「投信で積立投資をしているけど、やめる時期はいつがベスト?」
「つみたて(積立)NISAを始めたけど、解約するタイミングが分からない…」
この記事は、そんな疑問を持つ方向けの内容です。
NISA(一般NISA・つみたてNISA)口座を開設し、投資信託でコツコツと「積立投資」をしている人も多いと思います。
積立投資はドルコスト平均法の効果により「スタート後に株価(基準価額)が下がっても、その後の購入する口数が増える」というメリットがありますから、始めるタイミングはそれほど気にする必要がありません。
しかし、やめるタイミング=解約(売却)する時期については、多くの方が判断に迷うことになります。
そこで今回は、一般生活者の方から積立投資に関するご相談を500件以上お受けしているFP・安藤が、積立投資家のみなさんに持っておいていただきたい「心づもり」「考え方」についてお伝えします。
(とにかく、“簡単に・分かりやすく”いきたいと思いますので、細かいルール・用語の説明は一部省きながら進めていきます。ご容赦ください。)
解約する時期に「正解」は存在しない
投資信託を解約(売却)する場合、購入(買付)した時よりも基準価額*が上昇しているほど、投資家にとってメリットが大きくなります。
※投資信託の価格のことで、株式の「株価」と同じようなイメージ
投資は「安い時に買って、高い時に売る」ことで利益を得られる
というのがどんな商品にもあてはまる基本的な考え方ですから、当然のことと言えますね。
なので、誰しもみな「できるだけ上がっていて、ベストなタイミングで売りたい」と考えるわけです。
(読者の方もそうでしょう?僕もそうです笑)
しかしながら、「最も利益が出るベストなタイミング」というのが一体いつなのか、それは誰にも分かりません。
今日この瞬間かもしれないし、明日、来月、来年、いやもっと先かもしれない。。。
結局のところ、いつがベストなのかは「事後的にしか分からない」のです。
なので、投資をやめる(解約する)タイミングについては正解がなく、どう判断して良いか分からずに困る人も多いわけですね。
多くの投資家が解約するタイミング
では、実際に投資をしている人はどんなタイミングで解約しているのでしょうか?
ほとんどのケースが、以下のどれかに当てはまります。
①利益が出ているので、利益確定させる
一番多いのがこちらかもしれません。
例えばコツコツと月2万円くらいの積立投資でも、3~4年経つと「+10万円」くらいの成果が出ている可能性は十分にあります。
みなさんがその状況を目にしたらどうですか? きっと、こんな考えが頭をよぎるでしょう。
「あ!けっこう増えてる。この後いつ暴落するか分からないし、今のうちに利益確定させておこうかな。」
実際多くの投資家が、こんな考えのもとに解約をしてしまいます。
これは「行動経済学」という分野で明示されている、人間の損失回避行動の一種。
そのまま続ければ長期的にはもっと大きな成果が期待できたとしても、「損をしたくないから、少しでも利益が出ているうちにやめる」という判断をしがちなのです。
②ずっと損が出ているため、損切(そんぎり)する
「ロスカット」とも言われますが、損が出ている商品を諦めて解約し、新たな商品で挽回しよう(利益を出そう)という行動です。
デートレーダーなど投資を生業(なりわい)にしている人は、頻繁に実施しています。
一般の方が自分で判断して損切するケースは比較的少ないですが、証券会社や銀行の営業マンが勧めてくるケースもあります。(次の商品に乗り換えてもらった方が儲かるので…)
③急激な下落(暴落)で、怖くなってやめる
元々投資に馴染みのなかった、一般投資家によくあるパターンです。
過去にリーマンショック・チャイナショック・ITバブル崩壊など、短期的な株価の大幅下落(暴落)局面は何度も訪れています。
5~10年に1度発生するのが20~30%程度の暴落で、過去には50~60%程度の暴落も起きました。
それまで好調でも、自分の投資している資金が一気に何十万円・何百万円と減ってしまうので、
「投資って怖い。もうやめておこう」といった感情がわきおこり、やめてしまう人が多いのです。
④資金が必要だから解約する
これは増えているか減っているかに関係なく、お金を引き出そうという行動。
マイホームや自家用車の購入費、子供が大学に入学する時の費用や、病気・ケガの治療費などに充てるケースですね。
積立投資家が持っておくべき「心構え」とは?
4つのパターンに分類できたところで、多数の積立投資家のサポートをしている立場として、持つべき心構えをアドバイスさせていただきます。
「価格が上がった・下がった」を、解約するタイミングの主な判断基準にしてはいけない
積立投資を始めた目的は何でしょうか?
