お金の基礎知識

50代の貯金額はいくら?持ち家ありの夫婦に必要な老後資金をFPが試算

50代ってどれぐらい貯金してる?
持ち家だと老後資金はいくら必要?

老後に必要になる資金は各家庭により異なり、住まいが持ち家か賃貸かによっても変わってきます。

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」によると、高齢者のいる夫婦のみの世帯の持ち家率は81.6%です。

ほとんどの人が老後は持ち家にお住まいなのですね!

しかし、持ち家で住宅ローンを払い終わっても、固定資産税や修繕費などは家を手放すまでかかります

収入が減ってしまう老後には、持ち家の維持費が負担に感じることもあるでしょう。

本記事では、老後を身近に感じ始める50代の貯金額や持ち家世帯に必要な老後資金、持ち家の活用方法を解説します。

あしたばでは、老後のライフプランはもちろん、持ち家を活用した老後資金の貯め方についてもご相談を承っております。

ぜひお気軽にご相談ください。

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50代の貯金額は「ぶっちゃけ」いくら?

金融広報中央委員会「令和5年(2023年)家計の金融行動に関する世論調査」によると、50代の金融資産保有額は以下のとおりです。

平均値中央値
単身世帯1,391万円80万円
二人以上世帯1,147万円300万円

年代別の金額もご紹介しておきましょう。

【単身世帯】年代別の貯金額
世帯主の年代平均値中央値
20代121万円9万円
30代594万円100万円
40代559万円47万円
50代1,391万円80万円
60代1,468万円210万円
70代1,529万円500万円

 

【二人以上世帯】年代別の貯金額
世帯主の年代平均値中央値
20代249万円30万円
30代601万円150万円
40代889万円220万円
50代1,147万円300万円
60代2,026万円700万円
70代1,757万円700万円

このデータでいう金融資産とは以下のようなものです。

  • 預貯金
  • 株式
  • 投資信託
  • 貯蓄性保険

つまり、持ち家は金融資産として含まれていません

また、この調査では平均値と中央値が算出されています。

平均値とは全データを平均化した数値に対して、中央値とはデータを大きい順に並べたときに真ん中に位置する数値です。

平均値は例えば貯金額が極端に多い人がいると、全体の数値を大きく跳ね上げてしまいます。

中央値のほうが実態に近いと言われているため、平均値よりも中央値を参考にするといいでしょう。

50代・持ち家で住宅ローンはどれぐらい残ってる?

金融広報中央委員会「令和5年(2023年)家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯]」によると、二人以上世帯での住宅ローン残高は以下のとおりです。

世帯主の年代平均値中央値
20代887万円0万円
30代1,851万円1,624万円
40代1,813万円1,500万円
50代928万円600万円
60代733万円120万円
70代233万円0万円

50代では、平均値で928万円、中央値で600万円の残高が残っています。

金融資産保有額と並べると以下のとおりです。

50代の金融資産保有額と住宅ローン残高
平均値中央値
金融資産
保有額
1,147万円300万円
住宅ローン
残高
928万円600万円
219万円ー300万円

この通り、中央値でみると50代は貯蓄より負債の方が多い年代といえます。

しかし、50代に入ると、お子様が独立し教育費がかからなくなるご家庭が多いでしょう。

また、国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、男性では55〜59歳が最も給与が高いことがわかっています。

つまり、教育費がなくなって収入がピークに達する50代では、貯蓄ペースが加速させられる可能性が高いです。

お子様が独立後、定年までが人生最後の貯め時と言われています。

老後を安心して迎えるためにも、定年を迎えるまでに住宅ローンを完済しておきましょう

持ち家がある夫婦に必要な老後資金を試算するには?

必要な老後資金は以下の順に沿って試算しましょう。

それぞれ詳しく解説します。

①老後の支出を把握する

持ち家世帯は、老後に以下のような支出があります。

それぞれ確認していきましょう!

