こんにちは。あしたばアシスタントFP(ファイナンシャルプランナー)の舘野です。
日本証券業協会の調査によると、2021年末の証券会社のNISA口座の総数は1,108万口座で、NISA(制度)を利用する人は着実に増えています。
また、NISAだけでなくさまざまな方法で投資を始める人も増えており、まさに「貯蓄から投資へ」の流れが少しずつ活発化している印象を受けます。
しかし、「とりあえず手元にある100万円を全て投資に回して多くの利益を狙おう!」などと、安易に投資を始めるのは禁物です。
投資を始める際には、万が一の事態に備えてある程度のお金を確保しておく必要があり、これを生活防衛資金といいます。
また、災害や失業といった、生きている中でのさまざまなリスクに対しても、生活防衛資金を確保しておくことは非常に大切です。
今回は、この生活防衛資金について解説します。
Tweet
生活防衛資金とは万が一に備えるお金のこと
生活防衛資金とは不測の事態に備えるための資金です。
不測の事態とは、一般的に以下のようなものがあります。
- 病気やケガが原因で働けなくなる
- 倒産・失業
- 災害
これらの事態に直面すると、収入が減少する(もしくは途絶える)だけでなく、想定外の支出が膨らむ可能性があります。
そのため、突発的な不測の事態に備えて生活防衛資金を準備しておくことで、何かあった場合には当面の生活費として充当できます。
このとき、「万が一のときには貯蓄から捻出するから、生活防衛資金を別途用意する必要はないだろう」と考える人がいます。
しかし、貯蓄はマイホームの購入資金や教育資金、車の購入資金など大きなライフイベント(支出)のために用意しているお金です。
一方の生活防衛資金は万が一の事態に備えるお金であり、貯蓄とは目的が異なりますので、貯蓄とは別に生活防衛資金を確保しておくのが望ましいと言われています。
生活防衛資金がないとどうなるの?
では生活防衛資金を確保しなかった場合、どうなるか考えてみましょう。
ケース①地震で自宅が倒壊した場合
例えば地震で自宅が倒壊した場合、地震保険に加入していれば保険金によって自宅を再建することは可能です。
しかし、自宅に住めない期間の生活費は変わらず必要です。貯蓄を切り崩してしまうと、教育資金や老後資金を削ることになり、ライフプランにも狂いが生じるかもしれません。
もし生活防衛資金があれば、当面の生活費に困ることはなく、教育資金や老後資金への影響を最小限に抑えることができます。
ケース②貯蓄を全額投資に回した場合
超低金利時代と言われる昨今は、銀行の定期預金を利用してもほとんどお金は増えません。そのため、資産運用の手段として投資を利用することは非常に有効である一方、やみくもに「貯蓄を全額投資に回してみよう!」といったことは避けなければなりません。
投資にはリスクが付き物であり、運用実績によっては元本を大きく下回ることもあるでしょう。
生活防衛資金がなければ心(気持ち)が安定せず、「暴落したらどうしよう」「運用実績が先月より〇万円減ってしまった」などと常に不安を抱えることになります。
これはリスク許容度と呼ばれ、投資をする際には生活防衛資金を確保すると同時に、「どこまでのリスクをとれるか」という点についてしっかりと考えておく必要があります。
そのため、リスク許容度が低い(多少の値動きでも気になってしまう、不安になってしまう)人は、生活防衛資金を多めに確保しておくと良いでしょう。
生活防衛資金の目安はいくら?
では、不測の事態にも慌てないようにするためにも、生活防衛資金はどれくらい用意すべきなのでしょうか。
結論からお伝えすると、生活防衛資金の金額に正解はありません。
なぜなら、生活防衛資金は家族構成や収入、貯蓄額によって人それぞれ異なるからです。
ただし、一般的には生活防衛資金は生活費の3ヶ月〜半年分(場合によっては1年分)が目安と言われています。
ここでは家族構成ごとの生活防衛資金について解説します。
なお、生活費の目安は、総務省「家計調査報告(家計収支編) 2020年(令和2年)平均結果の概要」を参考にしています。
独身や一人暮らしの場合
独身や一人暮らしの場合は、生活費の3ヶ月〜半年分が目安です。
総務省の調査によると、単身世帯の1ヶ月の消費支出金額の平均は15万円程度であり、約45〜90万円ほどあれば、突発的なトラブルがあったとしても当面の生活に困ることはないでしょう。
夫婦二人暮らしの場合
子供がいない夫婦も、生活費の3ヶ月〜半年分を生活防衛資金として確保しましょう。
総務省の調査によると、2人以上世帯の1ヶ月の生活費の平均は約28万円です。このことから、85万円〜170万円程度が生活防衛資金の目安となります。
ただし、この調査は「2人以上」の世帯を対象としており、3人家族、4人家族といった家庭も統計に含まれていることを考慮すると、夫婦2人のみであれば消費支出額は28万円よりも抑えられる可能性が高いといえます。
生活防衛資金の目安額を考える場合には、平均を参考にした上で、実際の毎月の生活費を元に算出しましょう。
子供がいる夫婦の場合
子供がいる家庭は、教育資金も生活防衛資金に反映することが重要であり、生活費の半年〜1年分を目安に準備すると良いでしょう。