おそらくほとんどの方が、子供の教育費やご自身の老後資金など「中長期的に必要となるお金をふやすため」ですよね。
善良なFPさん・金融機関の販売員さんなどのアドバイザーは、「”長期分散”で投資することが大事ですよ」とスタート時に必ず説明しているはず。
全くその通りで、積立投資は長く続けることによって、十分な成果を得られる可能性が高くなるのです。
それなのに、目先の株価の動きに一喜一憂して3~4年でやめてしまったら、長期的に期待できる成果を自ら手放すことになります。(多少利益が出ていても、です)
よって、投資信託等を解約するタイミングを決める際の前提となる心構えとして、
「価格を主な判断基準にしない」
「簡単にはやめず、最初に決めた目標に向かって続けることが大事」
ということを強く認識しておきましょう。
「利益が出ているからやめる」は良くない!
そして、「特にやめてはいけないタイミング」もあります。
どんな時かと言うと、前述のパターン①「利益が出ているので、利益確定させる」と③「急激な下落(暴落)で、怖くなってやめる」です。
①は一見すると良いタイミングにも思えますが、それは「罠(わな)」!!
もう一度言います。目的を思い出しましょう。
積立投資を始めたのは中長期的な資金をふやすためであって、目先の10万円・20万円程度の儲け(もうけ)を拾うためではありませんよね?
月に数万円の積立投資でも、10年、20年、30年と続ければ「何百万円単位」でふえる可能性も十分にあります。
でも、数年でやめてしまったらオールリセット。またゼロからのスタートになり、投資期間も短くなるため、投資の期待リターンは明らかに低くなります。
目先の僅かな利益を確定させたいがために、中長期的な「大きな成果」を得られるチャンスを捨ててしまうのは、非常に勿体ないこと。
安易に「利益が出ているから解約する」というアクションは、決してしないことをお勧めします。
「暴落で怖くなってやめる」は絶対ダメ!!
そして最悪なのが、③の価格が暴落したタイミングでやめてしまうことです。
投資の成果は「口数×価格」で決まりますから、どれだけたくさんの口数を貯めこんでいたとしても、暴落時の価格を掛ければほとんどのケースで損失が出てしまいます。
前述のドルコスト平均法の効果により、価格が暴落したタイミングは「口数をたくさん買うことができる」バーゲンセール期間。
やめるタイミングではなく、むしろチャンスといえるタイミングなので、なんとしてでも続けましょう!
一時的な暴落の後には暴騰(急激に上がること)が起きることも多いですし、過去の歴史上、5年も10年も株価が戻らなかったことはほとんどありません。
価格が下がって安く買いこみながら価格の回復を待っていれば、驚くほどの成果に繋がることもあります。
どんなに精神的なダメージを受けても、暴落したタイミングで解約しちゃいけない!
あくまでも長い目で成長を信じ、コツコツと続けていきましょう。
やめるタイミングは、お金が必要な時
では結局のところ、解約するタイミングはいつが良いのでしょうか?
実は、答えはとてもシンプル。
「お金が必要な時」
これに尽きます。
前述のパターン④そのままで、マイホーム購入費や教育費などを捻出するために、必要な時・必要な金額分だけ解約をすれば良いのです。
そもそも中長期的な資金をふやす目的で積立投資を始めたわけですし、その目的を達成するための解約であれば、余計な感情が入らなくて済みます。
「株価が上がった下がった」に一喜一憂していてもストレスが溜まるばかりですし、繰り返しますが「最も利益が出るタイミング」なんて誰も分かりません。(あくまでも事後的に判明するだけ、でしたね)
そうした株価に注目したタイミングの判断をしている人は大抵失敗するもので、僕も実際多くのそんな事例を見てきました。
(なにを隠そう、僕自身も株価に一喜一憂し、解約してしまったことがあります…)
心穏やかに、お金が必要な時に解約する。
これが、積立投資の中長期的な成果を手に入れるための王道なのです。
とても重要なことですので、ぜひ覚えておいてくださいね。
<注意点> 積立投資は長く続けることで大きな成果も見込めますが、「必ずふえる」ということではありません。どんなやり方でも、投資には元本割れリスクが伴うことを重々ご理解の上、投資を実行してください。
終わりに
今回は細かく解説しませんでしたが、教育資金など「必要な時期が決まっている&大きな額の資金」については、
必要になる2~3年前の時点で、目標額以上に増えていたら解約する
という選択肢もアリかと思います。
当然ながら投資は元本割れリスクがありますから、あるタイミングで必要金額に満たないとライフプランが大きく狂ってしまうような場合には、少し早めに投資を終わらせても良いでしょう。
そのあたりが心配という方は一度、私たちのようなFP・アドバイザーに解約するタイミングを相談してみてくださいね。
いずれにしても、価格ばかりに注目して解約するのは禁物ですよ!
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