生活費

65歳以上の夫婦のみの無職世帯における、税金や社会保険料も含めた支出の月平均額は282,497円です(※)。

(※出所:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)」

このデータの住居費は16,827円と高くないため、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、借家ではなく持ち家、かつローンを払い終えている人が多いと考えられます。

住宅ローンの支払いが老後も続く予定の方は、住宅費を多めに見積もりましょう。

修繕費用

ローンを払い終えたとしても、長く住んでいると家を補修するための修繕費用が必要になります。

アットホーム株式会社の2023年「一戸建て修繕」の実態調査によると、一戸建て修繕にかかった費用の平均値は615.1万円です。

この結果の築年数は平均38.0年のため、およそ10年ごとに約162万円かかる計算になります。

ただし、40年、50年と住むと、老朽化が進み、修繕費もより多く必要になるでしょう。

また、マンションの場合も修繕積立金や管理費、駐車場代などがかかります。

介護費用

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度 によると、介護費用と介護期間の平均は以下のとおりです。

  • 一時的な介護費用:約74万円
  • 1ヶ月あたりの介護費用:約8.3万円
  • 介護期間:61.1ヶ月

この結果から、介護費用として8.3万円×61.1ヶ月+74万円≒581万円が必要です

葬儀費用

第6回 お葬式に関する全国調査(2024年)(株式会社鎌倉新書「いい葬儀」)によると、葬儀費用の平均は118.5万円です。

新型コロナウイルスによる影響が落ち着いてきたため、2022年より5.7%減っているものの、未だ半分の割合を占めているのが家族葬。

対して一般葬は4.2%増えています!

葬儀の種類によって費用は変わりますが、最も割合の多い家族葬の平均は105.7万円です。

その他の一時的な大きな支出

他にも、以下のような一時的なまとまった支出があるでしょう。

  • 車の買い替え(例:300万円)
  • 旅行やレジャー(例:100万円)
  • 子ども・孫へのお祝いや支援(例:200万円)

これらに対しても、計画的な備えを忘れないようにしましょう。

②老後の収入を把握する

総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の実収入は月244,580円です。

老後の収入の基盤となるのは年金です。

実際に、公的年金等を受給している高齢者世帯のうち、所得の8割以上が公的年金・恩給という世帯が約6割でした(※)。

(※:出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査」

このことからも、多くの世帯が老後の収入を年金に頼っていることがわかりますね。

年金の金額は人によって差があり、会社員か自営業か、現役時代の収入によって大きく変わってきます。

そのため、ご自分の年金額がいくらぐらいになるのか把握しておくことが大切です

毎年送られてくる「ねんきん定期便」は、50代になると年金見込額が表示されるため、金額を確認しておきましょう。

また「ねんきんネット」でも見込額の試算ができるので、ぜひ活用してください。

③必要な老後資金をシミュレーションする

①②で求めた数値を以下の計算式にあてはめれば、老後に不足する生活費の金額がわかります。

(支出ー収入)×老後期間=老後に不足する生活費

ここでは、①②で紹介した一般的なデータを例に試算してみましょう。

ひと月あたり
生活費282,497円
収入244,580
不足分37,917円

老後期間を20年間、25年間と仮定した場合の不足分は以下のとおりとなります。

老後期間不足する生活費
20年37.917円×12ヶ月×20年
=約910万円
25年37.917円×12ヶ月×25年
=約1,138万円

この金額に、修繕費用・介護費用・葬儀費用・一時的な大きな支出を合計すると、持ち家世帯に必要な老後資金が試算できます。

修繕費用は1回200万円で10年に一度実施する計算とし、車の買い替えや旅行などの一時的な支出はトータル500万円で計算しました。

老後期間必要な老後資金
20年910万円+(200万円×2回)
+580万円+118.5万円+500万円
2,509万円
25年1,138万円+(200万円×2回)
+580万円+118.5万円+500万円
2,737万円

