「育児休業から時短で復帰するんだけど、手取りが減るのは心配。」
「復帰後にやっといたほうがいい手続きがあるって聞いたんだけどよくわらない。」
今回は、そんな疑問にお答えする内容になっています。
育休明けに損しないため、ぜひ押さえておいていただきたいポイントを、わかりやすく解説していきます。
ぜひ、最後までお読みいただければ幸いです。
(とにかく、“カンタンに・分かりやすく”説明するため、細かいルール・用語の説明は一部省きながら進めていきます。ご了承ください。)
※この記事は、2021年9月時点の法律・ルール・慣習に基づく内容です。
育児中は給料が減ってしまうことが多い
育休後の復帰は、家事育児と仕事の両立や、子どもの保育園のこと、職場での人間関係などたくさんの不安が伴いますよね。
育休復帰後の働き方については多くのママさん・パパさんが悩まれることだと思います。
- 子どものお迎えがあるから時短勤務に。
- 以前のように残業ができない。
- 子どもの体調不良や、行事などで遅刻・早退・欠勤。
家事育児をしながら仕事をするのはただでさえ大変なのに、出産前よりも給料が減ってしまって家計直撃・・・考えただけで憂鬱になってしまいますよね。
そんなママさん・パパさんにぜひ覚えておいてもらいたいお金の手続きを、2つご紹介します。
社会保険料を減額して手取りを増やす
育休復帰後の社会保険料が負担になる理由
育休復帰後に、思ったより手取りが少ないと感じる原因の一つに社会保険料が高いことが挙げられます。
社会保険料とは、年金・健康保険・介護保険などにかかる保険料のことで、毎月給料から天引きされています。
保険料は「標準報酬月額等級×保険料率」となります。
この標準報酬月額等級は、育休復帰後に給与が下がっても、出産前の水準で社会保険料が計算されて天引きされるので手取りがぐっと下がってしまうのです。
通常の標準報酬月額は、4~6月の給料をもとにして計算され、9月から改定されます。
しかし、復帰がタイミング悪く7月だと、それから1年以上産前と同じ額の社会保険料が天引きされることになります。
育児休業等終了時改定を利用しよう
とても長い名前で覚えにくいですが、これを申し出ると復帰後3か月間の給料で保険料を計算しなおして、復帰後4か月目からの保険料を下げてもらえます。
対象
- 標準報酬月額が1等級以上下がる。
- 育休復帰後で3歳未満の子どもを育てている。
- 育休復帰後の3か月のうち、少なくとも1か月は17日以上出勤した。
※すべてを満たす必要があります
この制度は速やかに手続きする必要があります。
会社に申請しないと適応されませんが、人事部も知らないことがあるので、復帰後の給料が下がっているなら忘れず申し出るようにしましょう。
手続きはとても簡単で、会社で必要書類を記入するだけです。
出所:日本年金機
どのくらい手取りが増えるの?
実際にこの制度を利用したら、どれくらい保険料が下がるのか試算してみましょう。
厚生年金・健康保険・介護保険の料率は以下の通りです。
厚生年金 18.3%
健康保険 約10%(組合や都道府県による)
介護保険 1.8%
これらを合計すると約30%、会社が半分負担するので労働者の負担は約15%になります。
出産前の標準報酬月額が30万円だったら、社会保険料はその15%なので4.5万円です。
育休復帰後に24万円に下がってしまっても、手続きをしなければ社会保険は産前のままになってしまいますが改定の手続きをすると、社会保険は24万円×15%で3.6万円になります。
差額は月9000円になるので、毎月のこととなると見逃せませんね。
ただし、育休復帰後、すぐに産休を取得する予定がある方は要注意です。
手続きによって改定された標準報酬月額をもとに計算されるため、出産手当金が減ってしまいます。
(※少しややこしいのですが、育休中の育児給付金は標準報酬月額ではなく、雇用保険の賃金日額をもとに計算されます。そのため、この手続きは育児給付金には影響しません。)
将来受け取る年金を減らさないようにする
なぜもらえる年金が減るの?
厚生年金は、納めた保険料の累計から受けとる金額を算出します。
子育て中は何かと忙しく、仕事をセーブしている方も多いと思います。
給料の水準が下がって支払う社会保険料が減ると、手取りが下がるだけでなく、将来受けとる年金も少なく計算されてしまうのです。
ただでさえ大変な子育て、家事育児と両立し、仕事もセーブして、年金まで減ってしまうなんて悔しいですよね。
そんな方のための特例制度があります。
養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置
またまた長い名前で覚えにくいですが、ぜひ押さえておいてください。
この制度の手続きをしておけば、納める社会保険料下がってがっても、以前と同じ額の年金を納めているとみなしてくれます。
この制度の特徴は、育休復帰するママさんだけではなく、パパさんも利用できるということです。
ママさんが育休から復帰すると、パパさんも協力して家事育児と仕事を両立していかなくてはなりませんから、これはありがたいですね。
(※この制度に男女の制限はありません。ママ・パパが逆になる方は頭の中で読み替えてくださいね。)
対象
- 3歳未満の子と同居して養育している
- 育休を取得していなくてもOK
- 子どもを扶養にいれていなくてもOK
ただし手続きしていないと適用されません。
手続きは少々手間ではありますが、この制度にデメリットはないので、人事部に申し出て早めに手続きするようにしましょう。
この制度を利用するには、会社で記入する書類のほかに、以下の書類の準備が必要です。
- 戸籍謄本または戸籍抄本
- 世帯全員の住民票
出所:日本年金機構
「しまった、知らなかった!」という方に。
この制度は2年間さかのぼって適用することができますので諦めずに手続きしてみてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
育児中は何かと物入りで、支出も増えるのでママさん・パパさんはとっても大変です。
個人的には、もっともっと子育て支援する制度の拡充をしてほしいと思っていますが、まずは今ある制度をしっかりと活用していきましょう。
育休明け、新しい生活にドキドキですね。
ママさん・パパさんとお子さんの新生活を心から応援しています!
【あしたばライター:古川さやか】
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