高齢化が加速する中、介護は切っても切り離せないテーマですが、いざ直面するまではあえて勉強することは少ないかもしれません。
しかし、日本は世界でも常にトップ3に入るほどの超高齢国家であり、今は人生100年時代という言葉も度々耳にするほど平均寿命も延びてきています。
介護も、ほぼすべての方がいずれは直面する問題と言っても過言ではないでしょう。
本記事では、介護に関する情報や知識について、まずは公的介護保険制度の基礎知識をわかりやすく解説します。
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介護保険制度とは
介護保険制度とは、老化や老化を原因とする病気などによって介護が必要になった人に、給付や支援を行う公的な社会保険制度のひとつです。
老化に伴うものなので、被保険者となる人は40歳以上で、2種類に分けられます。
介護保険制度の概要
① 第1号被保険者
年齢…65歳以上
認定基準…要介護状態(寝たきり、認知症)の者または要支援状態の(虚弱などで在宅サービスが必要な)者
保険料…市区町村が所得段階に応じて定めた保険料を徴収する
↓
※納付方法は、年金額が年18万円以上の被保険者の場合は、年金から天引きされます。これを特別徴収といいます。それ以外は口座振替による普通徴収です。
② 第2号被保険者
年齢…40歳以上65歳未満(公的医療保険加入者が対象)
認定基準…老化を原因とする特定疾病により、要介護状態または要支援状態になった者
保険料…健康保険や国民健康保険などの医療保険の保険料とあわせて徴収される
↓
~健康保険の場合~
会社で加入している医療保険の保険料率と給与で決まり、事業主と折半。
~国民健康保険の場合~
加入者の所得や資産、人数等、世帯ごとに決まり、各市区町村で決定する。
自己負担割合について
自己負担割合は、いずれも介護サービス料金の1割です。
ただし、第1号被保険者の中で、年間の所得金額が単身で160万円以上ある人の自己負担割合は2割、220万円以上ある人は3割になります。
また、1ヶ月の介護サービス利用者負担額には上限があり、一定の上限を超えた分は高額介護サービス費として支給されます。
そしてもうひとつ、「高額介護合算療養制度」があるため、自己負担割合についてはこの機会に知っておきましょう。
高額介護合算療養制度とは、同一世帯内で同一の医療保険の加入者について、毎年8月から翌年7月までの1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担額を合計し、基準額を超えた場合にその超えた金額が払い戻される制度です。
介護サービスについて
介護保険制度には、様々な介護サービスが用意されています。
大きく分けると介護給付と予防給付に分けられ、介護給付は要介護1~5の人に、予防給付は要支援1~2の人のためのサービスです。
主なサービス内容
介護保険法に基づく主なサービスは以下の通りです。
- 介護サービスの利用にかかる相談、ケアプランの作成
- 自宅で受けられる家事援助等のサービス
- 施設などに出かけて日帰りで行うサービス
- 施設などで生活(宿泊)しながら、長期間または短期間受けられるサービス
- 訪問・通い・宿泊を組み合わせて受けられるサービス
- 福祉用具の利用にかかるサービス
もちろんそれぞれのサービスにつき料金は発生しますが、①の介護サービスのケアプランの作成費は無料です。
また、ケアプランは被保険者本人が作成することも可能なので、ご自身で理想のプランを考えたいという人は無理にケアマネージャーに依頼する必要はありません。
利用料は居住地域やサービスによっても異なりますが、実際に支払う金額は自己負担割合に応じた金額となっています。
ただし、介護施設での食事や居住にかかる費用等、日常生活費は全額自己負担ですので注意しましょう。
また、介護サービス以外にもたとえば要介護認定者が自宅に手すりを取り付けるなど、なるべく自力で生活するために住宅改修を行った場合は、工事費用の20万円を上限に居宅介護住宅改修費が支給されるサービスもあります。
サービスを利用するまでの流れ
実際にサービスを利用するためには、まずは要介護認定(または要支援認定)を受けなければなりません。
主な流れは下図の通りです。
※厚生労働省HP「介護保険の解説」を参考に、筆者にて図解作成
まずは介護保険被保険者証(第2号被保険者の場合は医療保険証)を持って、市区町村に届け出ます。
その後市区町村の調査員が自宅や施設を訪問し、心身の状態を確認するための認定調査と、主治医意見書作成の依頼を行います。
次に、その調査結果と主治医意見書をもとに判定を行い、最終認定結果(要支援1・2、要介護1~5、非該当のいずれか)を被保険者へ通知します。
ちなみに、申請から認定にかかる期間は原則30日以内です。
認定後は前の項目で触れたケアプランの作成を行えば、サービスの利用を開始できるようになります。
ただし、無事に認定された後も有効期間が設けられていますので、その期間内に更新申請を忘れずに行いましょう。
◆認定有効期間◆
・新規、変更申請…原則6か月(状態に応じ、3~12か月まで設定可)
・更新申請…原則12か月(状態に応じ、3~24か月まで設定可)
サービスについては前述のとおり、要介護認定の場合は介護給付、要支援認定の場合は予防給付を受けられますが、介護給付の特別養護老人ホーム(いわゆる特養)への入所は、原則要介護認定3以上の人に限定されています。
介護保険制度の改正について
介護保険制度は、社会情勢に合わせて原則3年に一度のペースで改正されています。
次回の改正は2024年ですが、冒頭でも触れたとおり日本では年々高齢化が加速している状況であり、それに伴い介護費用も益々増加していくでしょう。
厚生労働省が昨年12月に発表した「介護保険制度の見直しに関する意見案」を読むと、次の改正では以下のような点がポイントになると予想できます。
- 自己負担割合の見直し
- 介護施設室料の見直し
- 介護人員基準の見直し
- 福祉用具貸与・販売方法の見直し
- 在宅医療・介護推進強化
また、改正とともに住まい支援システムの構築や、科学的介護情報システム(LIFE)の活用によるPDCAサイクル改善などにも力を入れていくことが予想されます。
来年の改正に向けて、今後の動きに注目ですね。
まとめ
- 介護保険制度加入は40歳から
- サービス利用には、あらかじめ要介護または要支援認定が必要
- 64歳までは老化を原因とする症状が認定の対象
- 介護施設での食事や居住費用など、全額自己負担のものもある
- 自己負担割合変更も?2024年の改正に要注目
介護保険はその性質上、年齢を重ねるまではどういったものかきちんと認識されていないケースが多いですが、利用するためには医療保険と違い手順を踏む必要があることもお分かりいただけたと思います。
また、3年ごとの改正で、将来大きく制度内容が変わっている可能性もあるでしょう。
介護保険を利用しようというときは、既に何らかの症状が現れているときであり、心にもあまり余裕がない状態になっていると想定されます。
つらい時期に一から調べものをすることはさらなるストレスとなりますので、ぜひ基礎知識だけでも頭に入れておき、将来的な負担を少しでも軽減してくださいね。
また、当事者だけでなく周囲の人が助けられるのであればそれに越したことはありません。「若いうちは関係ない」ではなく、周りの人のためにも早めに勉強しておきましょう!
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