このとおり、65歳からを老後とすると、85歳までに約2,500万円以上、90歳までに約2,700万円以上必要となります。

しかし、この金額は現時点での物価で計算したもの。

物価は基本的に上昇するため、10年後、15年後には現在と同じ価格でモノを買えません。

そのため、老後の必要資金は物価上昇(インフレ)を考慮する必要があります

インフレ率を日銀の目標である2%、つまり毎年2%の物価上昇が続くと、現在の価格から以下のとおり増加していきます。

現在1
10年後1.22倍
15年後1.35倍
20年後1.49倍
25年後1.64倍
30年後1.81倍
35年後2倍
40年後2.21倍

ただし、物価上昇に合わせて公的年金も増加するため、実際には上記のインフレ率ほど必要資金には直結しません。

実際に2024年度の年金額は、前年度より2.7%引き上げられています。

ざっくりですが、以下の金額を確保できていれば、物価上昇を踏まえても余裕のある資金額といえるでしょう。

老後を迎えるのが

  • 10年後なら3,000万〜3,500万円
  • 15年後なら3,500万〜4,000万円

しかし、人によって支出額や収入が異なるため、この金額はあくまで一例にすぎません

一度ご自身の支出や年金額と照らし合わせてみてくださいね。

退職金がいくらもらえそうかも調べておくとよいですね!

持ち家を活用して資産形成する方法

最後に持ち家を活用して資産をつくる方法について解説します。

①売却する

持ち家を売却して資金を得る方法です。

戸建てにお住まいの方は賃貸物件に住み替えれば、その後の修繕費はかかりませんし、家の管理も不要です。

相続の心配もいりませんね!

しかし、売却すると、もちろん新しい住処を探す必要があります。

②賃貸に出す

持ち家を賃貸住宅として貸し出し、家賃収入を得る方法です。

賃貸に出せば定期的な収入が期待でき、老後の不安も和らぐでしょう。

しかし、空室で家賃収入が得られないリスクもあります。

また、売却と同様、新しい家を探さなくてはなりません。

③リースパックする

リースパックとは、持ち家を不動産会社に売却し、賃貸契約を結んで引き続き同じ家に住む方法です。

賃貸契約のため毎月の家賃が発生しますが、自宅を売却したお金は一括で入ってきます。

老後も住み慣れた環境で過ごしたい方にオススメです。

④リバースモーゲージを利用する

リバースモーゲージとは、持ち家を担保に金融機関などから融資を受ける方法です。

基本的には毎月の支払いは利息のみで、元金は契約者が亡くなったときに自宅を売却して一括返済します。

自宅に住み続けながら、まとまった資金を得られることがメリットです。

リバースモーゲージについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

リバースモーゲージのメリット・デメリットや制度比較も含め解説!リバースモーゲージの概要や有効なケースを、メリット・デメリットや他の制度との比較を踏まえながら初めての方にもわかりやすくまとめてあります。老後の資金づくりのひとつの参考に…!...

まとめ:50代・持ち家でも必要な老後資金は人それぞれ!自身の老後の支出と収入を把握しよう

今回は、50代の貯金額や必要な老後資金の試算方法、持ち家の活用の仕方について解説しました。

50代の二人以上世帯の貯金額は平均で1,147万円、中央値で300万円です。

また、一般的なデータを用いて試算すると持ち家の夫婦に必要な老後資金は2024年現在の価格で以下のとおりとなりました。

老後期間必要な老後資金
20年910万円+(200万円×2回)
+580万円+118.5万円+500万円
2,509万円
25年1,138万円+(200万円×2回)
+580万円+118.5万円+500万円
2,737万円

老後を迎える時期によっては、インフレの影響で上の金額より多くの資金が必要となることが予想されます。

老後資金に余裕がなければ、持ち家を活用できないかもぜひ検討してください。

ただし、この数値はあくまで一例のため、ご自分の老後の支出や収入を把握することが大事です。

しかし、一人で必要な老後資金を調べるのは非常に大変⋯

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