「利上げって何?」
「利上げするとどんな影響があるの?」
この記事は、そんな疑問がある方向けの内容です。
アメリカのインフレが加速する中で「利上げ」という言葉がよく聞かれるようになりました。「利上げ」とは端的に言うと「政策金利の上昇」なのですが、これがなぜ市場や消費者に大きな影響を与えるのでしょうか?
じつは、利上げとは市場に流れるお金の源流に位置する重要な政策。利上げ幅次第で市場全体の動きをコントロールすることも可能です。
この記事では、利上げの仕組みや影響などについて、2022年アメリカの事例から見ていきたいと思います。
利上げとは政策金利の上昇のこと
「利上げ」とは、各国における「政策金利の上昇」であり、金「利」を「上」げることを縮めて呼んでいる言葉です。
政策金利とは、お金を発行している中央銀行が民間の銀行にお金を貸し出す際の金利のことで、日本なら日銀からお金を借りる際の金利、アメリカなら「米連邦準備制度理事会(Federal Reserve System)」、通称FRBからお金を借りる際の金利を指します。
民間銀行は、中央銀行からお金を借りることで世の中にお金を出回らせています。借入元の中央銀行が金利を上げることは、民間銀行の資金調達コストを上昇させ、結果的に社会全体の資金調達コストも上げることとなります。
2022年アメリカでは急激な利上げが行われた
2022年6月、アメリカでは約30年ぶり、0.75%の大幅な利上げが行われました。これは大変異例なことで、急激な資金調達コストの上昇を避けるために、金利はもう少し段階的に上げていくのが一般的です。
しかし、2022年のアメリカには大幅利上げが必要な事情がありました。それは、アメリカで起こっている急激なインフレです。
2022年、アメリカでは極めて高いインフレ率が記録されており、2022年6月の消費者物価指数は2021年比で9.1%も上昇しています。
激しすぎるインフレは、市場価格と消費者の収入のギャップを生みます。そのため、利上げによって資金調達コストを増加させ、インフレを落ち着かせようとしたのです。
利上げが市場に与える影響
利上げの影響をざっくり言うと「資金調達コストが上がって景気を落ち着かせる」ということになります。
利上げは市場全体のお金の流れに影響を与える大きな政策です。その大きな流れの中で起こる事象も多く、私たちの生活の細部にまで影響が及びます。
細かな事象まで説明するのは難しいため、ここでは利上げによって起こる代表的な3つの事象を見ていきましょう。
金利が上昇し市場のインフレが抑制される
利上げが与えるもっとも大きな影響が「インフレの抑制」です。
そもそもインフレとは景気拡大を背景に起こりうる現象ですが、急激すぎるインフレは実体を伴わない、地に足の付いていないインフレになってしまう可能性があります。
つまり、株価や消費者物価指数といった指標の上昇が目立ち、実態としては消費者の収入が追い付いていないという状態が起こり得るのです。
このギャップを解消させるため、利上げを行って市場のインフレスピードを落とします。その後、市場と消費者の状況を見ながら、このギャップを埋めるようにコントロールしていきます。
株価の下落や停滞に影響する
インフレ局面で分かりやすく上昇する指標が「株価」です。インフレは企業の業績拡大と強い関係性があり、企業が事業拡大や新規事業の開拓といった、いわゆる「攻めの姿勢」をとっているときほど起こりやすい傾向にあります。
このとき必要となるのが銀行からの融資ですが、利上げによって政策金利が上がると企業の借り入れコストも増加し、企業の攻めの姿勢にもブレーキがかかります。
結果、株価の値動きにも影響し、上昇幅が緩やかになるか、場合によっては下落や停滞に繋がることもあります。
企業融資や住宅ローンの金利が上昇する
消費者が銀行から融資を受ける代表的な商品に「住宅ローン」があります。住宅ローンの金利は、銀行の資金調達コストである政策金利と、銀行間競争によって決定されるため、利上げの影響はダイレクトに反映されます。
ちなみに、変動金利と固定金利で影響の受け方が異なり、変動金利は日銀の「短期金利」の影響を、固定金利は10年満期国債の利回りである「長期金利」の影響を受けます。
特に変動金利は政策金利と連動した動きを見せるため、政策金利の上昇局面においては要チェック。あまりに高くなりすぎた場合は、借り換えを検討するのも一つの手です。
利上げのメリット・デメリット
利上げのメリット・デメリットをまとめると下記のようになります。
利上げのメリット
- 加熱しすぎたインフレを抑制できる
- 市場と消費者のギャップを解消できる
利上げのデメリット
- 資金の調達コストが増加する
- 一時的な株価の下落や景気停滞などを起こす恐れがある
- 市場全体にマイナスの雰囲気が漂う
全体的に見ると、市場に対して一時的なマイナスのインパクトを与える代償として、加熱しすぎた市場を落ち着かせてギャップを解消するイメージです。
実際、利上げを行ったり発表したりすると株価は敏感に反応し、一時的に大幅な下落を起こすこともあります。最終的には市場と消費者のバランスが取れたところに着地させるのが目的なので、中央銀行による市場の捉え方も含めたコントロールが重要となってきます。
日本における利上げの可能性は?
日本でも2022年になってから急激な物価上昇が続いていますが、日本でも利上げが起こる可能性があるのでしょうか?恐らくこれは「起こる確率は低い」と言えるでしょう。
その理由は、日本における物価上昇が、景気拡大ではなく原材料高騰によって起こっているためです。
インフレとは景気拡大によって起こるもので、その中で物価上昇も起こりますが、日本の現状は単に生産コストが上がっているだけです。
つまり、景気自体はさほど拡大しておらず、利上げが必要な局面には無いと言えます。むしろ利上げをしてしまうと、生産コスト上昇で苦しむ企業に対して資金調達コスト増という追い打ちをかけてしまい、さらなる物価上昇に繋がるかもしれません。
すると、物価上昇下における景気後退である「スタグフレーション」が発生する可能性もあるため、現在利上げをする可能性は低いと考えられます。
利上げは社会全体の雰囲気に影響する重要な政策
利上げは端的に言えば政策金利の上昇というだけですが、この政策金利が少し上がるだけで社会全体に大きな影響が及ぼされます。
社会全体に漂う景気の雰囲気にも強く影響するため、利上げをする際には景気の鼻を折らないように、慎重に運用していく必要があります。
日本における利上げの可能性はまだ低いと考えられますが、インフレ局面に変わっていけば当然検討されることになるでしょう。主に住宅ローンという形で私たちの生活にも関わってくるため、情報のアンテナを立ててリスク管理を行うように心がけましょう。
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