ただし、子供がいる夫婦の場合は子供の人数や年齢によっても生活防衛資金の金額は大きく変わるため、毎月の支出を踏まえて生活防衛資金額を決めることを意識しましょう。
必要となる生活防衛資金額は、家族構成や子供の人数・年齢によって異なります。
つまり、「生活防衛資金として〇〇円を生活防衛資金として準備しておけば安心!」という正解はありません。
上記の例を参考に、支出に応じた金額を準備することを心がけましょう。
Tweet
生活防衛資金を準備する方法
では最後に生活防衛資金を効率良く準備する方法を解説します。
生活防衛資金は、勝手に貯まっていくものではないため、意識して生活防衛資金を確保することが大切です。
以下の4つの方法を参考にしながら、無理なく実践できる方法がないか確認しましょう。
①毎月コツコツと積み立てる
先述の通り、生活防衛資金はある程度まとまった金額になるため、「一気に用意するのは難しい」という人が多いのではないでしょうか。
そこで、計画的に生活防衛資金を準備する方法として、毎月コツコツと積み立てる方法があります。
例えば生活防衛資金が50万円の場合、毎月2万円ずつ積み立てることで2年、毎月4万円ずつ積み立てれば1年で必要額が準備できます。
生活費の中から生活防衛資金を先取りすると確実に貯めることができますね。
②ボーナスで準備する
毎月コツコツと生活防衛資金を準備することも効果的ですが、必要額を準備するのに時間がかかるというデメリットがあります。
しかし、ボーナスを生活防衛資金に充当することで、生活防衛資金を速やかに準備できます。
ボーナスは、住宅ローンの繰り上げ返済や旅行などに充てられることが多いお金ですが、その配分を見直し、ボーナスの一部を生活防衛資金に回すことで素早くお金を準備できます。
③固定費を見直す
「生活防衛資金の重要性はわかったけど、いまの家計じゃ生活防衛資金を捻出するのは難しい」と考える人もいるのではないでしょうか。
その場合は固定費を見直すことで、生活防衛資金に充当できるお金が確保できる可能性があります。
見直すべき固定費は主に以下の点です。
- 住宅関連費
- 自家用車関連費
- 通信費
- 保険料
端的にお伝えすると、家・車・スマホ・保険の4つです!
どれも即効性のある見直し項目ですので、この機会に改めて確認してみると良いですね。
また、「家計を見直す」「支出の無駄がないかチェックする」といったときに、つい食費を思い浮かべる人もいるでしょう。
しかし、食費の見直しは基本的に必要ないと考えましょう。
食費は変動しやすい項目であること、さらに切り詰めた(節約した)ところで得られる効果が分かりづらい(効果があったとしても少額で限定的)だからです。
「1円でも安いお肉を!」「あっちのスーパーのほうが安い!」などと食費改善に奔走する労力よりも、上記の4点(家・車・スマホ・保険)を見直す効果のほうが非常に大きいことをぜひ覚えておいてください。
(確かに筆者も、スーパーで、「牛(肉)も食べたいけど、今日は豚(肉)にしよう…」と手に取った牛肉パックをそっと売り場に戻すことはありますが…。)
それぞれの固定費の見直し方法については過去記事をぜひご覧ください(↓)
④副業や転職で収入を増やす
固定費を見直すと共に、入ってくるお金(収入)が増えれば生活防衛資金に回すお金もおのずと増えることになります。
最近では、リスキリングが話題になるなど、デジタル時代のスキルの(再)開発が注目されています。
リスキリングによって得た知識やスキルを元に、年収アップを目指して転職するというのも収入増に直結しますね。
リスキリングとは職業能力の再開発、再教育のことをいいます。最近では企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略において、新しく必要な業務や職種に対応できる人材を増やすために、スキルや知識の(再)習得を目指すという意味で使われることが増えている言葉です。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で働き方もさらに柔軟になっており、副業を始める人も増えています。
未経験者でも始められる分野も多く、得意なことや趣味を活かした副業もあるため、収入アップにつなげると良いでしょう。
家族構成や収入に応じた生活防衛資金を確保しよう
毎月の生活費は世帯ごとに異なるように、生活防衛資金の目安額も人それぞれです。
生活防衛資金の目安は、一般的には生活費の3~6ヶ月分といわれますが、例えば子供が小さい家庭や住宅ローンや車のローンなど月々の支出額が大きい場合は、生活費(支出)に応じた金額を確保することが重要です。
生活防衛資金があれば災害や失業といった急なアクシデントにも対応でき、仮に投資の運用実績が大きく下がったとしても、心の余裕を持つことができるでしょう。
弊社あしたばでは、生活防衛資金を含め、家計や投資、保険といった総合的な側面から夢や目標を叶えるための資金計画・資産運用のお手伝いをさせて頂いています。
相談はオフィスのほかに、オンラインでも承っていますのでご自宅から気軽にご相談頂けます。
もちろん、金融商品の押し売りなどは一切ございませんのでご安心ください。
経験豊富なFP(ファイナンシャルプランナー)が対応させて頂きますので、ぜひご連絡くださいね。
大好評の「無料iDeCoセミナー」も随時開催中!