまざまなことを加味した上で決定されます。
中には、最初から高度不妊治療からスタートする人もいるでしょう。
また、不妊治療期間も夫婦の状況により大きな差があり、必要となるお金も個人差が大きいのが現状です。
人工授精や体外受精、顕微授精は健康保険が適用されないため治療費は全額自己負担となり、金銭的な負担が大きくなります。
不妊治療にかかるお金の総額
不妊治療は治療の選択肢も多く、また治療に必要な期間にも差があるため、治療にかかるお金は個人差が大きいことをまずは理解しておかなければなりません。
その上で、目安となる金額について以下のグラフで確認してみましょう。
通院開始からの治療費の総額を見てみると、10万円以下で済む人がいる一方で、500万円以上もかかった人がいることもわかります。
治療費として100万~200万円ほどかかったという割合が多いことから、不妊治療にかかる費用の目安は100万~200万円と考えることもできるでしょう。
なお、過去の調査と比較し、300万円以上の治療費を支払う人の割合が増加している点にも着目してください。
不妊治療にかかる費用が高額化していることがわかります。
不妊治療費の高額化を如実に表しているのが以下のグラフです。
以下は顕微授精の1周期あたりの平均治療費を表しています。
「1周期あたりの平均治療費が50万円以上」と回答した人の割合が直近2回の調査よりも増加していることがわかりますね。
特に高度不妊治療の費用負担は決して少額ではないため、助成金制度の利用など治療費の捻出が治療を継続する際の重要なポイントとも言えます。
不妊治療の助成金制度について
「治療費の負担が原因で高度不妊治療へのステップアップを躊躇してしまう…」
「数十万ものまとまった費用を捻出できない」
などと、治療費を懸念して治療を断念することもあるでしょう。
不妊治療費を理由に妊娠・出産を諦めることがないように、日本では不妊治療に関する助成金制度があります。
この不妊治療の助成金制度が2021年1月から拡充され、所得制限や助成額において大きな変更がありました。
制度の拡充前と拡充後の内容は以下の通りです。
拡充前
- 所得制限:730万円(夫婦合算の所得)
- 助成額:1回15万円(初回のみ30万円)
- 助成回数:生涯で通算6回まで(40歳以上43歳未満は3回)
- 対象年齢:妻の年齢が43歳未満
拡充後
- 所得制限:撤廃
- 助成額:1回30万円
- 助成回数:1子ごと6回まで(40歳以上43歳未満は3回)
- 対象年齢:変更なし
さまざまな点が拡充されて、より使いやすい制度になりました。中でも所得制限が撤廃された点は非常に大きなポイントです。
また、助成回数も「1子ごと」という条件が追加されたことにより、2人以上の子供を希望する夫婦・カップルには朗報と言えるでしょう。
なお、助成金の対象となる治療は体外受精と顕微授精です。
治療費の負担が重いこれらの治療を受けた際には助成金が活用できますので、制度の詳細を確認の上で積極的に活用しましょう。
- 助成額は1回30万円のため、場合によっては助成金制度を利用しても自己負担が発生することがあります。
- 一般不妊治療は助成金制度の対象外です。
助成金は、居住する自治体を通して申請します。
申請する際は、住所を管轄する保健所や保健局に書類を送付しますが、中には窓口まで直接持参する必要のある自治体も存在します。
申請方法は居住する自治体のホームページを参考にすると良いでしょう。
医療費控除の対象になるか要確認
過去に何度も解説したことのある医療費控除。
税金を計算する上でかかった医療費の一部を収入から差し引くことができる制度ですね。
国税庁のホームページには、「医師による診療等の対価として支払われる不妊症の治療費及び人工授精の費用は、医療費控除の対象となります」と記載されています。
一方で、マタニティーヨガや妊娠検査薬の購入代金、妊活セミナーなどは医療費控除の対象外です。
不妊治療にかかる全ての費用が医療費控除の対象となるわけではありませんので、詳細は最寄りの税務署・税理士にご相談ください。
また、妊娠を希望する人の中には各種サプリメントや漢方薬を購入して飲むこともあるでしょう。
これらがセルフメディケーション税制の対象であれば、購入費用を申告することで所得控除を利用できます。
ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できない点には注意しましょう。
【2022年4月から】特定不妊治療も保険適用の動き
最後に、不妊治療を取り巻く状況を確認しておきましょう。
先述の通り、現行制度では特定不妊治療は健康保険の適用外です。
しかし、2020年9月の閣議決定により、2022年4月から特定不妊治療に対しても保険が適用され、3割の自己負担となることが決まっています。
数十万円もかかることのある不妊治療費に保険が適用されることで、利用者の自己負担額は大幅に軽減されますね。
保険適用の中身については詳細が発表され次第、追ってお知らせします。
厚生労働省「不妊治療の保険適用について」
助成金の利用と家計見直しを
今回は不妊治療に必要な費用にスポットを当てて解説しました。
夫婦やカップルごとに状況が異なるため、中には数百万円以上もかかるケースがあります。
公的な助成金制度が今年から拡充されたとはいえ、まだまだ自己負担が多いのが不妊治療の現状です。
不妊治療は心身の負担と共に、経済的な負担が伴います。
「このまま治療を続けていても家計は大丈夫だろうか」
「我が家の家計を考えると、どの程度の金額なら不妊治療に充てても問題ないのだろうか」
このような悩みや疑問を抱きながら治療をされている人もいらっしゃるかもしれません。
弊社あしたばではプライバシーに配慮しつつ、お客様のお金に関する不安や悩みを解決するサポートをさせて頂いています。
治療費と家計は密接に関わっています。
弊社のFP相談サービスなどの利用もぜひご検討くださいね。
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